農林水産省では、平成19年度、全国各地の農山漁村で脈々と受け継がれ、かつ「食べてみたい!食べさせたい!ふるさとの味」として、国民的に支持されうる郷土料理を「
郷土料理百選」として選定しました。
全国の【郷土料理のそば】を抜粋しました。
※北海道は、全国一のそば生産地だが、残念ながら、そばの郷土料理は認定されていません。
■青森
<< 自然薯そば >>
山菜の幸に恵まれた碇ヶ関ならではの逸品です。
そば粉は100%国内産で、自然の生薬として栄養価の高い自然薯をつなぎに練り上げています。
<< そばかっけ >>
そば切りやうどんなどの麺を作るときに残ったかけらが転じたと言われる「かっけ」。
青森の中でも米がとれなかった南部などを中心に食べられていました。
一辺が5cm程度の三角形に切ったかっけを大根、豆腐などと鍋に入れ、茹で上がったら、にんにくみそやねぎみそをつけて食べます。
<< つつけ(かっけ) >>
「つつけ」とはそば粉を使った「ほうとう」のような食べ物。
かつては切ったおそばは贅沢品とされ、この「つつけ」が農家では主食として食べられていたとか。
「つつけ」の他に、「かっけ」と呼ばれる事もあるそうです。
<< 生そば >>
有名なのは
津軽そばで、津軽地方で独特の製法で作られます。
そば粉を湯で練り上げたタネを冷水に浸し、摺りつぶした大豆(またはしぼり汁)とそば粉を加え再び練ります。
細めにそばを切り、生そばの状態で夏場は一晩、冬場は二晩冷暗所で寝かしてから茹でます。
独特のコシの強さと大豆のほのかな甘みが特長で、江戸時代より市内を売り歩く屋台そばがルーツといわれています。
津軽が生んだそば!津軽そば(3食入)
■岩手県
<< うちわもち >>
そば粉を使った串もち。
じゅうね(えごま)を香ばしく炒ってすった味噌をつけて焼きます。
そば粉にもち米粉をまぜ、熱湯でこね、串にさして手で押して平たくうちわのようにのばし、ゆであげてから、味噌をつけて焼きます。
<< きじそば >>
キジの肉から取っただし汁で食べるそばのことで、このとき肉は出しません。
<< そばかっけ >>
そば粉を熱湯と水でしめしてこね、薄くのして三角に切り、鍋にダイコンやネギなどの季節の野菜、豆腐と一緒に煮上げ、独特なタレでいただきます。
タレはすりおろしたニンニクが入った味噌仕立てが基本ですが、ネギや山椒、くるみを入れたものもあります。
そばどころ岩手県の多種多様な味わい方の中でも、挽きたてのそば粉を使った「そばかっけ」の風味は格別です。
<< そばねり >>
そば料理のなかでも最も手軽にできるもので、ごはんが足りないときや小昼や急な来客の時に食べます。
そば粉をお椀に入れて熱湯をかけ、手早くかき混ぜます。多めに作るときは、鍋にお湯を沸かしそこにそば粉を入れて、へらでねります。
熱いうちに箸でちぎって、くるみ味噌やねぎ味噌をつけて食べます。「
そばがき」とも言います。
<< 手打ちそば >>
かつて米のとれ高の少なかった岩手県北では、米に代わってそばが日常の食べものとしていろいろと工夫されていました。
なかでも細く切った手うちそばは、今でも冠婚葬祭のごちそうとして欠くことのできないものです。
ざるそば、かけそばどちらでもおいしく、薬味としてねぎやもみじおろし等をそえます。
<< 南部せんべい >>
南部せんべいの起源は今から600年以上も前、陸奥の国にお忍びで行幸した長慶天皇(1370~1383在位)に、そば粉を練ってごまをふりかけて丸く焼いて出したことに由来します。
寒冷の痩地でも育つそばと、手焼型を作る南部鉄の産地だったことも起因したのでしょう。
近年まで、この地方では南部せんべいをお産のお見舞いに使ったり、お祝い事や婚礼には煎餅の上に赤飯を握ってのせ、近所にふるまうなどの風習が残っていました。
せんべい汁用の南部せんべい
<< 柳ばっと >>
良質のそばが取れる岩手県北部で数多く伝わるそば料理の一つで、そばのだんごを野菜たっぷりの汁で煮込んだ、寒い冬に芯から体が温まる家庭料理です。
江戸時代、当地を治めていた南部藩により、農民がそばを食すことを禁止されていた時期があり、人々は「これはそばではない、柳ばっと」だといって、そば粉で柳の形の団子を作って食べ続けたといいます。
「柳ばっと」の「ばっと」は、この禁を犯した「法度」からきているそうです。
<< わんこそば >>
朱塗りの椀に一口分ずつ盛ったそばのことを言います。
岩手の山村に古くから伝わり、田植え・稲刈、祭りや婚礼など大勢の人が集り、宴会の時に必ず出される「そばぶる舞い」から始まったと言われています。
一度に大勢の分量を作る事ができない為に、小分けにして運んだことから、お替りを食べる現在のわんこそばの形になりました。
■山形県
<< かいもち >>
山形県特産のそば粉を使用して作ります。
そば粉を沸騰したお湯で練り、一口ぐらいの大きさにしたものをゆであげ、つけだれをかけて食べます。
<< 蕎麦 >>
江戸時代、初めて江戸でそば切りが売られるようになって4,5年後、山形にもそば切りの技法が伝わっていました。
また、天童のそばが幕府への献上品として奉納されていたと記録にも残っています。
山形にはそば処が軒を連ねており、しかも様々に味の工夫をこらして発展してきました。
<< むきそば >>
むきそばは、酒田地方の夏の名物で、冷やして食べます。
関西方面の寺で食されていた精進料理から伝わり、明治初期、北国一の港町として酒田が栄えた時代に料亭で出されたのが始めなのではといわれています。
殻つきのままそばの実を茹で、実を取り出してだし汁にかけていただきます。
素材を生かした上品な味わいで、特にお酒の後に身体にやさしい料理として喜ばれています。
● 酒田伝統の味! 「むきそば」 乾燥むきそば 500g
■福島県
<< そば団子汁 >>
団子と鶏肉、根菜の具沢山の汁です。団子の量は、主食か副食かで調節できます。
<< 高遠そば >>
「高遠そば」は福島県大内宿の名物蕎麦です。
初代会津藩主保科正之が、少年期を過ごした高遠の蕎麦をもたらしたのが由来だそうです。
コシの強い蕎麦に冷たいだし汁と大根おろし、鰹ぶしをかけて、いただきます。
一番の特徴は箸代わりの長ネギ、ネギをかじりながら食べると、ネギと大根の辛みと蕎麦の風味が口の中で混ざり合い、大変美味しいです。
<< 裁ちそば >>
2000m級の山々に囲まれた檜枝岐は、稲作に向かない山間地。
そのため、昔から主食として、そばの栽培が盛んに行われ、さらに数々の工夫を加え、おいしい田舎・そば料理が誕生しました。
裁ちそばはつなぎを全く使わない純生そばです。畳むと割れてしまう生そばを、3ミリ程の厚さにのばし、何枚も重ねて裁つように切ることから、裁ちそばと呼ばれるようになりました。
<< はっと >>
「はっと」は尾瀬への福島側からの入山口・桧枝岐村の料理で、そばを平に延ばした状態で、そば切りにしないでいただきます。
<< 山都そば >>
会津は古くからそば所として知られ、中でもここ山都のそばは、一味も二味もちがうとそば通をうならせる名物です。
もともとそばの栽培に適している気候に加え「町おこし事業」として、町を上げて力を入れていますので、自慢の味はもちろんのこと生産量もますます増えています。
9月に、白い花をつけたそばは10月に収穫され、家々では、新そば打ちがはじまります。
つなぎを全く使わないそば粉100%の純白に近いそばは、喉ごしの良さが自慢です。