テーマ:世界経済(47)
カテゴリ:EV 電気自動車
2023年世界新車販売ランキングで、上位9社は例年と同じ顔ぶれながら、中国のEVメーカー・BYDが初めてトップ10入りした。 世界的なEVの普及拡大でEVの欠点・短所が明らかになった。 短時間で発火が拡大し、消火しにくい。このことから海運大手のマースクは、EVの運搬を拒否するに至った。現行のバッテリーは、酷寒時、電池の充電性能、出力性能が大きく低下する。充電時間の長さから、長距離走行に不適。酷寒の地での電欠は生死にかかわる事態。 価格が高く、重いEVは、加速が良いものの、ICE(内燃機関車)と比べて、各種の性能が大きく劣る。廃棄・回収体制が全く追い付いていない駆動用バッテリーの耐久性もいずれ問題となることだろう。 2024年、EV販売の伸びは急減速し、EV普及が大幅に伸びると見込んだ多くの企業が、赤字、利益の大幅減少となる可能性が高い。巨額の投資を先行させた企業は再編される可能性もある。 2023年以降もEV化を強力に推進するBMWグループは、大丈夫なのだろうか? 2023年 1月、英国のリチウムイオン電池メーカーのブリティッシュボルトが経営破綻。 4月、米・テスラはモデルYとモデル3の一部車種を値下げ。米国で6回目の値下げ。 6月、米新興EVメーカーのローズタウン・モーターズは、米連邦破産法第11条(民事再生法に相当)の適用を申請し、身売りの意向を示した。 大株主の台湾・鴻海科技集団(フォックスコン)に対して出資契約を履行しなかったとして提訴した。 8月、大型商用EVで米国のトップメーカープロテラが、米連邦破産法第11条の適用を申請した。 11月、スウェーデン・ABボルボは、米・プロテラとプロテラ・ドライビング・カンパニーからバッテリー事業の買収を決定した(資産オークションで落札した)。 2024年 1月、英・大型商用EVメーカーのアライバル社が経営危機との報道 2月、1月のEV販売急減を受け、米・フォードは主力EVを最大8100ドル値下げ。 2024年もテスラは値下げ攻勢を繰り返している。その背景には、テスラがギガファクトリーを構え、EVの量産をすすめている中国で、BYDや上海蔚来汽車(NIO)などのEVメーカーが生き残りをかけた、赤字を辞さない過酷な値下げ攻勢を展開していることがある。 テスラは世界的なEVシフトを背景に、生産と販売台数は伸びたものの、価格下落の影響により売上増加ペースはそれを下回り、利益率も低下している。 中国では中央政府の補助金が終了した2023年から大手、中小を問わずEVメーカーの破綻が続いている。 中国EVの値下げ攻勢だけじゃない “不安材料”の数々 真壁昭夫:多摩大学特別招聘教授 2024.2.6 ダイヤモンド オンライン 「イーロン・マスクCEOに8兆円の報酬は巨額すぎる」と、米テスラの株主が訴えている。係争の行方は横に置くとして、電気自動車(EV)市場は厳しい価格競争によりレッドオーシャンと化した。中国勢が低い生産コストを武器とする一方で、テスラはどんな壁にぶつかっているのか。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫) 利益の大幅減でテスラ株が下落 世界の電気自動車(EV)市場は今、厳しい価格競争により新しいステージに突入している。その証左として、米テスラの業績が伸び悩んでいることがある。 1月25日、ニューヨーク株式市場でテスラの株価は前日比12.1%下落した。前日に発表があった、同社の2023年10~12月期決算の内容が嫌気されたからだ。営業利益は、前年同期比47%減の20億6400万ドル(1ドル=148円換算で約3050億円)だった。テスラの先行きに懸念を抱く投資家は増えたようだ。 背景には、比亜迪(BYD)など中国のEVメーカーの台頭がある。BYDはEVの販売価格を積極的に引き下げ、急速に世界シェアを高めている。値下げ競争の激化により、テスラの収益性は悪化している。 今後、テスラを取り巻く事業環境の厳しさは増すことが予想される。中国政府の産業補助政策の追い風もあり、BYDや車載用バッテリー世界大手の寧徳時代新能源科技(CATL)の価格競争力が脅威となる。 一方、テスラはコストの高い米欧で生産能力を強化する必要性に迫られている。車載用バッテリーの製造技術の確立も急務だ。 今後さらに業績が悪化すると、テスラは、世界が注目する“マグニフィセント・セブン”(アマゾン・ドットコム、アップル、メタ・プラットフォームズ、アルファベット、マイクロソフト、エヌビディア、テスラの米7社)から脱落する懸念さえある。 ― 引用終わり ― EU、米国などで販売を行う中国のEVメーカーもテスラと同様に現地生産を行わなければ価格競争力が保てない。2023年12月、ハンガリーのシーヤールトー・ペーテル外務貿易相は、中国・BYDがハンガリー南東部の都市セゲドに欧州初のEV組立工場を建設すると発表した。 BMWは、ドイツ・ミュンヘン工場に6億5000万ユーロ(約1000億円)を投じて拡張と改修を行い、2027年からEVのみを生産する計画。 EV化を強力に推進するBMWに対して、フォルクス・ワーゲン、メルセデス・ベンツはEVについて慎重な姿勢をみせている。 フランス・ルノーも子会社のIPOを断念し、市場の趨勢が衰えているとみている。 EU 2023年 9月、ドイツ・BMWグループはEVを生産するため、英国オックスフォードとスウィンドンにあるMINIブランドの2工場に6億ポンド(約1102億円、1ポンド=183.7円換算)を投資すると発表した。 10月、BMWグループは、EV向けバッテリーの新工場の建設を、米国サウスカロライナ州ウッドラフで開始した、と発表した。BMWグループは、米国スパータンバーグ工場でのEV生産準備に10億ドル、ウッドラフ(2026年竣予定)にバッテリー組立工場を新設するために7億ドル、合わせて17億ドルを米国事業に投資すると発表した。 10月、ドイツ・フォルクス・ワーゲンが販売不振から、約2週間、EVモデルのSUVのID.4とセダンのID.7を減産した。エムデン工場労働者評議会のマンフレッド・ヴルフ代表は、「EVにおいて、顧客の消極的な姿勢を強く経験している」と語った。 フォルクス・ワーゲンはEV生産に約10億ユーロ(約1570億円)を投資し、ドイツ国内の4工場(エムデン、ツヴィッカウ、ハノーバー、ドレスデン)でEVを生産している。 2024年 1月、BMWはドイツ・ミュンヘンにある本社工場に6億5000万ユーロ(約1000億円)を投じて全ての生産車種をEVとし、EV専用工場に切り替え、エンジン車の生産を、27年末までに全他工場に移管すると発表した。独BMWグループは2023年に前年比74%増の37万6000台のEVを販売した。 1月、フランス・ルノーは、EV新会社「アンペア」のIPO(新規株式公開)を中止することを決定したと発表した。 1月、フォルクスワーゲンはEV向けバッテリー生産子会社パワーコのIPO計画を棚上げすると報じられた。 2月、ドイツ・メルセデス・ベンツグループは、2030年までに「市場が許す限り」新車販売の全てを電気自動車EVにする計画を撤回した。同社の2023年におけるEVとPHEVの販売比率は2割で、2024年もほぼ横ばいになる見通し。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024年03月13日 06時00分16秒
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