テーマ:郵政民営化(50)
カテゴリ:組織自壊・ブラック企業
2019年12月25日、金融庁は、内部管理体制など企業統治に重大な問題があるとして、3社に行政処分内容を通告した。 会社側の弁明を踏まえて、27日にかんぽの保険の営業・販売について3カ月間の業務停止。 同社と郵便に命じるとともに、郵政を含む3社に業務改善命令を出し、経営責任の明確化を求める。 かんぽ生命保険の不適切販売問題をめぐり、親会社である日本郵政の長門正貢社長ら3社長が引責辞任した。 あわせて、前総務事務次官から行政処分の検討状況を聞き出していた同次官OBの鈴木康雄上級副社長も辞任した。 長門氏の後任には増田寛也元総務相(68)が起用される。 増田氏は民営化の進捗状況を監視する、政府の郵政民営化委員会の委員長を務めた経験もあり、郵政問題に精通しているとされる。 官僚出身で岩手県知事の経験がある。 かんぽ生命の社長と、日本郵便の社長の後任については、内部昇格を軸に検討がされている。 ブラック体質のもと選抜された管理職が、ブラック体質の管理から切替、脱却するのは難しいとみる。 社外からの監査の強化、使用者側の代表者による不断の点検がないと、元の木阿弥になる可能性もある。 統治不全の責任重く 2019年12月26日 JIJI.COM かんぽ生命保険の不適切販売問題で、日本郵政の長門正貢社長、かんぽ生命の植平光彦社長、日本郵便の横山邦男社長がそろって引責辞任する。 高齢者を狙った悪質な販売が続出。 顧客からの苦情はグループで共有されず、被害が拡大した。 トップはこうした状況を把握しておらず、ガバナンス(企業統治)不全を招いた責任は重い。 顧客に不利益となる乗り換え契約が5800件あったと発表した6月下旬の記者会見で、長門社長は「不適正な販売はない」と全否定した。 その後、保険料の二重徴収などの横行が報道で明らかになると、7月末の会見では「認識が甘かった」と前言撤回に追い込まれ、グループトップとしての統治能力の欠如があらわになった。 日本郵便は不正に関わった販売員の処分を検討している。 グループ内では「下の処分より上が先にけじめをつけるべきだ」(関係者)との不満が高まっていた。 郵政民営化により、かんぽ生命が開発する保険の販売の9割は別組織の日本郵便が担っている。 自民党議員は「(商品開発と販売が分離するなどの)いびつな構図になっている4社体制のかじ取りは難しい。 ただ、今の3社長は明らかにばらばらで連携が取れていなかった」と指摘する。 法令順守の徹底や内部管理体制の改善など課題は山積しており、立て直しは容易ではない。 ― 引用終り ― 官僚制の縦割りの中で、金融機関としての「ゆうちょ」、「かんぽ」は金融庁の監督を避けることができた。 今回金融庁が動いたということは、総務省単独の庇護のもとではなくなったことを意味する。 金融検査、監督の影響が及ぶようになれば、今回のような利用者無視の契約拡大などに歯止めがかかる。 残る問題は、郵政グループの企業体質改革を誰がどのように進めるか、ということになる。 労働組合は職場の大問題を取り上げるに至っていない。 日本郵政グループ労働組合 郵便局長会が支持する自民党つげ義文参議院議員、労働組合が支持する立憲民主党・小沢まさひと参議院議員は、この問題について、詳細に発信しているのだろうか? 素人目には御両名ともただの郵政「族議員」にみえる。 内部の情報が入る議員として、この問題に関する詳細な発信がなされてしかるべきだ。 後任は2020年1月6日付で、新社長は日本郵政が元総務相の増田寛也氏、日本郵便が日本郵政専務執行役の衣川和秀氏、かんぽ生命が同副社長の千田哲也氏。 増田氏は旧建設省出身、衣川氏と千田氏は旧郵政省出身。 民間でダメだったので、日本郵政の抜本改革は、元官僚たちの手に委ねられる。 官僚の欠点は、記憶力が良く、組織内の忖度に長けているため、前任者の否定ができないこと。 コーポレイトガバナンスを進めるには向いていると思われるが、抜本改革には向いていない。
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