今日は歌舞伎座。
團菊祭五月大歌舞伎 昼の部の外題は、
一、義経千本桜(よしつねせんぼんざくら) 渡海屋 大物浦
渡海屋銀平実は新中納言知盛:海老蔵 源義経:友右衛門
武蔵坊弁慶:團 蔵 典侍の局:魁 春
二、六歌仙容彩 喜撰(きせん)
喜撰法師:三津五郎 祗園のお梶:時 蔵
三、極付 幡随長兵衛(きわめつき ばんずいちょうべえ)「公平法問諍(きんぴらほうもんあらそい)」
幡随院長兵衛:團十郎 水野十郎左衛門:菊五郎
出尻清兵衛:三津五郎 極楽十三:権十郎
雷重五郎:松 緑 神田弥吉:海老蔵
近藤登之助:彦三郎 唐犬権兵衛:梅 玉
長兵衛女房お時:藤十郎
壇ノ浦の合戦で海へ身を投げたはずの、安徳帝、乳母の典侍の局、平知盛が、実は生き延びていて、源義経を討つ機会を狙っているっていうことになってる。
「渡海屋(とかいや)」では、魚づくしが楽しかった。
「鰯(いわし)ておけば飯蛸(いいだこ)思い、鮫(さめ)ざめの鮟鱇(あんこう)雑言。いなだ鰤(ぶり)だと穴子(あなご)って、よくい鯛(たい)目刺(めざし)に鮑(あわび)たな」
(⇒言わしておけばいいだろと思い、様々の悪口雑言。田舎武士だとあなどって、よくも痛い目にあわせたな)
「鯖(さば)浅利(あさり)ながら、鱈(たら)海鼠腸(このわた)に帰るというはに鯨(くじら)しい。せめてものはら伊勢海老(いせえび)に、このひと太刀魚(たちうお)をかまして槍烏賊(やりいか)」
(⇒さはさりながら、ただこのままに帰るというは憎たらしい。せめてもの腹いせに、このひと太刀をかましてやろうか)
歌舞伎美人より
西海に沈んだ知盛の怨霊が義経を襲うという作戦のため、海老蔵さんが白装束で現れる。これが白糸威(おどし)の鎧、銀の烏帽子に白柄の薙刀と豪華な衣装で、海老蔵さんが大きく輝いてた。
続いての「大物浦(だいもつのうら)」
作戦は義経にバレていて、苦戦を強いられる。
幼帝の身を案じた知盛は、深手を負いながらも大物浦に戻ってくる。
豪華な白装束が血に染まり、目は赤く血走り、口からも血が流れ、すごく生々しい。
子役さんの安徳帝は義経の元にいて、「永々の介抱はそちが情、今日またまろを助けしは、義経が情けなれば、仇に思ふな知盛」と言われてしまい、典侍の局も自害する。
知盛は、「これといふも父清盛、外戚の望みあるによつて、姫宮を御男宮と言ひふらし、権威を以て御位につけ、天道を欺き天照太神に偽り申せしその悪逆、積り/\て一門わが子の身に報ふたか、是非もなや」と嘆き、「昨日の敵は今日の味方」と帝を義経に託し、大碇の綱を体に巻きつけ仰向けに大岩の上から海に飛び込む。
そのストーリにか、海老蔵さんの演技にか涙してしもた。
喜撰(きせん)は、三津五郎さんの品があるのにお茶目な踊りが楽しい。
幡随長兵衛(ばんずいちょうべえ)は、最後に長兵衛が殺されるのが湯殿(風呂場)なので「湯殿の長兵衛」という通称がある。お風呂場で殺されるってどうやってやるんやろうって興味があった。
團十郎さんが、浴衣姿で大きな木の湯舟に入ろうとしたところを、菊五郎さんの水野十郎左衛門と彦三郎さんの近藤登之助に前後から斬りつけられる。
長兵衛女房お時を藤十郎さんがやってはって、團十郎さんが裃に着替えるのを手伝うシーンもおもしろかった。長兵衛倅を演じてた子役の中村玉太郎さんも立派やった。7歳でこんな演技ができるとはすごいなあ。
淡々と演じてはるだけに、任侠の世界は大変やなあと感じられた。
家を出る時の女房お時へのセリフがすべてを表してるようやなあ。
「おれのねえ後にも決してこんな商売をしようと思うな。お時、こいつにゃァ決してこんな商売をさしてくれるな、そりゃァ、常綺羅で岡目からは面白おかしく見えるだろうが、三百六十日のその内にゃァ、血の涙を腹の中へこぼすことはたび/\あらァ。そりゃ年中ぼうた布子にくるまって天秤棒を肩にあて、人参牛蒡を売ろうとも、商売往来にある稼業をして、かかあやがきに泣きを見せるな。いいか、分ったな。ごりゃおれの遺言だ。」
夜の部の白浪五人男もよかったけど、昼の部も見ごたえがあった。
追記
この日は外人さんがようけ来てはった。3階A席の4分の1ぐらいを借り切った団体さんみたいやった。一幕席で団体さんは見たことあったけど、通しでの団体さんには初めてあった。
ちゃんと最後まで観てはった。英語のイヤホンガイドをしてはるせいか、日本人とは違うところで笑いが起こったり、席が窮屈なのか、幕が降りるたびに立ち上がったりしてはった。
なんやうれしいなあ。
今日のラッキーくじは、Infoseekが1ポイントアタリやった。
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