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カテゴリ:太宰治
三鷹市は、市制施行60周年プレイベントとして、
生誕100年記念写真展 太宰治の肖像 を、12/23まで、三鷹の芸術文化センターでやっているそうです。 トンビを着てうつろな目をしている太宰の顔、顔、顔。 手酌で酒を飲んでいるところ。 その背後の障子はどこもかしこもアナが空いている……。 ちょうど「ヴィヨンの妻」の頃ですかね。 終戦後、三鷹に住んでいた太宰。 「人間失格」の文庫についていた奥野健男の解説に、 太宰は人間としての人生は、 27歳のときに終わったと自分で思っていて、 そこから先は、ただ作家として生きてきた、 そしてそのいきさつを、 「人間失格」ですべて吐き出して、 もう思い残すことがなかったから自殺した、 それが、40歳のときだった、と書いています。 だから「人間失格」のラストは 「自分はことし、二十七になります。 白髪がめっきりふえたので、たいていの人から、四十以上に見られます」 と結ばれている、と。 この解説を今読んで、それから当時の写真を見ると、 また今までと違った感慨が湧いてきます。 どす黒い「自分」を内包しつつ道化を演じていた若いとき、 その「自分」を飼っていたところは空洞のまま、 道化だけで生きようとしたその後。 太宰の「本当の自分」は、誰にも理解されぬまま、葬られていたのかもしれない。 だから 「死のうか」ってすぐなっちゃうんですよね。 お前は既に死んでいる、状態なんだから。 写真の中に閉じ込められた太宰の瞳にうつっているものを また追ってみたくなりました。 *昨日、アクセス数が30万を超えました。 みなさん、いつもありがとうございます。 もうすぐブログ開設3年になります。 文化センターでは、本日12/9、 「ヴィヨンの妻」の朗読会もあるそうです。 (事前申込みが必要のようですが、関心のある方は問い合わせてみてください) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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