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カテゴリ:豊島区
駒込にはここぞとお勧めしたくなるような酒場はそう多くはないのですが、それにしてはつい足が向いてしまうのです。それはどうやらこの町のここの酒場が好きとか嫌いとかいうよりは、この町の落ち着いた雰囲気が好きだからそんな気持ちをゆったりさせてくれる町で呑みたいという気分を知らず知らず求めてしまうように思うのです。神田とか新橋などのサラリーマンで賑わう繁華なムードもたまには悪くないけれど、毎夜毎夜だと疲れてしまいます。そういや、今年に入ってから大きな盛り場で呑むなんてことすっかり減ってしまったなあ。未だ継続中、いやじんわりと拡大の気配すら漂わすウイルスのせいも多少はあるけれど、それがなくとも騒がしい町に出向くのが億劫に思えていたと想像されるのです。その点、酒場が密集することなく程よい距離感を置いて点在する駒込の夜の町は酔客が行きかうでもなく、通り掛かる酒場を覗き見ても和気藹々とした一家だんらんのような光景が目に入るのでありました。その忙しなさを感じさせぬゆったりした空気感というものは、町がもたらすのか、個々の店がもたらすのか、鶏か卵かみたいな話に陥りかねませんが、ここは明確に人がもたらすものと断言することにしました。駒込の住民のみならず、この地を本拠地として呑み歩く方たちの品性が概ね好ましいものであることを如実に示しているようなのです。そういや若い連中の姿をあまり見かけぬ気がするなあ。
そんな駒込の町の横丁に「ます田」はありました。この横丁には3軒ばかりの呑み屋が軒を連ねているのですが、一番手前にありながらもっとも入りにくい雰囲気を漂わせているのでありました。実際にぼくは真ん中、奥の店の順に巡って、今回とうとうこのお店に辿り着いたのでありました。今、このお店のことを知ってしまったからなんだろうけれど、その入りにくいという思い込みはどこから来たんだろうなあ。さっぱり当時の自分の気持ちが思い出せないのです。外観は撮り損ねたのでご想像もしくはストリートビューをご覧になるなりでお任せしますが、まあ多少日ごろ通う呑み屋よりは高そうではあるけれど、さほど敷居が高いという風でもありません。店内はカウンター席だけです。初老のご夫婦が迎え入れてくださった。先客もやはりご夫婦のみでこちらは近所の店を片っ端から試されないるようです。焼鳥は専門店らしくセットで提供する式が基本のようです。尿酸値の数値を競う我々ではありますが好んで高得点を狙いたくはないから焼酎をお願いしたいところですが、こちらはビールとワインが基本とのこと。じゃあひどまずビールにいっておこうかな。お通しは温泉玉子です。大根おろしよりはコチラが好みかな。おろしにうずら卵というのも悪くはないけれど、これは肴としては量が頼りないからうっかり摘むと焼鳥に痩せて頂く愉しみを逸してしまいます。サラダや鶏わさなども頂きましたが、鶏料理に徹していてあまり余計なものがないのがいいですね。ってそれが本来は通常の焼鳥店か。ワインに切り替えます。当然ながらボトルで頼むことになりますが、さしていいものではない割にはお高いかな。酒場好きの風上にも置けぬ発言になりますが、時折居酒屋というのは酒でも肴でも構わぬけれど、値段に見合わぬものを出される事がしばしばで、それならそこらの中華でも回転寿司でもいいけれど、そっちの方が美味しかったり安価だったりするから頑張って貰いたいと思うことしばしなのです。劣悪な労働環境が話題に上ることも少なくない巨大居酒屋チェーンが唐突に全店を焼肉屋へと業態チェンジするという報道を見掛けましたが、どうも居酒屋家業を甘く見ている方が多いのではないだろうかと訝る事も少なくありません。その点コチラは焼鳥を中心とした鶏料理で勝負しているという気概を感じさせ好ましく思うのでした。って何だか得そうに締め括るのでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020/11/09 08:30:05 AM
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