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カテゴリ:中部地方(北陸・東山・東海)
甲府の町については、気になるところがあるのです。地元の方が生活を送り仕事に就かれている方もおられるから、門外漢のぼくがあれこれと難癖をつけるのは傲慢と偏見の誹りを免れぬところであるのかもしれません。それでもあえて言わせていただきたいのだ。それは甲府の役所街の裏手にある繁華街、というか歓楽街のことであります。どこにどう一言述べたいのかについては、あれこれ書きたいと思っていたけれど、今しがた仔細については語らぬことにしました。というかこれだけ書けば、甲府の町を訪れた方であれば凡その推測はつくものと思っています。町というのが多様な人々が跋扈して聖俗入り混じってくるのはどうにもならないことではあるけれど、甲府に好意を抱く者としてはもう少し何とかならないものかと思うのです。役所の裏手にあるのに政治家や役人たちがそれを放置して良しとしているのは、彼らこそがそこの常連であるのではないかと邪推してしまうのです。まあ、ぼく自身が好んで出入りするような酒場であってもそれを嫌悪する人々にとっては、団栗の背比べにすぎにかもしれぬけれど、ぼくには甲府の呑み屋街はとても魅力的に思えるのです。
風俗店が立ち並び呼び込みの男たちの群れをかき分けて行くと、細い小路が何筋か覗き込みつつ歩いていくと「居酒屋 えいじ」の看板を見つけました。路地の奥までにも多くの小さな酒場が連なっていますが、以前探索した時のような活況はなく、どうも活気に欠ける感じがありました。単に暑さのせいで人々が町に繰り出さぬだけということであればいいのだけれど、どうもそれは楽観的に過ぎる見方のように思われます。さて、いつでも同じ感想になりますが、こうしたマーケット風の呑み屋街というのは素通りして眺めるほどには実際にそこに身を置いていると面白くはないもののようです。でもまあ酒場放浪記で放映されたらしいけれど、すっかりメモし損ねていてこれまで立ち寄ることすら思いつかなかった一軒のお店です。こちらの主人はかなりの曲者のようで、曲者と書くと悪いイメージが付きまとうけれど、この方は人柄がよいのは間違いなくて、青唐辛子や小梅の調理について丁寧に教えてくれるのは参考になりました。ただ根っからの遊び人のようです。遊び人というのはどこまでも凝り性であることと同義であり、その対象が女性であったり、着物であったり、料理であったりと様々ですが、いずれも私的な拘りで武装されていて、他人の意見など頑として受け付けぬ意思を感じさせるのでした。さて、そんな拘りにはジビエに対しても当然あって、その処理方法なども事細かに語っていただきましたが、確かにここでいただいた各種ジビエはいずれも全く臭みがなくて、むしろ物足りぬほどなのです。ジビエに嫌悪を感じる方にはぜひとも召し上がっていただきたいと思うのです。個人的に大いに参考になったのはそば粉のお好み焼きみたいな品で、これはそば粉に卵と水を加えたものにとろけるチーズを加えて、フライパンで焼いただけのシンプルな品だったのですが、これがなかなかおいしいのです。自宅でも真似してみようと思いつつそのままになっていましたが、今、書いていて思い出したので、今晩にでも試してみることにしたいと思います。 さて、もう一軒。「大衆割烹 友四郎」にお邪魔しました。地方の町にしっくりと馴染んだごくごく普通の大衆居酒屋であります。まだ深夜というには早いのにもうすぐ閉店の時間を迎えるとのことでありましたが、幸いにも中に通してもらえました。甲府らしい肴などほとんどんないけれど、座敷の多いオオバコだけれどせせこましいところがいかにも甲府の酒場らしくて、案外居心地よく酔うことができました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2019/08/19 08:30:06 AM
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