無声映画 『瀧の白糸』
県教育文化会館で開催された無声映画上映会『瀧の白糸』に行ってきました。無声映画は2005年に滑川で行われた上映会に行ったことがあり、実はその時の上映も澤登翠さんの『瀧の白糸』がメインだったのですが、良い物は何度観ても良いですな~明治の頃、金沢を中心に巡業する水芸一座の看板スター瀧の白糸が、ふとしたことで知り合った苦学青年・村越欣弥に学資工面を約束するが…。泉鏡花『義血侠血』を溝口健二監督が映画化した昭和8年の作品です。当時の映画は既にトーキーがメインになってはいましたが、まだサイレント(無声映画)も作られていた時代だったのだそうです。映画そのものも素晴らしいとは思います。フィルムは古くても、入江たか子さん、岡田時彦さんは美しい白糸が自害する結末はあんまり好きじゃないんですけどね。ただ、今回に関しては、作品云々よりも、僕の一番の興味は活動弁士の仕事にあった訳でして…。とにかく、映像と融合する澤登翠さんの活弁と、生演奏のピアノが素晴らしい。映像・活弁・音楽の3つが合わさって、初めて1本の映画になるのですね。活動弁士はヒロインから二枚目、悪役の声、状況描写まで、全て一人で語る。弁士の解釈によって、作品が別のものになることもある訳です。なんでも、日本独自の文化だそうですよ。そういえば、アメリカのサイレントでは聞いたことないですもんね。上映会の後はシネマトークショーがありまして、澤登さんが作品の解説をしてくださいまして、それも面白かったのですが、僕はどちらかというと、活動弁士の世界の話が聞きたかったな~。澤登さんが活動弁士になった30数年前は既に珍しい仕事だったそうですが、無声映画の名作が世にある以上、途絶えてはいけない職種だと思いました。で、今夜は3D映画の試写に行ってきます。時代ですな~