今が生死

​​国立国際医療研究センター感染症科の忽那賢志（くつな　さとし）先生のウェブ講演「新型コロナについて」を視聴した。このウイルスの起源から診断、治療についてまで分かりやすく詳細に話して下さった。全部は紹介できないが一部を書かせていただく。
ウイルスの起源は２０１２年に中国で流行したSARSに近いウイルスで元はコウモリが持っていたウイルスが人間に感染したものと思われる。SARSの死亡率は9.4％、MERSの死亡率は34.4％だった。新型コロナのそれは6.1％である。
武漢の海鮮市場が発生源とされているがそれより前の１２月１日に海鮮市場以外の所で発生しており、海鮮市場はクラスターと考えられる。１-２月に中国で感染第一波が始まり３-４月はヨーロッパ、アメリカの第２波の感染が広がっている。
潜伏期の平均は5.2日で、長くても２週間以内に発症する。受診までは平均4.6-5.8日, 入院まで9.1－１２.5日、感染者が発病してから次の人が発症するのは約７日。
症状は発熱が最も多く（98％）咳、倦怠感、筋肉痛などである。他に味覚、嗅覚障害等もあるがこれは若い女性に多い。
死亡率は８０歳以上が14.8％で以下７０歳台8％、６０歳台3.6％、５０歳台1.3％、４０歳台0.4％、と高齢になるにつれて死亡率は高い。合併症では心臓病、呼吸器疾患、がんなどが死亡率を高めている。
国別死亡率ではイタリア12.7％、スペイン10％、中国４％、アメリカ3.4％、韓国2％、日本1.6％、イタリアやスペインが高率なのは高齢者の感染が多いためと思われる。
胸部X線では末梢のすりガラス影がレントゲン検査では59.1％、CT検査では86.2％に所見があったがそれ以外の人には所見がなかった。無症状感染者にCT検査を行って診断がつくことがある。PCR検査は口から綿棒を入れる方法と鼻から入れる方法があるが、鼻からの方が陽性率が高い。鼻からの検体の陽性率は63％、喉からの検体の陽性率は43％、鼻からでも喉からでも陰性になる人がいて、２回目、３回目で陽性になる人もいる。退院はPCR検査をして２回陰性の場合に許可されるが、入院期間は３週間ぐらいかかる。
治療はエボラ出血熱の薬レムデシビルとかインフルの薬アビガン、コロナ患者の治癒者血清から抗体を取り出して作った薬などがあるがまだ本当に効果があると認められた薬はない。予後は８割の患者さんは１-７日で治癒、２割が入院、数パーセントが死亡。
安倍のマスクなどで話題になったマスクについては人にうつさない為には有効だが人から写されるのを防ぐという証拠はない。発症前二日くらい前から伝染力があるのでそれを防ぐために、症状のない人もマスクをかけてもらいたいが、マスクをするのは自分が病気にかからない為と思っている人が多いが、実際は人にうつさない為である。
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