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カテゴリ:豊島区
ぼくにだって子供の頃があったわけで、子供時分の事を振り返るにつけ思い起こされるのが休みの日には決まって連れて行かれた地方都市のデパートのことであります。デパートと書いたけれど、そこが地方都市の悲しさ、実際は大手スーパーの長崎屋であったのだけれどそれはさしあたりはどうでもいいことなのであります。しかも思い出すと書いた長崎屋にそれがあったかどうか判然としないのだけれど、百貨店の上のフロアーにある大食堂に行くのがとても楽しかったことを懐かしく思い返すのであります。これ自体は極めて凡庸で感傷的な記憶でしかないけれど、大食堂の数少なくなった現代の子供たちが大人になった頃に幼い時代を回顧したとして果たして今の屋上レストランの事を脳裏に浮かべることがあるのだろうか。回顧的であることはいつだってみっともないことであるから、己の少年時代を語ることは避けようと思うけれど、大食堂の一体どこが子供の目線から見ても魅力的に感じられたのか検討してみることはけして無駄ではないように思うのです。「サザエさん」のそう多くはない見所がデパートの大食堂シーンであると考えるのはぼくだけではないと思うのです。
さて、では今時のデパートのレストラン街がまったくダメかというとそうでもないということを知りました。出向いたのは池袋西武のレストラン街です。ひと頃のデパートではどこもかしこも似たり寄ったりの店舗ばかりが雁首揃えていて、ちっとも面白くなくなったものですが、近頃のデパートは各地の有名店を取り込んで、店によっては行列もできていたりとお客さんを喜ばす工夫が感じられます。この日お邪魔した「ブラッスリー・ル・リオン(BRASSERIE LE LION)」は、恵比寿の人気ビストロが出店したお店ということで一抹の不安と期待がないまぜの、つまりはワクドキ感を胸に秘めての訪問だったのでした。まず目に入ったのがテラス席でありまして、屋内のテラス席ってのもなんとも間抜けなものだなあとまずは否定的な感想が脳裏を過りました。でも正面のエントランスに回り込むとこれが案外重厚な風情を放っていて悪くない。デパートのレストランらしくケーキのショーケースがあって、おお最近のお気に入りのサバランもあるじゃあないですか。これはぜひともお土産に買い求めたいものです。さて店内は赤が貴重のなかなかムーディーでそれなりの格調すら漂わせています。巨大な書棚に並べられた洋書のセレクションがもう少し良ければ楽しいのだけどな。さて、スタッフは少なからずシロートっぽい気もするけれど、まあ感じは悪くありません。気分を盛り上げるためにビストロコースをオーダー。前菜はオードブル盛合せのみが起こっていました。メインは手頃な豚肉料理を注文。デザートは食後に決めさせてくれるようです。ワインは白と赤をデカンタで注文します。さて、ワインをチビチビやっているとオードブルが到着。基本的にはちまちまとあれこれ乗ってるのって好きなんですが、ビストロ料理で盛合せで良かった試しがないのはどうしてだろうか。実際味も少し首をかしげたくなります。量も少し寂しいかな。併せて出されたパンを少し食べてみるとこちらは少し酸味のある美味しいパンでした。ニース風でもリヨン風とも違うなんとかいうサラダを追加でオーダーしました。こちらはカモ肉が結構贅沢に盛られていてまずまず美味しい。でもさらに美味しかったのがメインの豚肉。家庭ではなかなか真似できない焼き加減でふっくらと柔らかで、ここに来てやはりいいなあと思い始めるのでした。そしてデザートを注文します。当然ババ―サバランの事ね―を注文しますがなんと品切れとのことです。こりゃ残念であります。しかし仕方なく頼んだヌガーグラッセがいいではないですか。作るのはそんな難しいお菓子ではなさそうですが、なかなかここまで美味しいのは出逢っていません。ならば店先の適当なケーキをお土産にと思ったのですが、残念なことにテイクアウトはやっていないそうです。とまあさほど期待していなかったこともあり、そのせいか全般になかなかいいなと満足したのでした。さほど混んでおらず予約もなしにブラリと来ることが出来そうなのもポイントが高い点です。お手頃なビストロに行こうとするととにかく予約なしに入るのは無理なことがほとんどですから。 といった訳で気分が良くなったので、またまた「Bar TOO」にお邪魔しました。近頃流行の国産人でありますが、その中でも変わり種の山椒の風味のジンで作ったジン・トニックが美味しかったなあ。なんて思ったより山椒のピリピリが感じられぬと語って顰蹙を買ったのでありますが。
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Last updated
2019/06/08 08:30:10 AM
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