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職の精神史

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2008.05.27
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経済学・哲学手稿


マルクス「経済学・哲学手稿」(国民文庫)



本書は若きマルクスが、労働価値説剰余価値説を論証しようと思って書き溜めた原稿集だ。


労働価値説と剰余価値説の誤謬、そしてその論理が職業観に及ぼす深刻な影響は、既にサークルでは「経済思想ゼミ」、「職業観ゼミ」の合計14回で詳細に論証した。


だが、ここで再度、この二つの「理論」が就職活動や仕事にどういう影響を及ぼすのかを考えてみたい。



「労働の価値」、すなわち「賃金」は何によって決まるのか。


もし、その答えが分かれば、その人は給料を増やす根拠を知ることになる。つまり、もっと多く稼げるようになるはずだ。


マルクスが労働報酬の根拠として考えたのは、「投下時間」であった。


マルクスが言う「労働」とは「自己疎外」であり、「資本家からの強制」であり、その報酬が「労働者自身を再生産するに留めるだけの最低限に据え置かれていること」こそ問題であった。



「労働者自身の再生産」と聞けば分かりにくいが、要するに、「生活費が最低限稼げる程度」という意味である。


明日も今日と変わらない程度の自分を準備できれば、それを「再生産」と言ったのである。


だから、この嫌で、大変で、やりたくもない労働に拘束され、耐えていることは、それだけで見上げたことである。


会社や工場に拘束されて、そこで資本家の命令に服している時間は、それ自体が「拘束」であり「労働」なのだから、その時間こそ「報酬の対象」である。


マルクスの考えはこうであった。



この「労働価値説」、つまり「働いた時間の長さが給料に比例する」、あるいは「されなければならない」という発想に立てば、長々と働いていること自体を持って「私は頑張っている」と思い込むことになる。


長時間働いたのに、その見返りが少ないと、「正当に評価されていない」と不満を持つことになる。心の中は怒り、嫉妬、憎悪、偏見、劣等感で満たされていく。


なんとなれば、彼の頭の中にある価値尺度は、「いくらの付加価値を生み出したか」ではなく、「何時間拘束されていたか」だからだ。


労働の価値を節約・創造といった「相手本位」のアウトプットで測るのではなく、投下という「自己本位」のインプットで測れば、世のほとんどの仕事は「不当労働」に見えてくるだろう。


「こんなに頑張っているのに、どうして給料が低いんだ!」という場合の「頑張っている」は、主観的な努力なのか、それとも客観的な努力なのか。


マルクスは主観的努力を労働と見なした。



さらに、会社は「利益」というものを生み出す。


マルクスはこの「利益」にも当然着目した。


そして、この利益の作り手は「労働者」だとした。


なぜなら、500円の「小麦粉」を1,000円の「パン」に加工・変形させて商品とし、500円の余剰収入を発生させた直接の当事者は「労働者」だからである。


だから、その差額の500円は、労働者が全額をもらうべきである。


…なのに、労働者が受け取る賃金は、500円ではなくもっと少ない金額となる。



なぜか?


マルクスは「資本家が搾取しているから」と結論した。共産主義とは、あらゆる不満や嫉妬に「理由」をくれる思想である。


すなわち、利益という、販売によって新たに創造された「剰余価値」は、本来労働者のものであるところが、狡猾で欲深な資本家が「不当に奪い取っている」というのであった。


だから、この利益の還元を請求するのは「奪う」のではなく「取り戻す」というべき行為であり、悪徳資本家と戦うため、労働者は団結しなければならない、と説いた。


彼自身が「共産主義の学校」と呼んだ労働組合を結成することによって。


「共産党宣言」とは、その運動の決起文書にほかならない。



■「給料は投下労働時間が決める」

■「利益は本来、労働者のものであるべきだ」




この二つの虚妄が、共産主義経済理論の二本柱である。


わが国の学校教育でも、公民、政経、歴史などは、この二つを基礎として教えている。


その教育を受けてきた学生たちの職業観、企業観、給料観、利益観は、共産主義そのものである場合がほとんどだ。



私が若者が「ソフト・コミュニスト」だと感じるのは、彼らの口癖を聞くときだ。



曰く…


「やりたいこと」。


「本当の自分」。



マルクスそのままである。



マルクスは労働を「阻害された営み」であると定義し、労働者を「本当にそうありたい自分であることを許されていない、阻害された存在」であると呼んだ。


本当は自由に生きたいのに、仕事などというものをしなければ賃金が稼げないように世の中が出来ているから、仕方なく資本家の命令に従って、人生の貴重な時間を奪われるままに差し出さなければならない…。


資本家がもっと利益を還元すれば、労働者は今より少なくしか働かなくてよくなるのに、金持ちは強欲でケチだから、本当のことが分かっている正直者の労働者はいつも損してばかりだ…。



ああ、自分が思うようなことをやって、楽しくいきたいのに、その願いは叶えられることはない。


せめて、自分の自由が奪われる仕事が、どうか自分の要求、つまり「やりたいこと」と少しでも近いものでありますように…。


今の自分は会社や権力で歪められ、苦しめられて、思うような自分ではない状態に変形させられている自分だ。


今の自分はそうありたい自分ではない。「本当の自分」は、もっとかっこよく、もっとすごく、もっと生き生きとしているはずなんだ。


それを「社会」が邪魔するんだ…。


まったく、バカげた妄想である。



学生の大半は、学校教育によって「自覚せざる共産主義者」に育て上げられているため、初めて会社や仕事と向き合う時に戸惑う。


最初から会社や仕事を嫌なもの、きついものだと決め付けている。


特に国立大学の学生の思想的奇形度はひどく、わが国の優等生は政府や大企業に「保護」されたがる。


つまり、「特権的地位」を欲しがる。



その国の学校教育で最も優秀な人間たちが、どういう将来設計を志向するかを見れば、その国の経済制度の「本音」は丸見えだ。


わが国では「官」を目指すエリートが多い。


わが国の優等生は「経済の将来性」や「将来伸びる事業」などを考えてはいない。


ただ、税金で教育され、税金で調教され、税金で養われ、税金を搾取し尽くして一生を終えるのである。


エリートが続々と民業振興に立ち上がった明治期とは雲泥の差である。


若者達は知っているのだ。社会主義の国では、税金を納める側よりも、取り立てる側にいた方が得するということを。



そういう教育の結果、わが国は国家予算の十倍もの負債を抱えることになった。


どこの会社が、資本金の十倍もの債務超過で存続することができようか。


まともな資本主義に則っていれば、日本政府などとうの昔に倒産している。


それが倒産しないのは、赤字国債を乱発して、輸血と厚化粧で仮死状態を保っているからだ。


つまり、わが国は実質的には、既に「倒産企業」なのである。


そこにまだ「官志向」のエリートが多いというのだから、将来は暗い。瀕死の親のすねをかじろうとするハイエナを育成しているのだから。


どんなに成績が良かろうと、どんなに有能であろうと、人生の目標が「自分の幸せ」であるような人間をエリートとは呼べまい。



私は「自由と規律」(池田潔・岩波新書)に書かれているイギリスのパブリック・スクールの教育を知って、悔しいが、わが国の教育は絶対にイギリスには勝てないと思った。


イギリスに言いたいことは色々あるが、彼らは本当に大人だと思った。


こういう教育を見て思いだすのは、江戸時代の私塾や各藩のユニークで独創的な教育である。



学校教育は私の任ではないが、私は職業教育を通じて、将来の日本を担うような真のエリートを育てたい。


そのためには、日本からマルクス主義を駆逐しなければならない。


問題を正しく知るためにも、読むのも嫌で面白くないが、共産主義の文献の研究は欠かせない。





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Last updated  2008.05.28 00:21:19
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