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テーマ:ノーベル賞(58)
カテゴリ:健康
土曜日に久しぶりに山梨大学医師会講座を聴きに行ってきた。長期にわたってコロナが猛威を振るっておりウェブサイトを介して在宅参加の学会や講演会はあっても会場に集まって講演を聴く機会は殆どなかったので今回県医師会館で直接講演が聴けるということで参加してきた。 医大の専門の先生が3つの演題について講演して下さった。1)肝細胞癌の治療、2)頭頸部癌治療の実際、3)肺がん診療の実際と展望の3題であった。 1)の肝細胞癌については私も消化器内科医なので長く携わってきた癌で、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスによって肝炎になり、一定の期間経過後肝硬変になり、その肝硬変に癌が出来てくると理解していた。ところが第一線からしばらく離れていたらその様態が随分様変わりしていたのに驚いた。ウイルス性肝炎→肝硬変→肝癌はむしろ少なく、アルコール性肝炎、脂肪肝性肝炎などが肝硬変になり、そこから肝がんが発生してくる方が多いとのことで晴天の霹靂であった。その治療法も免疫チェックポイント阻害剤を用いた治療が主体になっており、2)3)の講演でも免疫チェックポイント阻害剤による治療が行われていて治療成績が向上しているとのことだった。 今まで抗がん剤というと癌細胞をやっつけると同時に正常の細胞もやっつけるので副作用が大きく、あまり大きな成果はあがっていなかった。ところが免疫チェックポイント阻害剤(オブジーボ等)は副作用が少なく、かなりの成果を上げているとのことだった。癌が出来ると我々の体内にある白血球(T細胞)が異物だとして攻撃して殺してくれるはずなのに癌が生き残ってどんどん大きくなっていく。何故なのかを研究して日本の本庶裕博士が癌が白血球から攻撃されないようにチェックポイントと結合してしまうからでその結合を阻害する薬を注射すると癌は丸裸にされてしまい白血球に殺されてしまうことを発見してノーベル賞をもらった。その原理を応用した薬が免疫チェックポイント阻害剤であるが、理屈は分かっていたが実際面ではそれ程成果は上がっていないと思っていたが、今ではかなり成果を上げつつあるとのことで癌治療に光明がさし始めていることが実感できた。 講演会に出席しなければ時代から遅れてしまうものだなとしみじみ思った。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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