|
カテゴリ:Community
試験場の下見も終わって、後はネクストバッターボックスで出番を待つばかりだ。もうやる事は全てやった。練習も自分で決めたコースを思うように走るだけだ。時には教官の留守にフリー走行を行う事もある。もう教官も何も言わなくなった。私の質問に答えるだけである。
10人連続合格も最後の野武士集団がトライするのみである。9回表2アウト2ストライク3ボールまで追い詰めた。いよいよ大詰めである。オジントリオは出番に備えて何時にも増して腰痛のマッサージや五十肩のケアを念入りに行うのである。 ところがである。事もあろうに、監督は我々オジントリオに代打を送ったのである。大型二輪のモニター生は少数であったので、球を粗末にはできない。監督は、あと一息と言うところで、全てをオジントリオに任せる程お人好しではなかったのだ。失敗は絶対許されないのである。もし、オジントリオに任せて検定当日バイクの引き起こしでギックリ腰になって、そのままバイクと共に倒れ込むような失態を犯したならば、この学校は末代までの笑いものになってしまう。と思ったかどうかは定かではないが、とにかく我々は最後の詰めに失敗したとき、再度の10人連続に起用されるということだ。これは私にとってもオジントリオにとっても大変な屈辱であった。今までのこの張り詰めた気持ちはどうなるのだ。エーイ何処へぶつけてくれようか。道理で最近普通二輪の野武士が、教官に口説かれて大型の練習をしていた理由がここに来てわかった。 しかし、冷静になって考えると、もし自分が教官の立場だったらどうする。普通二輪の野武士は皆若い、しかも、つい先日一発合格を果たしたばかりである。この土壇場に来て、2軍から上がったばかりの選手を起用するよりは、1軍を使った方が確率は高い。下手に情けをかけて、今までの苦労を水の泡にはしたくない。と思うのは当然だろう。私でもそうすると思った。 果たして代打が最後の検定に挑んだ。さて、その結果は如何に....そしてオジントリオの運命は....壮絶なる戦いを繰り広げた教習物語はとうとう感動の最終章に突入する。乞ご期待。次回の書き込みが待てない方は前売り券をお求め下さい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[Community] カテゴリの最新記事
|