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カテゴリ:中部地方(北陸・東山・東海)
犬山の事は、事前にそれなりにしっかりと呑み屋探しをしておきました。というのも過去に訪れた朧気な記憶だと夜遊びするには不向きな店という印象が強かったからです。実際にリサーチしても雰囲気の良さそうな店は案外少なくて、たまに古い店があっても日中だけの営業ととても残念な事になっているのです。ならばもう無駄な足掻きはやめて食べたい物を食べることにしよう。犬山の名物は豆腐の田楽とかまあ正直余り食手の動く物じゃないから、いっそのことビストロとかフレンチにしちゃおうと思い立ったわけであります。でも予約は敢えてしませんでした。まあ、何とかなるだろうと高を括ったという事もあるけれど、旅の最中だと突然に食欲不振に見舞われるなんてことが往々にしてあるものです。その日宿泊する事にしていたホテルの近くに国だか県だか市指定の文化財とかいう奥村邸というのがあって、そこに「フレンチ 奥村邸」とそのままの店名のやや格式の高いお店があったのだけれど、そこはマナー教室なんかもやっていて、ドレスコードにも喧しそうだからよす事にしました。翌朝犬山城見物のために歩いてみたらホントにホテルとは目と鼻の先の位置にありました。立派な建物ではあるけれど、周辺がゴミゴミとした場末めいたムードだからちょっと違和感がありました。 結局、駅の反対側―これが無残な程に再開発され歴史ある町としての体裁を一切留めてはいないのです―のショッピングモールを目指したのでした。記憶が曖昧ですがここももうじき閉まるというようなことが記されていたように思うから駅前の空洞化は犬山でも変わらぬようです。さて、こんなショッピングモールの隅っこに40種類のワインとオーガニックフレンチを標榜するビストロ「Sou-Sou」はありました。地方都市の事をバカにするつもりは毛頭ありませんが、こうしたカジュアルな雰囲気の料理屋というのは和食は別かもしれませんが、フレンチに限らず諸外国の料理屋は東京、大阪、名古屋、京都といった大都市圏のものが上質だという印象があります。高級店は、地方都市でもハイレベルな店があったりするようですが、カジュアルな店は家庭料理に毛の生えた程度ということが少なくないように思われるのです。ならば定評のあるお店に行くのが正解という事になるはずですが、そうはできなかった理由は先に述べたとおりです。高級店でもドレスコードのない気軽な店もあるようですが、それはそれで店の雰囲気とはそぐわぬ気もします。そんなこんなと言い訳してますが、単にケチだというのも隠しても隠せぬ答えなのです。さて、こちらのお店、地元の奥さま達で結構な賑わいを呈しています。駅もすぐ間近なのに人通りの少ない駅前通りとは隔世の感があります。コースは選択肢がない―いや、あったかもしれませんが選択肢は極めて少なかったかも―のが少し残念ですが、選ぶ余地があってもにたようなものを選んだからまあ支障はありません。それよりもオードブルが盛合せというのが気掛かりです。往々にして盛合せというのは、楽しげではあるけれど実食すると各々の料理は手抜き感が強かったりする事も多いのです。でもここのは全般にちゃんとしていて楽しめました。スープも付いていました。夏らしくヴィシソワーズでこれがさっぱりしてとても美味しい。メインもいいし、デザートのクリームブリュレも実にちゃんとしているのです。食レポとして、何も語っていないみたいなものですが、結論としてはとても美味しくて満足度の高いコースでした。地方都市にだって美味い料理を出す店もあると思い知らされることになりました。カウンター席には立派なフランス料理本も並べられていて、それらを眺めながらゆっくり食事とお酒を楽しんでみたいなあ。でも今後ショッピングモールがどうなるかで店のあり方も変わってしまいそうで心配です。犬山の町にいながら都内での普段の夜のような気分になりました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2019/09/16 08:30:07 AM
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