テーマ:哲学・思想(191)
カテゴリ:読書
『荒ぶるスサノヲ、七変化』
![]() P185 「本覚思想」とはなにか 「天台本覚論」とはなにか。 じつはなかなか難渋な教義だが、仏教哲学者の田村芳郎 氏の研究をもとにして、できるだけわかりやすくまとめて みよう。 一般に天台本覚論(本覚思想)と呼ばれる教義は、平安時 代末期に天台宗内部から生み出されたもので、鎌倉時代以 降に最盛期を迎えたという。 その内容は、煩悩と菩提、生死と涅槃、永遠と現在、本 質と現象といったような二元的に対立させる考え方を突破、 超越して「絶対不二」という境地を追求する教え、という ことになる。 ![]() 最初の段階では、二元的に対立しているものは見かけ上の ものにすぎず、その対立を超えた「仏」の普遍的な真理があ ると考えられた。 こうした二元的な対立を突破・超越した果てに、現実に降 り立つと、二元的様相の現実をそのまま絶対肯定していくこ とになる。 ここに「善悪不二」とか「邪正一如」という言い方も生ま れてくるのである。 さらにそれは日常生活そのものを肯定することで、人間が 欲望にまみれ苦しむ「煩悩」の状態が、そのまま悟りの境地 たる「菩提」の実現であるという「煩悩即菩提、無明即涅槃」 といったキャッチフレーズも生まれてくるのである。 ![]() 各々の思考の至るところは同じではないが、天台宗の本覚思 想が、思考様式として、ヘーゲルの弁証法それに類似している ことに感心する。 日本には「神も仏もあるものか」という表現で、「神」と 「仏」をいっしょくたにしているが、キリスト教の「神」も案 外近いところもあるようだ。 ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017年12月20日 18時00分19秒
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