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カテゴリ:豊島区
梵寿綱という建築家をご存じでしょうか。ぼくは、その建築そのものは目にするたびにずっと目を奪われていて、代表的な建築のある早稲田や代田橋を歩く度に眺めていたものです。でも、それがどういう人の手になるものか確認する術もなく―正確には術はあっても、それを確認する気合がなかったのです―、妙ちきりんなものを建てる人がいるなあと打ち捨てていたのでした。ところが先般、たまたまネットで調べ物をしていたら、まさにその異端の建築家の情報が数多あることに気付かされたのです。ぼくのような感受性の低い人間でも意識する位だから、強烈な関心を寄せる人が少なからずいても不思議ではないですね。2017年にはとうとう『生命の讃歌 建築家 梵寿綱+羽深隆雄』(美術出版社刊)が出版されたとのことで、近々に読んでみようと思っています。その日本のガウディと称されたりもする建築家の手になる建築が池袋に3棟あるということで、近接する2棟をランチついでに見に行くことにしたのです。 1棟目は、「東商ビル」(作品名は”Royal Vessel”)です。主な見物はファサードに集約されていますが、エントランスホール内のさり気ない装飾にも惹かれます。そして、もう1棟は、酒場好きにもよく知られる―酒場放浪記にも登場した―「たちのみや 喜平」のビルがそれです。酒問屋の「ルボワ平喜 南池袋ビル」(作品名は”斐醴祈:賢者の石”)で、建築にさほど関心のない方でもこちらのビルの奇矯さに驚かれた方は少なくないのではないでしょうか。内部も凄いので、ご興味のある方は不審者に間違われないように覗いていただくか、ネット上にたくさん写真もアップされているのでそちらをご覧ください。そのユニークな建物もすでにいくつかは解体されているようなので、うかうかとはしていられません。ちなみに池袋には、「作品名:PETTI ETANG」というのもあって、実はこの物件はかつて住んでいたアパートから徒歩30秒程度の場所にあって、毎日のように目にしていたのですね。近日中に改めて作家の作品という視点で眺めに行きたいと思います。 さて、店の外観と内観をご覧になった限りにおいては、どう見てもここがネパール料理店とは思えないはずです。和風の空間でネパール料理を食べるという体験を期せずしてできたのは、案外新鮮な経験となりました。お店は「こせり」です。現在鋭意工事中のかつての豊島区役所前を通り過ぎ、五差路の交差点を右折すると雑居ビルの1階にこちらのお店はありました。かつては、「ジュグジャ」という店名でお店をやっていたようです。“ジョグジャ”ってのはネパールの町の名前だから―といかにも知った風に書いているけれど、単にネットで調べて知ったかぶってみただけ―「こせり」もやはり町の名前なのだろうか。とこちらも調べるが分からなかったのです。やはり店の方に聞いておけばよかった。ということはともかくとして、ここでもやはりダルバートを頼むのであります。ライス(バート)の右のくすんだ緑色っぽいのがダール(豆スープ)です。反時計回りにタルカリ(ナスのトマト風味のカレー)、プーリー、チャツネ、アチャール(大根)、サグ(小松菜の炒め)、チャツネでいいかなあ。東新宿のダルバートより種類が豊富で楽しいですね。しかもそれぞれの品の味わいがなんというのだろうとても洗練されているように思われるのです。もとより日本人の口に合うと思われるダルバートですが、より一層の洗練した味付けがされていて、これなら誇張なしに毎日食べても飽きない気がします。そういう意味ではスパイス料理に造詣の深い方にとっては幾分大人しく感じられるかもしれませんが、夏バテ気味の疲弊したぼくの臓器にはとても労わってくれる感があって大いに好みとするところでありました。先般の「サンサール」が標準タイプ、現地の家庭料理に近い味わいとすれば、こちらは極めて上品なタイプ、現地の食堂よりちょっと格上のレストランの料理ということができそうです。まあ、現地で食べたことがないので想像でしかありませんが、そういった印象になります。それはダルの差異に明瞭に感じ取れるのでした。と書いたけれど、この次に行ったネパール料理店ではこの2店とも全く違ったタイプの風味を知ることになり、ぼくを混乱の際に追いやるのでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2019/09/03 08:30:08 AM
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