10月第5回‘破局’
10月第5回‘破局’2020年上半期 第163回芥川賞受賞作。先日BUCK-TICKの櫻井敦司さんが亡くなられたニュースを見た。私はBUCK-TICKの音楽は聴いてこなかったけど、学生時代の下宿の他部屋から曲がよく流れてきていたので、人気バンドとしての認識くらいはあった。年代的にまだ若い方なのにと櫻井さんのことを調べたら、ご子息が芥川賞を取った 遠野遥さんということで興味を覚え本書を読みました。物語としてはありそうな話だけど、簡潔に書かれた文章によって、なんだかどこか奇妙さと怖さをもたされつつ読み進んだという感じ。明るい学生生活でも、苦悩する学生生活でもなく、なんだか世の中的には順調なのに孤独なあぶなかっしい学生生活で、題名ですでに宣告されている‘破局’がいつ来るだろうとカウントダウンを聞いて待っているような気がした。読後感としては良くない。救いがどこかにあったのか。頭の足りない私にはわからなかったし、私には向かない小説だったかな。ただ、こういう物語をちゃんと不思議と思わせながら最後まで読ませてしまうのだから、作者さんのチカラはすごいと感じます。破局 [ 遠野 遥 ]