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カテゴリ:まんが・小説・テレビなど
古のマンガ家入門なんかを眺めていると4コママンガがマンガの基本であるかのような記述に遭遇することが少なくありません。でもそれって本当だろうかと思わされることが少なくないのです。それを書いている当の本人たちもそのことを信じているとはとても思えぬのです。もしかすると実際に4コママンガこそがマンガの原点と信じることでマンガを描き続けているマンガ家もいるかもしれぬけれど、それこそその人は4コママンガ家そのものなんじゃないだろうか。4コママンガ原理主義者は、その所以を起承転結に求めることが多いと思うのだけれど、現在実際にマンガが描かれる現場において悠長に起承転結を考えて執筆されることなどありえはしないのではないか。またももしかするとと書くけれど、実際に起承転結で物語を構築することを試みるマンガ家さんだっているかもしれないが、実読する限りではこれに忠実に従うマンガは読んだ試しがないのであります。事実、近頃の4コマの多くが起承転結などどこ吹く風といった様子で描かれていることは申し上げるまでもないでしょう。それから、マンガ家入門を執筆した石ノ森章太郎もまたそれを信じていたとは考え難いのであります。どうしてマンガ入門でもマンガの書き方入門ではなく、マンガ家入門としたかにその答えが隠されていそうな気もするけれど手元にないので確認しようがないのであります。
『鎌倉ものがたり』(既刊35巻)(双葉社, 1984-) マンガに限ったことではありませんが、登場するキャラクターが物語の進行と併せて年を取るものと永遠に同じ年齢を保ったままに物語が進行するものがあります。西岸氏はその中間に位置するマンガ家であると思いますが、『鎌倉ものがたり』は後者が当たるといってよさそうです。まだ結末に至っていない以上、いかなるどんでん返しが仕掛けられているか判断の付けにくいところですが、とにかく登場人物に成長という営みは予め排除されたところで物語がつづられていくことになります。マンガによってはそのエピソードごとに人生がリセットされたかのようにかつての出来事をなかったものとして取り扱うことになるなどの叙述の戦略が採用されたりとまだまだ可能性は秘められていそうです。この連作においてはそのような作家性が過剰に発露されるというある意味での下品さとは無縁であり、オーソドックでも練り上げられたストーリーをじっくりと楽しむことができます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020/11/19 08:30:06 AM
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