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カテゴリ:豊島区
駒込の北口改札を出てアザレア通りを進まずすぐに脇に逸れると何軒かの居酒屋があります。通勤経路の気安さと利便、そして駅から至近であることもあって、この界隈の酒場は一通りは立ち寄っています。いやいやその存在はしかと認識しつつもどうにも敬遠してしまっている酒場がまだあります。店名には、磯魚・季節料理を冠していてどうにも高級感があるからです。お隣にはいつの間にか今どき風のコーヒーショップが開店していますが、件の季節料理のお店は飲食店ビルの店舗のような淫靡さというかヤバいムードが芬々しているのでした。少し奥まったエントランスの壁面や天井が黒く塗られているのも危険な雰囲気です。お隣にはロマンというお店があって、写真を眺めるとオーセンティックなバーのような佇まいですが、男性5,000円、女性3,000円の隠れ家的なお店とのことで、実態としては少しハイクラスのスナックみたいなもののようです。こういう店でなかなか5,000円ぽっきりで済ませるとは思えぬのです。こうした店舗の構えは裏で両店が繋がっているように思われ、うっかりすると一軒では済まされぬ羽目に陥るような危機感を覚えるのです。
でもこの日は新型コロナのせいもあって、扉は開け放たれており、店内が案外明るく家庭的な雰囲気が感じられたので入ってみることにしたのです。「花わさび」というお店なのですが、店名もどこか気取っています。店名の付け方にはいくつかの定番があって、ズバリ自身の名や奥さんなど親族の名を当てる場合もあれば、出身地も多くみられます。そこら辺の分類はともかくとして食材を店名にするお店ってどこかすかしたように思えるのはどうしてなんでしょうか。花わさびは、まあ知っていれば知っているだろうなあというマイナーという程に知られていない食材ではないように思うのですが、メジャーな食材でないことだけは確かです。そんな具合に予め花わさびすら知らぬ客は来てくれるなよと選別されている気分になるというと穿ち過ぎなのかもしれません。でもそんな杞憂はすぐに解消されます。母子ふたりでやっているお店のようですが、ご両名とも至って気さくな物腰で少しも堅苦しくないのです。店内は思っていたよりずっと広くて余裕のある造りなのに昨今はありがたいことです。洋風掘り炬燵などもあって、家庭的で、そういう緩い雰囲気を好んでか多くのお客さんが入っていました。のんびりしたムードの主人ですが酒や肴には拘りがあるようですが、無理強いするような応対でないところが助かります。時々うちに来てこれを食べなきゃモグリだよみたいなことを告げられる場合があるけれど、好きなものを食わせてくださいよ。こちらは鯨や猪などのなかなか自宅では用意できぬ食材も揃えていて、お財布事情が良ければ頼みたい品も取り揃えていて、この夜は別財布が期待できたので、当然頂くことにしたのでした。ご主人が処理している訳じゃないのでしょうが、どちらも臭みもなく美味しく頂きました。こういう店で月に一度くらい訪れる贅沢ができるようになればいいのですが。まあぼくにはなかなか難しい話です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2021/04/05 08:30:06 AM
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