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カテゴリ:東北地方
こうまで毎年末に仙台に行っているので、長年お付き合いいただいている皆さんにはお見通しであろうけれど、仙台の知人とは即ちぼくの年老いた両親なのであります。つまりは世間でいうところの帰省に当たるのであろうけれど、ぼくの場合は暮らしたことのない実家となるのでどうも訪ねたところで身の置き所のなさ、所在のなさを感じるばかりでうら寂しい気持ちになるから年を越すのは住み慣れた都内の自宅が良いということになり、暮れのギリギリ、大晦日に帰京するのがここ数年の恒例となっているのでした。大晦日の上り各駅列車に揺られるという経験をなさった方は共感いただけるかもしれませんが、乗客も疎らな仙台発の東北本線もしくは常磐線というのは心底から寂しさを掻き立てるものでありまして、それなのに毎年凝りもせず途中下車など繰り返すものだから表はすでに真っ暗なのにまだ宇都宮だったり水戸だったりするので自宅に辿り着く頃には紅白歌合戦すらエンディングを迎えていたりして、たまには大晦日をまったりと過ごしてみたいと思っても良いのではなかろうかなどと甘えた考えが去来していたのであります。でも昨年の暮れは幸いにも12月28日が土曜日ということもあって、一日繰り上げての行程を組むことができ、ゆったりとした年越しが迎えられるであろうという喜びもあって、例年になく寛いだ気分で旅立つことができたのでした。
ところが、繰り上がってよかったと思ったのはぼくだけではなかったようです。各駅停車の車内はとにかくずっと混雑していて、宇都宮、黒磯、新白河、郡山、福島ではそれなりの乗り継ぎ時間があったから途中下車することも考えていたのですが、立ちっぱなしになることを思うとげんなりするので、結局は白石まで来てしまったのであります。でもその甲斐あって昼の時点でここまで来れたのは正解だったかもしれません。 駅前の「停車場」は相変わらずやってる気配はないけれど、以前と変わらず店先には置看板があるので、やはりまだ現役なんだろうかとも思うのであります。さっぱり情報がなくて確認できぬのが歯痒いですが、どうにかしてでも入らねばならぬという気迫がもはやないから、一期一会で構わぬという気もするのです。 白石ではどうしても行きたいと思っていたお店が喫茶一軒、中華飯店一軒ありました。その喫茶が「Coffee ポエム」です。黒いフィルムが張られたガラスで店内の見通せぬストリートビューによる外観はひどく秘密めかしていて気になっていました。結論としては外観こそ怪し気ですが、店内は至ってオーソドックスな内装でした。ここから気になる中華飯店に寄って戻ってきたらすでに閉まっていたので、昼までの営業ということかもしれませんので、お出掛けになられる方は午前中がよろしいかと。 先の喫茶では忙しなく席を立つことになってしまいましたが、「停車場」の裏手に入口のある「カフェ・レストラン ドルフィン」ではのんびり過ごしました。こちらはガラス越しに店内が丸見えのオープンなお店ですが、人通りのないビルの狭間という立地もあって、リラックスして過ごすことができます。暮れも差し迫っていますので、駅前に人気もなくさっきまで揺られていた列車の混雑を思うと、またあの込み合った車内に乗り込むのが嫌になります。しかしそんなことも言ってられないので体を伸ばし、軽くコリを解消したところで次なる町を目指すのでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020/01/26 08:30:07 AM
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