これはもう戦時下である
ps. we, nick, nanna and i, arried at the airport safely after picking up a kind boat, a kind truck and a kind taxi, consequtively one after another. it took about two hours. we are waiting for being on board 16.10 for Chiangrai airport.既報の通り、本日夕方、スワンナブーム空港(従来、国内線はドンワイ空港が使用されるのであるが、現在洪水で閉鎖されているのでこの空港が使われる)より、最北県チェンライ県に避難する。期日は不明。どういう「難民(貴族)生活」なるやら・・・お手伝いさんだけでなく、運転手もつくのだそうだ。 ニックは、ほんとうに子どもらしい子どもで、「ルンコイチ」(最近母親からこの呼びかけの後に「クラプ」という男性敬語をつけなさいと注意されている そういえば時々「ママークラブ」とママーに呼びかけている)と叫びながら、しょっちゅうぼくの部屋に入ってきて、「アイ イクサイト アイ キャンノット スリープ」(ぼく興奮してる ぼく眠れない)と部屋中踊り狂う。そのたびに「オー ピティフル ニック ゼン ウィ シュッド キャンセル イット オーケー?」(オー 可哀想なニック じゃあ 旅行中止にしようね)という約束になっている。これだけ「イクサイト」すれば、たいがい疲れる。案の定、簡単に寝入ってしまった。 この子の英語力の進歩はものすごいよ。簡単な英語しか話せないが、それでも確実にコミュニケイションが成り立つ。こちらの質問が分かれば、即座に「イエス」あるいは「ノー」と答える。サンキューやソーリーは確実に言える。そこに恥じらいやためらいはない。以前これがあった。9歳の子どもでは、なかなかできないものだよ。彼はぼくに言いたいことの何分の一もいえないのがもどかしく、しばしば「オー アイ キャンノット スピーク イングリッシュ ソーリー」と両手を広げて恥じらいの笑顔を見せるのが、いじらしい。もちろん、ぼくはそのたびに、あるいは時には、彼の手をとったりしながら、「イェス ユー キャン ゲット イット ヴェリー ウェル イェス ユー キャン」と熱心に励ます。こういう自覚が芽生えているということは、すごいことなんだ。 車のバッテリーの点検に3人で出かけた(車はオーケー。そこの駐車場は完全に乾いていた)。依然として、深いところでぼくの股下辺りまで(ナンナさんの腰 ニックの胸)水位がある。並木の水が来た位置(幹の色が変わっている)を見ると、現在の水位より30cmは高い位置を示している。これは、そこまで水があったというより、トラックやボートなどが通過するたびに、波が生じるので、それに洗われた後であるが、しかし、明らかに水位が低下している。 水の中をじゃぶじゃぶと歩いていると、ムラ内のメイン通りに、陸軍のトラックが兵士をいっぱい乗せて通過した。ナンナさんは「アーミー カム アーミー カム アイム ハッピー」(軍が来た軍が来た ばんざい)と激しく手を振ると、兵士も手を振って答えてくれた。彼らはムラ内の状況を調べに来ただけだろうと思う。新聞(デパートに行くたびに英字新聞を買い込む)によると、タイ国民を助けるために働いているのは、兵士と警官だけである。政治家はスキャンダラスな政争をしてるだけであると手厳しい(THE NATION)。ナンナさんは一日中忙しく働いている。でも、ヘリが通過する度に飛び出していって、手を振る。これはもう戦時下である。 重い荷物がいくつかできた。これをどうやってカンチャナピセク道路まで運ぶか、すでにナンナさんはムラのお巡りさんに舟で荷物を道路まで運ぶよう要請しているという。 空を見上げると、うろこ雲が一面に浮かんでいる。日本の秋の空に似ている。チェンライへ・・・