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カテゴリ:教育論・教育問題
諸般の事情で心身が疲れていたこともあり、最近、「新しいブログ記事」を書いてアップすることもなかったのですが、大津市の中学生自殺の問題に関連した内容を、遅まきながらまとめておきます。
何人かのグループが特定個人を継続的に「いじめる」というのも「一つの(ゆがんだ)人間関係」です。そのような「ゆがんだ人間関係」や「トラブル」は、子どもたちの力で(例えばクラスの第3者も含めて)修正したり解決していけること、そのような力をしっかりと育てていくことが大切であり、理想的だと考えます。 (緊急に大人が介入する必要がある場合にも、そのような長期的な指導の視点を手放してはならないでしょう。) しかし、大人である教職員が直ちに介入・指導する必要がある「切迫した状態」に追い込まれていることも少なくありません。ところが、おそらく中学生以上の場合、大人にはすぐに分からない場合が多い(本当に切迫した状況になってはじめて分かる場合が多い)のです。 いじめられている事実を大人に相談することはプライドが許さない、といった意識や、「大人に相談してもどうせ解決できない」という不信感(さらには絶望感)が背景にあると思われます。私が、このたびの事件と対応を見て危惧するのは、「大人も学校も信用できない」という子どもたちの意識が今以上に広がり、全国各地無数にあると思われる「深刻ないじめの解決」がますます難しくなることです。 大津市の事件で教育委員会や当該の中学校(さらに必要があれば第三者機関)に強く望むことは、「かけがえのない命が失われた」という点で遅きに失するとはいえ、事実をきちんと確認し、事件の責任を引き受けること。「大人も学校も捨てたものではない」ことを少しでも示すことです。当初の対応は、論外といえるほどひどいものでした。
いじめの対応に関しては、実践の蓄積と情報交換が大切です。(特定の学校内だけでなく、学校の枠も超えて。)もちろん、プライバシーに関する充分な配慮は大切ですが、そのことが実践の蓄積と交流を妨げる口実になったり、深刻な状況に全く対応できない学校を残していくとすれば、問題は大きいといわなければなりません。 ただ、たとえ組織的に対応していく力量のある学校でも「いじめの事実そのものが分かりにくい」ことが、対応を遅らせがちなことも確かです。 私が経験した(関係した)ケースを2つ挙げておきます。 1、まじめな生徒であるが、なぜか2日連続遅刻をした。表情もさえない。不審に思った担任が昼休憩に呼んで話を聴いたところ、机上に汚いものが置かれていて、それが数日間続いていることが分かった。中学校時代から継続的にいじめられており、本人は学校に行くのも本当に気が重い、と言っている。 2、最近学校に行き渋る(理由をつけて休みたがる)のを不審に思った保護者が、本人と向き合い問い詰めたところ、いじめられていた事実(度の過ぎたからかいを受けたり、かばんのジュースが勝手に飲まれていたりしていたこと)が分かった。本人は学校をやめたい、と言っている。 1,2のいずれも、意図的に担任が個室で話を聴いたり、保護者が問い詰めるまで事実が分からなかったのです。 2については拙 HP 「祭りの後のいじめとクラス」で紹介しました。が、もちろんこのケースのように全員への聞き取り調査を宣言しただけで当事者たちが名乗り出るとは限りません。1のケースでは手分けをしてクラス全員への聞き取りを実際に行いました。 「机上に汚いものが置かれていた、という事実」はトイレなど人目につかない場所での暴行(当人にしか分からない事実)と比べてはっきり出しやすい、という点では対応が容易です。また、ネットいじめなどもよく問題になりますが、該当のページをコピーすることができれば、動かぬ証拠として明確な指導ができます。(もちろんプロバイダーに協力を依頼することが必要ですが・・・) また、(本人から聴き取った)いじめの事実そのものを出さなくても、「本人の様子がおかしい、学校に行きたがらない」という家族からの訴えを子どもたちに伝え、「学校で何かいやなことがあるのではないだろうか、知っていることがあれば書いてほしい」という形でアンケートを取る、というやりかたもあります。 いずれにせよ、事実がわかれば担任個人にとどまらず、学年・学校としての組織的対応は可能なのです。(もちろん、その見通しをひらいていくような実践の交流も大切。) 確かに、いじめに対して学校は何もできないのではないか、と思う子どもたちが数多くいることは事実でしょう。しかし、水谷修氏(夜回り先生)が言うように「死なないでほしい、死ぬ前に誰かに相談してほしい」ということを願わずにはいられません。 (アメーバブログ〔= 「しょう」のブログ(2) 〕を復活させました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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こんにちは!
問題のの真相の解明と、担任の言い分も聞いてみたいですね。 梅雨明け宣言が出て、真夏の到来です! 直射日光を浴びると腕がヒリヒリ痛いくらいの暑さです。 今週も頑張っていきましょう~☆ (2012.07.17 17:14:36)
しょうさんの過去の いじめへの対応も 拝読しました。
担任の先生がたの資質・・というか 指導方法というか・・ そうした 担任の先生による差は 大きいと 感じました。 おなじような指導方法でも 先生の 性格のすきのようなものを ついてくる生徒集団も いますし・・ いろいろ お疲れのようですが 大丈夫ですか? (2012.07.18 00:41:44)
報道で見れば、どんどん内容が明らかになってきています。学校サイドでも先生個人の問題とするのではなく、学校全体や教育委員会を巻き込んでやっていく必要がありそうですね。ぽちぽち
(2012.07.18 06:10:10)
Good morning.
How are you ? 台風の影響で明るい朝ですが とても蒸し暑いです。 早朝散歩は休んで これから朝風呂に入って体操です ♪ さあ、今日も少しガッツ&ファイトね。 Have a happy Wednesday. Thank you. (2012.07.18 07:05:58)
酒蔵天領誉さん
>こんにちは! >問題のの真相の解明と、担任の言い分も聞いてみたいですね。 担任には、「自分のクラスでそんなにひどいことが起こっているとは思いたくない」という心理が働きますし、いじめられている当人も「平気であることを装う」場合があるのですが、新たな悲劇を防ぐためにも、このたびの問題はしっかり究明しなければ、と思います。 (2012.07.18 17:57:46)
10円まんじゅうさん
お久しぶりです。コメントありがとうございます。 >しょうさんの過去の いじめへの対応も 拝読しました。 >担任の先生がたの資質・・というか 指導方法というか・・ >そうした 担任の先生による差は 大きいと 感じました。 >おなじような指導方法でも >先生の 性格のすきのようなものを ついてくる生徒集団も いますし・・ 確かに、当時の担任と私は充分自分たちで対応できることを確信していました。その点、教員と生徒たちとの関係性や教員の指導性によって結果が左右される面は確かにあります。 ただ、実践で紹介したようなやり方を用いて「学校としてとことん事実を確認する」という姿勢で組織的に対応すれば、担任の力量が不十分であっても対応可能だとは思います。 >いろいろ お疲れのようですが >大丈夫ですか? ご心配いただきありがとうございます。 かなり疲れていましたが、回復してきましたので、近々原発関係の記事もアップしたいと考えています。 (2012.07.18 18:07:26)
よっしーせおさん
>報道で見れば、どんどん内容が明らかになってきています。学校サイドでも先生個人の問題とするのではなく、学校全体や教育委員会を巻き込んでやっていく必要がありそうですね。 賛成です。担任個人の力だけで子どもたちの「運命」が左右される、ということではなく、学校としての組織的対応について私なりに考えていることを(上記の記事・コメントで)述べたつもりです。 (2012.07.18 18:10:15)
Good morning.
首位攻防! 勝手な応援要請をさせていただきます。 よろしくね ♪ (深くおじぎ) Have a good weekend. Thank you. ☆ こちらからの2応援は いつも笑顔で完了です。 (2012.07.28 09:29:56) |