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2020年10月31日
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テーマ:仮想通貨(1982)
カテゴリ:中国、台湾
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​​​ 電子マネーは基本的に法定通貨を代替する決済手段。
 仮想通貨は、法定通貨のように特定の国家によって保証されてはいない。
 仮想通貨はユーザー同士が取引の承認を行うなど、国に依存しないシステムを構築している。
 国家が後ろ盾となってのデジタル通貨圏出現の可能性がIMFにより報告された。
        ​


「デジタル通貨圏」出現も
IMFが報告書で将来分析
2020.10.19 SankeiBiz
【ワシントン=共同】
 国際通貨基金(IMF)は19日、世界各地の中央銀行や民間企業などが検討を進めるデジタル通貨に関する報告書を公表した。
 デジタル化の加速で国際金融市場の流動性が高まり、将来的にはドル基軸体制が崩れる可能性があると指摘。
 官民によるいくつかの「デジタル通貨圏」の出現もあると分析した。
​  ― 引用終り ―
        ​​​

 「一帯一路」の一環としてデジタル通貨圏の創設に中国が注力している。
 中国は人民元の機軸通貨化に失敗したことを取戻そうと、法定デジタル人民元の普及拡大に取組む。
 そして習近平主席は、二度失脚した父・習仲勲の名誉を回復するかのように、深セン経済特区を牽引役として展開する。
        ​
父・習仲勲の執念
深セン経済特区40周年記念に習近平出席​​​
遠藤誉 | 中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士
2020/10/16 Newsweek
 10月14日、習近平は自分の父・習仲勲が提案し建設した深セン経済特区設立40周年記念式典に出席した。
 総書記就任後、最初に視察したのも深センで、グレーターベイエリア構想とデジタル人民元に力を入れている。
​        ​​​
◆深セン経済特区構想は習仲勲が提案し中央に決議させた
 今では「中国のシリコンバレー」と呼ばれるほどハイテク企業が集中している深センを、「経済特区」として認めさせたのは習近平の父・習仲勲だ。
 1962年に小説『劉志丹』を書かせて反党活動を行ったという冤罪で国務院副総理の座からいきなり罪人にされ、1978年まで捕らわれの身であった習仲勲は、習近平やその母親・斉心などの奔走により、ようやく釈放された。
 釈放に尽力したのは、当時の中共中央組織部部長・胡耀邦と、全人代常務委員会委員長・葉剣英である。
 1978年2月24日から人民大会堂で開催された第五回政治協商会議全国委員会第1次会議に出席し、全国政治協商会議常務委員会委員に選ばれるところから再出発が始まった。
 4月5日に第二書記として広東省に派遣された。
 その頃の深センはカエルが鳴いているようなあぜ道があるだけで、それも農民あるいは漁民の多くは隣接する香港に非合法的に逃亡する者が多く、農地は荒れ果てていた。
 逃亡者が減らない原因は、深センが貧乏だからだ。夜ともなると、橋一つ隔てた向こうには、香港の高層ビルとネオンサインが輝いていた。
 そこで習仲勲は何としても深センを豊かにしようと血みどろの努力をするのである。
        ​
 文化大革命(文革)は1979年10月に終わったばかりで、庶民に商売をさせようとすると文革のスローガンの一つだった「走資派(資本主義に走る者)」という批判が来る。
 それでも逃亡者を防ぐためには経済を繁栄させるしかない。
 当時の習仲勲の努力は「殺出一条血路」(命懸けで闘って血路を開く)という言葉で表されている。
 習仲勲等は1930年代、陝西・甘粛・寧夏などの一帯で「陝甘寧革命特区」という革命根拠地を創っていた。
 そこで習仲勲は深センなど、いくつかの広東省の都市を「経済特区」と位置づけ、「特別の経済交易に関する権限を広東に欲しい」と中央に要求し、「深セン経済特区」が誕生するに至ったのである。
 1979年4月に「輸出特区」として、1980年8月には「経済特区」として正式批准が国務院から下りたが、改革開放の号令がかかる1978年12月よりも前から、習仲勲は切羽詰まった形で、改革開放を先行する行動を実際に取っていたことになる。改革開放の先駆者は習仲勲であり、「経済特区」のアイディアは習仲勲が出したものである。
        ​
 1980年11月、再び中央に返り咲き、1981年3月には葉剣英の尽力で中共中央書記処書記に就任した。
 しかし1987年1月に胡耀邦が中共中央総書記の座から無理矢理に引きずり降ろされたのだが、そのとき机を叩いて絶対にダメだと反対したのは習仲勲一人だった。
 1989年4月の胡耀邦の死によって同年6月に天安門事件が起きたわけだが、習仲勲は天安門事件においても民主を叫ぶ学生に同情したりしたため、1990年にはトウ小平により、これも全人代への出席をいきなり阻まれ、再び失脚した。
◆総書記就任後、最初の視察地を深センにした習近平
 2012年11月15日、第18回党大会一中全会で中共中央総書記に選ばれた習近平は、総書記就任後の最初の視察先として「深セン」を選んだ。
  …(略)…
        ​
◆グレーターベイエリア、特に深センを中心に法定デジタル人民元実現を狙う習近平
 習近平が深センを「先行モデル区」に指定したのは2019年8月18日で、香港デモが燃え盛る真っ只中のことである。
 昨年8月19日のコラム<「こっちの水は甘いぞ!」――深センモデル地区再指定により香港懐柔>にも書いたように、香港を懐柔する目的があったのは事実だ。
 人口が全中国の5%しかないのに、国家全体のGDPの12%を生み出している現実も大きい。
 しかしそれ以上に習近平の狙いは中央銀行が発行する法定デジタル人民元の実現にある。
 今月26日からは第19回党大会五中全会が開催され(~29日)、来年の全人代で発表される新しい第14次五ヵ年計画の内容が決定されるが、実は法定デジタル人民元構想は2016年に発表された第13次五ヵ年計画の中に「ブロックチェーン技術」という形で盛り込まれている。
 2019年10月24日の中共中央政治局学習会議で、習近平は「ブロックチェーンを核心的技術の自主的なイノベーションの突破口と位置づけて、ブロックチェーン技術と産業イノベーション発展の推進を加速させよ」と述べた。
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 その後、法定デジタル人民元は深センなど4つの都市で試行的使用が試みられ、今年10月12日には深センで市民が参加する法定デジタル人民元の大規模な実証試験を始めた。
 総額1000万元(約1億6000万円)の法定デジタル通貨を抽選で5万人の市民に「紅い封筒」を通してネットで配布するという具体的な試みだ。
 中国の現行の人民元に対するデジタル支払い(キャッシュレス)は世界トップクラスで、2018年の支払い金額が39兆ドル(約4290兆円)であるのに対し、アメリカは1800ドル(約19.8兆円)でしかない。中国の0.46%だ。
 中国の最終的な狙いは、現行の人民元では絶対に現在のドル基軸には勝てないので、法定デジタル人民元を用いて「米ドル覇権」を崩そうということにある。
 それをグレーターベイエリア、特に深センを中心に展開していこうという狙いが、この深セン訪問に込められている。
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◆リスキーな「一帯一路」沿線国を逆利用し、法定デジタル人民元の普及を狙う
 中国国内で使われたとしても、それが国際社会で流通しなければ国際通貨としての価値は生まれない。
 特に通貨が流通するには、「その国家への信用度」が何よりも不可欠だ。
 人権問題や香港国安法問題などで、民主的だった習仲勲とは全く逆の方向に動き、国際的信用を失っている習近平政権に、そのようなことができるはずがないと誰でもが反射的に思うだろう。
 しかしコロナで人が現金を使わなくなっただけでなく、中国は一帯一路沿線国の内の発展途上国に対して、コロナ流行のために負債返還の減免を今年6月7日に宣言した。
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 マスク外交で一帯一路を「健康シルクロード」と名付けている。
 これがやがて「法定デジタル人民元シルクロード」となるべく、習近平は虎視眈々と狙っているのだ。
 隠された骨格にあるのは、実は中国が債権を持っている大多数の国は「信用格付け」(金融商品または企業・政府などの信用状態に関する評価を簡単な記号または数値で表した等級)すらされてない国がほとんどだということだ。
 どの国もあまりにリスキーなために、これらの国にお金を貸さない、その危険性を押して中国はお金を貸している。
 つまり信用格付けさえ成されてないような国では、自国の銀行への信用どころか、自国の貨幣をさえ信用してない。
 したがってそのような国の国民は、今でも既に経済的強国である中国の人民元をキャッシュレスで使い、その方が安心だと思っているのである。
 それらの国で使われている現行の人民元を中国の中央銀行が発行する法定デジタル人民元に置き換えれば、相当数の国家の流通通貨になっていく。
  ― 引用終り ―
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 インフラ投資で中国の借款に依存したアジア、アフリカの国々が中国のデジタル通貨圏の傘下に入るとする中国政府の目論見は、成功する可能性が高い。
 空港、港湾、水道などのインフラと通貨発行権を中国に握られた国家が出現する可能性が推察される。
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 中国の米国覇権転覆の試みが継続される限り、米中対立は終わることはない。
 ロシアは中国寄り、インドは中国と対立。
 インドネシア、オーストラリアは中国と距離をおくようになっている。
 ドイツと日本は中国の経済発展に賭けているので中国と対立しない。
 世界情勢は、米ソ対立以来のきな臭さを帯びている。
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最終更新日  2020年10月31日 06時00分07秒
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