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今が生死

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2023.03.31
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カテゴリ:悲しかったこと
甲府の武田通りの桜

今月一杯でご退職の同僚の先生から詩人茨木のり子さん(1926/6/12~2006/2/17)が49歳の時25年間連れ添ってきたお見合いで結婚した夫三浦安信さんを肝臓がんで失い、その悲しい気持ちを面々と綴ってきた「歳月」という詩集について教えて頂いた。
その詩集は39編からなり、いずれも亡き夫への恋慕の気持ちを詠っているが自分が死ぬまでは絶対公開してはならないと秘密にしてきたもので79歳で亡くなった翌年の2007年に発行されたものである。
何れの詩も如何にご主人を大事に思い、そして突然いなくなってしまってどんなに悲しいかを詠ったものだがそのうちの一つ「一人の人」を紹介する。

一人のひと

ひとりのひとを通して
たくさんの異性に逢いました
男のやさしさも こわさも
弱々しさも 強さも
だめさ加減や ずるさも
育ててくれた厳しい先生も
かわいい幼児も
美しさも
信じられないポカでさえ
見せるともなく全部見せて下さいました
二十五年間
見るともなく全部見てきました
なんて豊かなことだったでしょう
たくさんのひとを知りながら
ついに一人の異性にさえ逢えないひとも多いのに

*恋しい人だけどすべてが素晴らしかった訳ではない。ダメさ加減もずるさも見てきた。可愛い幼児性や信じられないようなポカもやった人間性を見せてくれた。それでも愛おしい。みるとはなしにみんな見てきた。
自分は一人の男しか知らないがその男を通じて大勢の異性を知ることができた。世の中にはいっぱい男と付き合いながら、あるいは何十年と結婚生活を送りながら一人の異性にも逢えない人もいる中でこんなに大勢の異性と逢うことが出来て幸せだったと詠んでいる。
おのろけだが本当のことだと思う。結婚していながら相手をよく知らないままそれぞれ死んでいく夫婦も多い中でこれほどよく理解しあった夫婦はいないのではないかと思った。

同僚の先生は医局で隣席だったので宮沢賢治や井伏鱒二、茨木のり子などの詩人や作家、アフガンで井戸を掘ったり灌漑用水路を作った中村哲医師などを紹介して下さって図書館から借りてきた本を又貸しして下さったりした。お蔭で随分勉強させて頂いたが、明日からはもういらっしゃらないので一抹の寂しさを感ずる。
図書館から借りてきた本をまた貸ししてくれる人がいなくなったので、これからは自分で自分を豊かにしてくれる詩人とか小説家を探していかなければならないなと思っている。







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Last updated  2023.03.31 22:49:25
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