50代女性、左下6、歯根破折
ここのコメント欄にもあるように、患者目線での
きちんとした治療ができない理由だが、
この100年以上にわたって強固な診療システムが確立していて、
このシステムから逸脱することが非常に困難だからだと思う。
歯科医療は分業体制で成り立っており、ま、どこの世界でも同じではあるが、
例えば、よくある治療の流れは
1、神経を取って型取りする
2、歯科技工士に冠の作製を依頼する
3、納品された冠を口腔内にセットする
だが、この流れからドロップアウトするといきなり経済的に、もしくは肉体的に行き詰る。
僕は歯科技工士上がりなので、1から3まで全部できはするが、実際にやると寝る時間が無くなり、倒れる。
2年は頑張ったが。
では無理のない範囲でゆっくりやれば良いではないかと思われるかもしれないが、それでは食べていけないだけではなく、患者をさばけない。
患者単価が非常に高くなってしまうからだ。
では、僕はどうなのかといえば?
歯を削ると問題が生じるのだから、削らない。
これは守っている。
この症例も安易に削って被せたばかりに問題が生じたと言えるわけなのだが、
削らないとすれば、どうやって食べていくか、このブログ記事がその答えでもあるのだ。
しかし現実は厳しい。
この世は修行だと思って、とことんがんばるしかないと思わないとやっていけないだろう。
しかも超絶技巧が必要だ。
そんな歯科医師がいるのか?と言われるといるわけがない。誰でも楽をしたい、しかしお金だけは欲しい。
今だけ、金だけ、自分だけだ。
読者の皆さんはそうではないですか?
・・今日はレントゲン写真を3つ挙げておこう。
破折した直後。破折線が明瞭に見えると思う。
その3ヶ月後、歯根はバラバラになっている。
抜歯再植後
つづく