9月第7回‘無人島のふたり’
9月第7回‘無人島のふたり’直木賞作家の山本文緒さんが膵臓がんと診断され亡くなるまでの5か月間程の期間を書かれた日記エッセイ。私が山本さんという作家を知ったのは‘自転しながら公転する’を出されていた頃、NHKのあさイチに出演していたのを見た時だから、本当に近年。その時とにかく本を読む前から‘自転しながら公転する’という題名になんだか恐れいっていたのです。(こういう題名を思いつく作家さんが書く小説はどういうものだろうと興味を覚えていた。)また、機能性ディスペプシア(ストレスが原因の神経性胃炎)に悩んでいる私には、山本さんがうつ病になられた経験があったことも興味を抱かせた。本作は山本さんがうつ病闘病の日々を書いたエッセイ‘再婚生活’(後に改題 再婚生活ー私のうつ闘病日記)と同じで闘病中の日々状況と山本さんが感じたことが綴られている。亡くなる数日前までの記録であるのですが、今回は間違いなく死と向き合っているわけで、こちらとしては‘再婚生活’よりは重く受け止めてしまっていた。ただ、山本さんご本人は亡くなるまでの日々を(私のイメージでは)淡々と述べられている。私は‘死’というものをこの年になってもすごく怖く感じている。私の親父が亡くなるまでの数か月の期間も親父が亡くなるかもというのが怖くてなかなか病院に行くのも足が重かった。だから余命を宣告されてから、どう生きるかなんて本当にわからない。山本さんがその様子をこのようなエッセイに残すというだけでも敬服してしまう。山本さんの作品は数冊しか読んでいないけど、恐らくすごく所謂人間らしい、正直な人だったのだろうと勝手に私は思っている。無人島のふたり 120日以上生きなくちゃ日記 [ 山本 文緒 ]