20代男性、左上3、温冷痛+
レントゲン写真ではほぼ露髄しているので、現在の歯科医療の水準での診断では歯髄の保存は難しい。後で痛くなりますので、神経は取って差し歯にしましょうと言われる。それが収入源でもあるからだ。
CRらしきものが見えるが、周りは虫歯なので意味はない。謎だ。
とりあえずマージン付近の虫歯を除去したが、(当然無麻酔)歯肉縁下に及んだので、出血してしまった。
露髄もしている。
神経が生きているのかどうかすら分からないが、抗菌剤+α-TCPセメントで覆とうしてCRで
緊密に封鎖し、エナメル質もペラペラだが、CRで再建した。
このように細菌感染しているだろう、半分失活しているであろう歯髄でも症状は瞬時になくなる。外部からのイオンの侵入がなくなるからだ。
このように近未来の歯科治療は神経を取るという野蛮な治療は抗菌剤が入手できる限り不要となるだろう。というか、未だに100年前のパルポトミーが世界中で行なわれていることの方が謎なのだが。
ま、近未来においては充填治療と根管治療の境界はなくなってしまうということだ。
しかしこの緊密に封鎖というのが意外に難しい。少なくともほとんどのインレー、クラウン修復では緊密な封鎖は期待できない。CR修復でもそれなりの技術は必要だが、インレー、クラウンのような曖昧さはない。
元々インレー、クラウンによる歯冠修復はセメントを使わない時代もあったくらいで、辺縁封鎖性がなくても十分なくらいに歯質が残っている場合の修復法だと言えるだろう。このことは現代歯科医学ではまだ気がつかれていない。
金箔充填やアマルガム充填ではセメントは使わないが長期的に安定していることは多い。その理由は露髄していない限り、通性嫌気性の硫酸鉛還元細菌が生息できる程度の隙間ならセメントは不要だということだが、これも気がつかれていない。
もし咬合性外傷等で封鎖が破れたら、また症状が出る。その時は早めの再治療が必要になるだけだ。
では時系列でどうぞ