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I歯科医院の高楊枝通信。

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2024/06/27
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カテゴリ:虫歯の電気化学説
30代女性、左上4、歯茎部カリエス

この部分が虫歯になりやすいのはこの部分に食渣が溜まりやすく、細菌(プラーク)由来の高酸性環境と低酸素濃度環境になりやすいからだが、

今のところ虫歯が電気化学的腐食であるというのはまだ知られていない。

虫歯は歯が酸で溶けたものと思われているが、そんな単純なものではない。

なぜ象牙質だけが虫歯になりエナメル質は全く溶けないのはなぜか?
なぜ歯肉縁下の象牙質は虫歯にならないのか?

現代歯科医学ではこれに答えることはできずに完全スルーされている。

「​虫歯の電気化学説​」では酸性環境というのは必要だが、それに加えて酸つまり水素イオン(H+、プロトン)を歯牙の内から外に押し出す起電力が必要だ。

なぜなら虫歯とは電気化学的に歯牙の主成分のハイドロキシアパタイト(HA)が崩壊する電気的腐食の一種だからだ。
つまりH+がHAの構成要素のカルシウム(Ca)から電子を奪いカルシウムイオン(Ca2+)になり2H+がH2になる過程でHAの結晶構造が壊れるということだ。

HA内外に起電力があれば、HAの中にH+が伝導するという事実がある。八島、藤森論文に詳しい。

プラークに覆われているその下は酸性環境になりやすいだけではなく、酸素濃度が低下しやすく「​酸素濃度差腐食​」が起こりやすい。酸素濃度の高低差のある部分間に起電力が発生するということはよく知られている。

もう一つに起電力として異種金属が酸性電解液中に接触しているというのがある。異種金属腐食とかガルバニック腐食と呼ばれるものでイオン化傾向の異なる2つの物質があると起電力が発生するというものだ。

この虫歯の場合、エナメル質〜象牙質間に起電力が発生する。イオン化傾向がエナメル質に比べて象牙質の方が大きい。

イオン化傾向は異なる金属間だけの話ではない。歯牙間でも歯牙と金属間にでも生じる。

この症例ではエナメル質は溶けずに象牙質(歯根)だけが溶けている。単に酸に溶けるというのならエナメル質も溶けるはずだがそうではない。象牙質が腐食電極になりエナメル質がその対電極になるということで理解できる。

また歯肉縁より下の歯質は溶けない(虫歯にならない)。この理由はH+がHAを通り抜ける時にCaから電子を奪う前に歯肉の中に取り込まれるからだ。

電気抵抗という考え方から言うと、H+にとってはHAより歯肉の方が電気的抵抗は低いからと説明できる。

これらの現象は現代歯科医学では全く説明ができない。虫歯の成因は実は全く知られていないにもかかわらず、予防だ、治療だと言っているという驚くべき状況なのだ。

流行りの言葉で言うと、歯科治療にはエビデンスが全くないと言うことになる。
実に恥ずべき事態が100年以上も続いている。

では時系列で見てほしい。

エナメル質は溶けていない。溶けているのは象牙質だけだ。


虫歯を削り取ったところ。


CRで充填した。





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Last updated  2024/06/28 02:14:14 PM
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