カテゴリ:航空事故
4月20日、海上自衛隊の哨戒ヘリコプター SH60K 2機が太平洋上に墜落した事故で、海自は4月23日、死者1人を含む搭乗員計8人の氏名を公表した。 自衛隊は米軍の支援も得て行方不明者の捜索範囲を拡大するとともに、原因究明を急ぐ。 現場の水深は5500メートル。海自は海洋観測艦「しょうなん」も投入し、海底に沈んだとみられる機体主要部の特定も急ぐ。 2機は20日深夜、護衛艦隊司令官が部隊の練度を評価する「査閲」の一環で、複数の艦艇やヘリと連携して敵役の海自潜水艦を探知・追尾する訓練をしていた。査閲は、より実戦に近い形式で行われる。 海自によると、訓練には護衛艦や補給艦など水上艦8隻と、敵役の潜水艦1隻が参加。墜落した2機は、護衛艦2隻からそれぞれ発艦し、別の1機とともに潜水艦を探知する手順を確認していた。 海自は2機が空中で異常接近して衝突したとみており、操縦や安全管理の状況を調べている。 海自は事故発生後、同型機の飛行訓練を停止している。 今回の訓練で、音波を発信し、反響音から潜水艦の位置を調べるソナーを2機が海中にぶら下げていた。 以前は音を集めるソノブイを投入し、潜水艦が発する雑音を聴取する探索法が一般的だったが、1990年代以降には潜水艦が高性能化し、音を出さなくなり、今回のような手法が使われるようになっているという。 3機で海面に『の』という字を、渦巻き状に描いていく形だと推測され、それぞれが順番に次のポイントに移動し、ソナーを海中にぶら下げる。 その際、海面に近い高さをとる必要があり、高度を変えず、僚機の脇を抜ける形となる。ソノブイを用いる訓練よりも衝突の危険性は高くなる。 墜落した2機の海自ヘリ、 …闇夜の低空飛行は計器頼り 読売新聞 2024年4月27日 … (略) … 査閲は、部隊が実際の任務を遂行できる能力があるか検証するもので、高度な戦術判断や複雑な部隊運用の力が求められる。敵から攻撃を受ける事態を想定し、どう対処するかという点も評価される。 2機に分乗した8人は、暗闇の中で、安全確認と潜水艦の追尾に神経をすり減らしていたとみられる。 複数の隊員によると、夜間訓練は昼間と比べて危険が増す。 窓の外の暗闇に目を慣らすため、機内にともすのは赤色灯のわずかな明かりだけだ。方位や高度、速度、機体の姿勢を示す計器類を頼りに、少しの変化も逃すまいと闇夜に目をこらす。 最も神経を使う瞬間は、水中音波探知機(ソナー)をつり下げて海中に沈める時だという。ホバリングしながら高度を約20メートルまで下げる。夜間は海面までの距離を目で確認できず、計器の数字を信じるしかない。 潜水艦も移動するため、判断が遅れると、捜索範囲はどんどん広がる。「広大な海で一度逃すと、再び見つけられる確率は一気に下がる」。機内は常に緊張感に包まれているという。 練度の低下懸念 事故では1人の死亡が確認され、7人の行方がわからなくなっている。海自は現場に海洋観測艦「しょうなん」など艦艇約10隻を派遣して捜索を続けている。同艦は海底5500メートルの捜索も可能だが、深くなるほど観測の精度は落ちるため、難航も予想される。 防衛省内では人的な要因で墜落したとの見方が出ている。回収した2機のフライトデータレコーダー(FDR)の初期分析では、機体の異常を示すデータは確認されなかったからだ。海自関係者によると、事故当時の気象条件にも問題はなかった。 海自トップの酒井良・海上幕僚長は23日の記者会見で「実際に活動していた戦術状況、与えられたミッション、(ヘリが)誰の指揮下で動いていたかなど様々なものが複雑に絡み合っている」と述べ、事故調査委員会で客観的に検証されるとの見通しを示した。 ― 引用終わり ― 中国の海軍力増強を機に20年ほど前から「潜水艦軍拡競争」が勃発し、全世界に600隻弱ある潜水艦の実に3隻に1隻、200隻ほどが西太平洋地域の海に集まっていると見られている。 英シンクタンク・国際戦略研究所(IISS)の最新報告書『ミリタリー・バランス(2023年版)』を中心に、激動する潜水艦事情に迫ってみると、米ロを除いて10カ国・地域(以下)が西太平洋で潜水艦を保有する。 ・中国59隻 ・日本22隻 ・韓国19隻 ・北朝鮮約20隻(小型潜水艇は除く) ・台湾4隻 ・ベトナム6隻 ・マレーシア2隻 ・シンガポール4隻 ・インドネシア4隻 ・豪州6隻 従来音の発生が多く所在を特定しやすかった中国の潜水艦に音が小さくステルス性の高い096型が導入されるという。 …急ピッチで建造が進む 「096型巨大ステルス原子力潜水艦」のヤバすぎる性能 2023年11月20日 集英社オンライン 搭載ミサイルは世界最多の24発で、その射程は中国沿岸部からほぼ米全土を射程に収めることが可能な約1万2000キローー。中国が現在、急ピッチで建造している「096型巨大ステルス原子力潜水艦」は、米中の軍事バランスを完全に崩壊させるだけでなく、日本の安全保障にとっても深刻な脅威となる“無双カード”といえる。 … (略) … その「ジョーカー」とは中国のミサイル原潜である。11月1日にも米軍事サイト『ウォリアー・メイブン』が「中国海軍の新型である『096型』戦略弾道ミサイル搭載原子力潜水艦(SSBN)の建造が急ピッチで進められている」と報じたばかりだ。この報道が事実なら、中国軍にはNATOコードで「晋」094クラスと呼ばれるSSBN6隻に加え、新たに「唐」級と呼ばれる巨大な原潜2隻が加わることになる。 「唐」級「096型」は中国遼寧省で建造中とされている。米国防総省議会報告によれば、搭載ミサイルは現在の「晋」級の12発から24発に倍増するという。これはアメリカの持つミサイル原潜「オハイオ級」と並んで世界最多搭載数となる。 潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)は大陸間弾道ミサイル(ICBM)に次いで世界の核戦略の重要な要素となっており、本国が核で壊滅しても海中から核弾頭を相手国に打ち込む「報復ミサイル」としての役目を持つ。 … (略) … 中国新型ステルス原潜を海自は捕捉できるか? 中国海軍の勢いを誇示する意味でも、この新型原潜の持つ役割は大きい。米海軍大学の中国海事研究所によれば、096型原潜は全長150メートル、最高速度は29ノット(時速約54キロ)。先行艦の094型に著しい改良が加えられた096型は、水中排水量15000トンを超え、ロシア海軍の持つ「ボレイ」型ミサイル原潜や「アクラ1」型攻撃型原潜よりも性能的に優れているという。 また、そもそも潜水艦が海中深くを航行するという性格から隠密性が高いにもかかわらず、その形状もステルス性に最大限配慮されたものになっているようだ。ただし、その性能の詳細はまだ明らかになっていない。艦そのものがレーダーに映りにくくなっているのか、それともソナーに探知されにくい特性を持っているのか? ― 引用終わり ― お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024年05月12日 06時00分16秒
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