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カテゴリ:東京都その他
勝手を知らぬ地縁の薄い町で、ちょっとした用事があったとする。そんな機会があったら当然、その夜は早々に用事を済まして、見知らぬ町を思う存分に散策してみたくもなるものです。だから事前にすでにして綿密なリサーチを嬉々として行っているのでした。しかし、どうもその町には芳しい酒場はなさそうということになろうとそう困ったり憤慨する必要はないのです。何しろ時間はたっぷりあるのだから、近隣の駅に移動すれば何とかなるだろう。実際にお隣の駅には気になる酒場もあるから散策が不首尾に終始するとなれば、慌てず焦らず目当てを近隣に切り替えれば済むだけの事なのです。しかし、早々に用事を済ますという大前提を忘失することがある。リサーチが加速してもう本来の目的はどこへやら、興味の向くままに調べを尽くす過程で、用事が長引くといういかにも生じうる予定変更が脳内から消し飛んでしまうのです。まさに日野で起こったのがこの事態であります。日野の駅前を散策してどうにもならなかった場合は豊田なりに移動すればよいだけの事と能天気にも考えていたのです。しかし、時間は10時も近く日野を散策する余裕もないし、移動などして時間をロスする訳にもいかぬということでやむなく普段なら見送るであろう一軒の居酒屋に入ることにしたのでした。
見送ろうと、そう思った所以は極めてはっきりしています。「居酒屋 夢路」はまずもって見栄えが立派でちょっと高級そう、居酒屋と呼ぶには貫禄が有りすぎるように思えるのです。立派ということはお値段が張るに違いない。財布の中身まで予定に併せるというのはやはり想像力というか危機管理意識の欠如を認めざるを得ないのであります。だからといって躊躇する暇はないのです。愚図愚図していて店仕舞いの時間となってしまっては、わざわざ日野まで来て全くの収穫なしということになりかねぬ。金銭面に不安が生じたら潔くしまったという風な演技にて最低限の出費で店を出ればいいだけの事である。と店内のカウンター席に着くまでの間に気持ちを確認し、品書きを開いたのでした。おう、案外庶民的な価格帯ではないか。生ビールもお手頃だから当然注文することにしようか。肴は、そうねえ時間も時間だしといつものように迷うこともなく魚介サラダを注文したのですが、これが正解でした。いや、随分前の話だから実のところほとんど覚えていないのだけれど、生臭いとかの理由ではなくその正反対に旨いのだけれど量が多くて持て余してしまうほどなのでした。野菜も取れると一緒に食べてカルパッチョ風味を味わうこともできる。なんて気取った感想はみっともないけれど、ぼくはここにまた来ることがあってもこれで肴は十分だなあ。なんてカウンターの隣席の男性はこれまでに散々食い散らかしていたにも関わらずさらに3品も注文していやがる。他人が何を注文しようと構いはせぬのだけれど、聞こえるか聞こえぬかで店の大将に向かって、どうやらぼくのことをちょいとおちょくったようだから書いておくことにしよう。酒も進まずに肴ばかりガツガツ食らうのは店の方はいいかもしれんが、余りかっちょよくないぞ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2019/02/21 08:30:07 AM
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