緊急事態宣言下にあって、果敢に営業を継続する酒場をたまに見掛けます。よくよく目を凝らすと貼り紙にノンアルコールのみ提供なんてことが記載されているけれど、ぼくはノンアルコールで誤魔化すのにはどうも抵抗があります。かといって正直者が馬鹿を見るなんて自虐的な発言をしつつも国だったり自治体だったりの要請に忸怩たる思いを噛み締めつつも従う店と世間の非難や役所からの圧力などどこ吹く風とばかりにふてぶてしくも営業を継続する店もあり、どちらが正解であるのか、一概には結論付けるのは今この時点にあっては困難でありますが、いずれもが激しい懊悩の末に出した決断であることは認めざるを得ないところです。もっとも良くないのは、闇で営業を継続している酒場で、つまりはシャッターを閉め切って見せたり(そのくせ閉ざした窓の向こうに一人とは思えぬ人影が見えていたりする)、ノンアルのみの提供を装いつつ常連にはきっちり呑ませているような店なんかでありまして、売り上げを揚げるばかりでなくわれわれの血税から拠出されているであろう協力金まで受け取ろうというその強欲振りと姑息さは許しがたいのであります。
そういった意味では、一切隠し立てすることなしに正々堂々と営業を続けている「ほていちゃん 巣鴨店」は、潔い態度といえるかもしれません。まあ、余りにも図太過ぎる振舞いなもんで、ぼくなどはわが事でもないのに辟易した気分になってしまい宣言下の今、様々なリスクを冒してまで立ち寄りたいとは思えぬけれど、まあ、これは時短要請時のことだから構わぬだろう。それにしてもすごい盛況ぶりですねえ。宣言下の様子はさらに客足が伸びているようだからさすがに立ち寄るわけにはいかないかなあ。とどうもこちらの系列については、素直に褒める気にはなれぬのです。お値段もお手頃で特に肴は工夫がされていて飽きさせない仕掛けとなっています。でもそれは当然大勢の酔っ払いが同じ空間に留まらせる原因とさせるわけであります。ぼくと同様な感情を抱いている方は少なくないんじゃないだろうか。果たして宣言花序となった後、選択肢が増えたとしたら継続して通い続けてもらえるものだろうか。もしかするとこれがアップされる頃には再々延長が決定していることも懸念されるところですが、しかし、この先、いつになるか分からぬけれど宣言解除となった暁に果たして宣言下の現在のように我が世の春を謳歌できるかは疑問であるし、もしかすると経営を揺さぶるような試練が待ち構えているかもしれないので注視していたいのであります。