町方ですすられるそばに対して、僧侶が精進料理としてすすった寺方そばの店。
向島に本店(昭和2年創業)があり、
『
円龍のそば行脚』によると、本店を2代目、銀座店を3代目、浅草店を長年の職人が受け持っている、とのことで、ようやく本店を訪れる機会を得た。
【寺方蕎麦 長浦 向島本店】 墨田区東向島6-38-2
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「蕎麦の起源は寺にある」といった特集を扱っている雑誌の
『
一個人 こだわりの本格蕎麦』や
『
蕎麦春秋 2009年 03月号』などには、だいたい2代目店主が登場する。
愛知県妙興寺に慶長年間在籍した、僧侶恵順が記した「蕎麦覚書」を現代風に再現している。
「散歩の達人2008年10月号」では、”
非凡蕎麦の悦楽”(34~35ページ)と題して紹介されている。以下引用。
「
そば屋の親父というより研究者です
全く非凡過ぎる。それは店主伊藤さんの知識。町方(まちかた)ですすられる庶民のそばに対して、僧侶が精進料理としてすすった寺方(てらかた)そばの店を切り盛りするうち、そばを含めたわが国の「粉食文化」起源を追う研究を始めたのです。
大学のセンセイと論争する伊藤さん、大量の資料を読み解くうち、今では本を出したりエッセイを寄稿するほど。
でもやっぱりそば屋の親父!さっと茹で上げてくれるそばはンまいです!」
ちなみに、他に
「そば屋の親父というより自然愛好家です 菊元」
※天井のプラネタリウムを見上げながら手打ちのそばをすする
「そば屋の親父というより芸術家です 美舟音」
※そばがいかだに乗ってドンブラコと流れてくる
が載っている。
さて、軽くそば屋酒。サッポロ(中ビン)\650と『豆腐の味噌漬』\600。
これはちょっとしょっぱい。日本酒向き。
『だし巻き玉子』\1,000。
銀座店、浅草店では真ん中に人参と青菜が入ったものだが、こちらのは青海苔を入れたもの。
本店が違う料理法にするとは、ちょっと驚いた。
〆で『妙興寺そば』\1,100。
「
茹で上げた蕎麦を冷水で洗い、白鬚大根と和えて椀に盛り、いり胡麻、海苔を蕎麦の上に散らします。
汁は、庫裏納豆、あるいは寺納豆ともいわれた食材を調味し、禅味の代表的な蕎麦といえるでしょう。」
とのことで、銀座店で薄く感じた味噌ダレの味がこちらでははっきりとし、これは浅草店でも同様。
さっぱりした味。細いそばがおいしい。
ごちそうさまでした~
【関連ブログ】
@銀座
2009年04月26日:寺方蕎麦長浦@銀座で『妙興寺そば、もり』
@浅草
2009年02月01日:寺方蕎麦長浦@浅草で『もり、だし巻き玉子』
2008年06月25日:寺方蕎麦長浦@浅草で『そば般若』
2007年11月28日:寺方蕎麦長浦@浅草で『妙興寺そば』