楽しく呑んで食べてで、すっかり気分よくなったけれど不思議と酔いも腹具合にもまだまだ余裕があります。しからばもう一軒。定番のコースを辿ってみることにしよう。先日のタイトルでは護国寺と書いたけれど、「マルカッサン」に向かう際、普段は目白駅方面から歩いて向かうことが多いのですが、帰りは雑司が谷霊園を突っ切って東池袋駅方面に向かいます。夜の霊園というとちょっと不気味な印象ですが、実際に足を運ぶと近所の方が犬の散歩をしていたりと結構ほのぼのとしていてサンシャインなどの巨大建築のほうがよほど墓石っぽいし、怪しく発光していたりすることもあっておっかなく思えたりするのでした。霊園を抜けたらもう少し、都電を渡って東通りをしばらく歩くと、小ぢんまりしたマンションの1階に照明が灯っているのがすりガラス越しに見えてきます。初めてここを訪れたのはいつのことだったか。少なくとも15年以上前からここはまるで変わることもなく営業を続けているのだから、振り返ってみると驚くべきことです。
「BAR Too」には、宣言下の真っ只中に様子を見に訪れました。メインバーテンダーの??さんの事だからきっと期待を裏切らずにいてくれるだろうと予想はしていましたが、その予想に間違いがあろうはずもないのでした。まあ、それは置いといていつもの調子で扉を開けると、いやはや全く変わった様子もなくやっていますねえ。先のビストロは若干席数を減らしたそうですがここはまるきり変わらないように思えるのです。実際には多少減っていたようですが、ぼくには元のままに映りました。おお、紫煙が漂っていますねえ。どうやら??さん、上手く手配して喫煙の許可を取り付けたようです。さすがだなあ。一貫してバーでは、嗜好品たる煙草も自由に吸って頂きリラックスした時間を過ごして欲しいと仰ってましたから。さて、ジントニックでさっぱりしてダイキリ、ドライマティーニとやはり今晩は胃腸も快調なようです。という事でパンチのきいたカクテルをとお願いすると超辛口カクテルということで「グリーン・アラスカ」を勧められたので、勧められるままにオーダーしました。説明によるとビーフィータージンにシャルトリューズを加えたものとか。シャルトリューズというのは、フレンチアルプスのラ・グランド・シャルトリューズ修道院でたった3人の修道士によって作られていて、香草・ハーブの調合は秘伝中の秘伝とされているようです。アルコール度数40度のシャルトリューズのジョーヌ(黄色)を用いると「アラスカ」、シャルトリューズのヴェール(緑色)を使用すると「グリーン・アラスカ」となりまして、こちらはアルコール度数55度となり仕上がりの強さは呑兵衛揃いのスタッフたちも折り紙付きなのでした。こういう蘊蓄を伺えるのも楽しみのひとつで、こうしたちょっとしたエピソードが記憶に深く刻まれるのであります。なんて詳細は失念していたのでちょっとネットで調べることになったのですが、その情報とほぼ寸分違わず記憶されているからすごい。すごいと感心したその直後に、カクテルのレシピは確かに覚えているのに名称が分からぬなんてやり取りも演じられる事になるのでありました。家で読書などしつつ呑む酒も旨いけれど、たまに会う方たちとの語らいはまた違った愉しみがあるものです。