テーマ:モラルハザード(10)
カテゴリ:司法、検察、警察
2023年12月8日、県中央部の警察署に勤務する30代の男性巡査長が11月酒気を帯びた状態で車を運転したとして書類送検された。 普通乗用車を運転中に対向車線にとまっていた車のドアミラーに接触する事故を起こしたにも関わらず、届け出をせずに当て逃げをしたとして、秋田県警察本部は県中央部の警察署に勤務する20代の男性巡査を所属長注意としました。男性巡査長は8日付けで停職6か月の懲戒処分を受け、依願退職した。 4月18日に知人女性の体を触るなどした不同意わいせつの疑いで逮捕された鹿児島県警の警部で県警本部公安課課長補佐の幸得健一郎容疑者(51)につて身柄を19日、鹿児島地検に送った。鹿児島県警の警察官の逮捕は、今月8日に内部文書を流出させた地方公務員法違反の疑いで逮捕された巡査長に続き、今年2人目です。 2023年大みそかに北九州市門司区で実の妹を殴って死亡させたとされる福岡県警田川警察署の警部補広瀬守隆被告(57)について、福岡県警は、2024年4月19日付けで懲戒免職処分にしたと発表した。 2か月間無断欠勤を続け3月28日に名古屋市内の食品販売店で寿司1パックを盗んだとして、窃盗容疑で現行犯逮捕された刑事部捜査3課の男性警部補(43)について、福岡県警は4月19日、停職6か月の懲戒処分とした。 警察組織の監察官は、警察庁、警視庁および各道府県警察本部に設置される常設職。 警察不祥事の捜査や服務規定違反など内部罰則を犯した警察官への質疑、さらには会計監査業務に携わる「警察中の警察」。 過去と質が異なる不祥事が多発している状況下、4月9日、東京・霞が関にある警察総合庁舎で「全国首席監察官会議」が開かれた。 東芝、ダイハツなど不正が多発する組織は、トップの姿勢、組織のあり方自体に問題、矛盾があることが多い。警察組織はあるべき姿と実態がかけ離れ過ぎているのではなかろうか。そのような場合、綱紀粛正では組織のモラルは回復しない。 留置人死亡、ロマンス詐欺 「警察の中の警察」に大号令 産経ニュース / 2024年4月22日 全国の警察官や警察職員の懲戒処分者数が高止まりしている。令和5年は前年に留置場で勾留中の男性を死亡させたとして、愛知県警で大量の処分者が出たほか、ロマンス詐欺や特殊詐欺に関与した警察官が免職処分を受けるなど、信じがたい「不祥事」が相次いだ。 新年度早々、トップの露木康浩・警察庁長官自らが「警察の中の警察」と呼ばれる監察担当者に大号令をかけるほど、警察当局の危機感は強い。 首席監察官会議 「国民の信頼に応えるため、高い規律と士気を有する職場の構築に努めるように」 4月9日、東京・霞が関にある警察総合庁舎の7階大会議室で開かれた「全国首席監察官会議」。47都道府県警や皇宮警察の監察責任者が参集する中、露木氏が訓示に立ち、高止まりした懲戒処分者数の削減を直接厳命した。 参加者からは「警察ではないが、名古屋の入管施設で(3年に)外国人女性が病死した問題は国会でも取り上げられ、後を引いている。明日はわが身とすべき部分もある」と気を引き締める声が漏れたという。 5年に懲戒処分された全国の警察官や警察職員は266人。10年ぶりに増加した4年より10人減ったものの、新型コロナウイルスの5類移行に伴う酒席の増加で、酒気帯び運転など飲酒関連が一気に30人増えたほか、盗撮やセクハラといった「異性関係」が89人と依然として突出している。中でも、最も問題視されたのが愛知県警の留置管理上の不祥事だった。 異例の大量処分 岡崎署の留置場で4年12月に勾留中の男性が死亡する事故が起き、暴れる男性を1人用の保護室に収容して体を拘束する「戒具」を計約144時間使用。糖尿病などの持病があったが薬を与えなかったり、医師の意見を聞いていないのに聴取したとする虚偽の書類を作成したりして、腎不全で死亡させた。 男性が脱水症状に陥り、蹴られるような様子も監視カメラ映像に残されていた。県警は留置主任官の警部ら8人と退職者1人を書類送検したほか、署長ら27人を懲戒や懲戒以外の訓戒などの処分としており、一度の処分人数としては異例の規模となった。 このうち11人が、重い懲戒処分の対象となったことを教訓に、県警は要件を満たさないまま戒具を長時間使用しないため、使用が一定時間経過すると県警本部や署の幹部に通知がいくシステムを導入した。 折しも警察庁は留置事故防止に向け、脈拍や血圧、呼吸、体温などを計測して異常を見つける非接触型のセンサー(情報収集装置)を6年度に試験導入するため実験を開始。7年度以降の全国配備を計画していただけに「出鼻をくじかれる最悪の事態」(同)だった。 世相反映した犯罪も 5年全体の懲戒内容としては、最も厳しい免職が15人増の42人、それに次ぐ停職も7人増の54人。今年2月の記者会見で昨年を振り返った露木長官は「免職と停職が増えている点を重く受け止めなければならない」とした上で「警察組織の規律が弛緩(しかん)するようなことがあってはならない」と険しい表情で述べていた。 一方、世相を反映した事件への関与も目立つ。 大阪府警の巡査が交流サイト(SNS)でカナダ人の男性医師らを名乗ってメッセージを送り、佐賀県と埼玉県の女性2人から現金計90万円をだまし取って佐賀県警に逮捕され、免職となったケースは「ロマンス詐欺」に該当する。 秋田県警の巡査長が譲渡目的で金融機関に口座を開設し、キャッシュカード4枚を詐取して免職処分を受ける事件もあった。口座は還付金詐欺の送金先に使われており、「特殊詐欺」を助長。警察内部にまで詐欺が蔓延(まんえん)している実態が浮かび上がった。 大分県警の巡査は、病死した別府市の高齢女性宅で検視中に鍵を盗み、改めて家屋に侵入して貴金属を窃取し、免職となっており、増加の一途をたどる「孤独死」を背景にした「警察官にあるまじき愚行」(警察幹部)も発覚した。 ― 引用終わり ― 世論に敏感になり、警察官に権威を感じる人々が減少する中、日本の警察は新しい警察官像を設定しないと、人材確保は困難さを増し、末端の警察官の混乱は増加することだろう。
警察官も刑務官も入管職員も、時代に合わなくなってきた法律と世論を反映した「上」からの要求に、現場の「やってられない」感は増える一方であると思われる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024年05月03日 06時00分12秒
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