カテゴリ:航空&ミリタリー
馬鹿げた「インパール作戦」を典型とし、帝国陸海軍は兵站を軽視していた。 「輜重輸卒が兵隊ならば 蝶々トンボも鳥のうち 焼いた魚が泳ぎだし 絵に描くダルマにゃ手足出て 電信柱に花が咲く」 このような詩が公然と残されるほど、兵站に携わるものは蔑まれていた。 兵器などの正面装備重視の伝統は、自衛隊にも受け継がれている。 防衛省・自衛隊の装備調達人員は、少なすぎる 清谷 信一 : 軍事ジャーナリスト 2017年09月03日 東洋経済 8月31日、防衛省は来年度予算の概算要求で、過去最大となる5兆2551億円の計上を決定した。 昨今は概算要求から漏れた装備を当年度の補正予算で購入することが慣例化しており、昨年度の補正予算は約2000億円であった。 本年度補正予算を含めると来年度の実質的な防衛予算は5兆5000億円近くなる可能性がある。 では、膨らみ続ける防衛予算は適正に使われているのだろうか。 課題は多い。 たとえば自衛隊では米軍と同じ機関銃(ベルギーのFN社のMINIMIをライセンス生産したもの)を採用している。 これは型式が古いうえに、品質的にもオリジナルより劣っているのだが、米軍の10倍の単価約400万円を支払って調達している。 防衛予算を増やす前に不要な支出を抑える努力をすべきだろう。 …(略)… 調達計画のコスト意識が低い 本連載で繰り返し記していることだが、防衛省・自衛隊の装備が高額になっている要因を突き詰めると、調達計画のコスト意識が低いことにある。 諸外国ではどのような装備をいつまでに、いくつ調達を完了し戦力化し、その予算はいくらになるという計画を立てる。 議会の承認も必要だ。 だが防衛省・自衛隊の調達ではほとんどそれがない。 装備にしてもどれだけの数をいつまでに調達・戦力化し、総予算はいくらになるかを明記した計画がなく、国会議員もそれを知らない。 各幕僚監部内部では見積もりを出してはいるが内輪での話であり、議会が承認しているわけではない。 国会はその装備がいつまでに、いくつ必要で、総額がいくらかかるかも知らずに、開発や生産に許可を与えているのだ。 このため調達自体が目的化して、いたずらに長期化する。 …(略)… 正面装備重視の上、やたらに国産化(ライセンス生産含む)するため、調達価格が高くなる。 おかげで大して高くもない給料の兵卒が、日常的に使用する消耗品を自分で調達するようなことが起こる。 PCの台数が足りず、個人をPCを使用しておりイージスシステムの情報が情報共有ソフトで流出する事故もあった。 かつて極端に予算が乏しく、空包さえ使えなかったこともあった自衛隊では、空薬莢といえど無駄にはできず、飛び散る薬莢を回収していた。 防衛予算が世界で五指に入るほどとなった現在も、薬莢の回収について自衛隊は殊のほか神経質。 演習や実包射撃訓練となれば、薬莢入れを取り付けた89式や、魚取りの網を構えた薬莢回収役の隊員の姿などを見ることが出来る。 歴戦のイスラエル軍が薬莢拾いなどしない。 人間の無駄遣いだからだ。 だから予算の中で圧縮し捻出するということをしない。 全弾一斉発射すれば数分持たなくても、国産化して継戦能力を高めたつもりになっている。 合理的な選択として、米国の特殊作戦軍がトヨタのランドクルーザーとハイラックスを導入する時代だ。 米軍が日本で調達するのに不自由しないよう、国産化で防衛産業を維持しているのだろうか? 科学の国日本は、はかり知れないほど非科学的な軍隊の運用をしている。
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018年01月11日 08時00分10秒
コメント(0) | コメントを書く
[航空&ミリタリー] カテゴリの最新記事
|
|