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職の精神史

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2008.04.27
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※この文章は、2003~2006年に大学生・若手社会人向けに配信されたメルマガ『内定への一言』のバックナンバーです。


117.「二十代は、夏ではなく冬だ」(「十八史略の人物学」伊藤肇・PHP文庫より)


財界人を中国古典の人物鑑定法で評価し、日本的経営に「王道」を説いた昭和の名ジャーナリスト・伊藤肇さんはいくつかの名作を残していますが、その中でも今日の「十八史略の人物学」は、僕が独立する前に約一年間、毎週月曜の朝六時から「早朝勉強会」を友達と開催し、その時のテキストとして使った思い出の本です。


既に絶版となっており、書店で手に入れることはできませんが、この本には昭和を代表する企業の創業社長がまだ若かった頃のエピソードや言葉が多数収録されており、「金持ち父さん」や「80対20の法則」も、これに比べると薄っぺらに思えます。


その第四章(四二ページ)に「四時の序、功を成す者は去る」というテーマで、「春夏秋冬は、おのおのの功を成し遂げると、順序良く移り変わっていくものだ。春は万物を発して去り、夏はこれを成長させて去り、秋はこれを成熟させて去り、冬はこれを収蔵して去る」とあります。


この言葉を、勉強会を開いていた二十五歳当時、何度も友人たちと読み返しました。社会人の参加者では、呼びかけ人に僕が一番年下で、さらに下になると、当時大学二年だった安田光良君(FUNを作った学生)もいました。 そこで、「二十代は春じゃなくて冬だ」という伊藤さんの指摘に、皆ドキッと来たわけです。


二十代といえば、あたかも「人生の夏」のように思われています。体力・精力ともに壮健で、何か思い出を残しておかないと損するような心理に駆られ、目の前の現実を適当にごまかし、自分の怠慢や感情的、散発的衝動を正当化する根拠をひねり出すために頭を用い、色々理屈をこねるものの、何一つ達成できなかった…という「Mr.中途半端くん」もたくさんいます。


二十代が夏、という定義も、本人が同意しているなら良いでしょう。しかし、夏として過ごせば、後に来るのは秋であり、冬です。


つまり、大学を卒業して社会に出れば、あとは無残に枯れるのみ。反対に、二十代は「冬だ」という前提で過ごし、周囲のあらゆる誘惑に耐えて、学問や貴重な経験を積み重ねた人には、例外なく春が来ます。将来はどうする、と考えるなら、今をどの季節だと思って過ごしているかが大事。今の捉え方で、卒業後はもう決まっています。


ちなみに伊藤さんは、別の本で「体験と経験の違い」についても卓見を示しています。「体験」とは、本人の自覚や希望にかかわらず、あちらから一方的に降りかかってくる現実のこと。あるいは、気分的に自分をある状態に放置しておいたら、降りかかってきたこと。


「経験」とは、降りかかってきた現実や再度訪れた体験に対して、自分の才覚や知恵を生かして工夫し、何らかの有意義な結果を出そうとあれこれ対処して得た洞察や行動形式のこと。 これは優れた定義ではないでしょうか。


体験は誰でもできるが、経験は人によって異なってくる、と言っているのです。体験の数より、経験の回数が人を作る、と言っているのです。体験があなたを決めるのではなく、経験があなたを作る、と言っているのです。


さてあなたは、今日起こることにどう対処しますか?起こったことではなく、対処の仕方が卒業後を作りますよ。これから八~十二年続く冬の時代、しっかりと知識と経験を「収蔵」し、来るべき春に備えて、しっかりと底力を養いましょう。


学生は遠慮しているだけで、誰でも素晴らしい可能性を秘めているのですから、秘めている可能性の大きさを誇って現実逃避をするような情けない真似は即刻やめて、実際に行動しましょう。


「でかい」と言いながら動かない人間は、器も夢も小さい人間です。枯れさせるか実らせるか、それも自分の経験になります。 亡き父の六十三回目の誕生日、今日も学生と貴重な学びができる自分に感謝しながら、僕自身もこつこつと成長していきたいと改めて思う日々です。





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Last updated  2008.05.08 04:57:48
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