10月第4回‘プラナリア’
10月第4回‘プラナリア’先日亡くなられた山本文緒さんの直木賞受賞作。いつぞやか朝のテレビ番組NHKあさイチに出てらっしゃったのを見た記憶があって、お名前を憶えていた。小説を書く時に作る構成図のようなものを見せていらっしゃったのを覚えています。その時恐らく紹介されていただろう‘自転しながら公転する’を読んでみたいと思ったことも覚えている。(けど、今まですっかり忘れていてまだ読んでいません。今、借りたい予約を地元図書館に出すと、30人待ちだった。)亡くなられて、なんとなく‘しまった’という気がして、とりあえず地元図書館で予約なしで借りられた本書を読みました。生きるのに不器用な人たちの物語。客観的に見ればおかしな人ばかりなのだけど、そうなってしまう気持ちもなんとなくわかる。特に今、コロナ禍を過ごしてきているからかも。人の感情はわからない。自分の感情だってその時の状況によってどうなるか怪しい。(最近、ちょっとしたことで憤慨してしまい、後で、そんなにならなくてもと、すごく落ち込んだことがありました...。)その不器用な感情の動きがわかるような気がして、おもしろい。自分の不器用なことも思いながら、だから、温かい目で読めた。どこかで見たり聞いたりしたことがあったような日常にありそうなエピソードを、なんだか上手に読み進めていかされてしまう。(これが小説家の力なのでしょう。)20年も前に書かれたものだけど、古さを感じなかった。もう少し山本さんの他の作品も読んでみようと思います。プラナリア (文春文庫) [ 山本 文緒 ]