テーマ:とってもアメリカン(16)
カテゴリ:アメリカ
2020年5月25日、ミネソタ州ミネアポリスの路上で、人々がみている中、デレク・ショービン警察官が後ろ手に手錠を掛けられて地面にうつ伏せにされ、身動きできない状態の黒人男性ジョージ・フロイド氏の首を膝で「8分46秒」抑え続けて殺した。 白人警官はなぜ黒人を殺害するのか 堂本 かおる 2020年06月08 文春オンライン …(略)… 「息ができない」者たちの最後の手段 先述したように、1964年の公民権法により人種差別はようやく違法となった。 しかし社会のシステムと人の心にはびこる差別心が法の制定によって急に無くなるはずはなく、あらゆる黒人差別が続いた。 耐え切れなくなった黒人たちは全米で暴動を起こした。 特に1967年の夏は多くの暴動が発生し、「長く暑い夏」と呼ばれた。 中でもデトロイトの暴動は苛烈を極め、死者16人、負傷者約500人となった。 どれほど耐えても、どれほど訴えても差別が無くならず、同胞が次々と殺されていくならば、人はどうすればいいのだろうか。ジョージ・フロイド氏が亡くなった翌日のデモは、当初は平和的だった。だが、人々は感情の噴出に見舞われたのだろう。かつ警官がデモを阻止しようとしたために、「また今度も耳を傾けないのか!」と感情を爆発させてしまった。 フロイド氏は「I can't breathe!」(息ができない!)と、何度も何度も訴えた。しかし、白人警官デレク・ショウヴィンは聞く耳を持たなかった。手錠を掛けられ、地面にうつ伏せに押さえ付けられていたフロイド氏には為すすべが無く、死んでしまった。 ― 引用終り ― 無抵抗の市民を権力が圧殺する様子は、民主主義の代表として振る舞っている「自由・平等・博愛」の米国の闇の構造の一端を示した。 力と力で圧殺されてきた弱者、少数者の実態がインターネットによって、広範囲に分かり易く示された。 アメリカ警察の深すぎる闇 モーリー・ロバートソン 2020年7月6日 州プレ …(略)… つまり、にわかには信じ難い話ですが、ミネアポリス警察では人種差別が"カルチャー"として根づき、近年は特殊な警察組合長によってそれが増幅されてきた――そんな実態があるのです。 ■「治安悪化→重武装化」というインセンティブ この状況から察するに、今回の事件はやはり警官個人の暴走ではない。 「黒人に対して暴力的に振る舞ってよし」という組織の流れに沿ってショービン被告も職務を行なうなか、ああいった事件が起き、(警察側からすれば)それがたまたま表面化したということではないでしょうか。 こうした構造からくる人種差別の問題は、ミネアポリスのみにとどまらない米全土の警察の問題とみるべきでしょう。 そもそも、歴史上初めてアメリカで警察組織がつくられたとき、主な業務は逃亡した黒人奴隷の捕獲と暴動の鎮圧だった。 それ以来、"黒人取り締まり"のカルチャーは、多かれ少なかれずっと受け継がれてきたのです。 さらに、警察組織にとっては、市民に対して暴力的に振る舞うことにある種の"インセンティブ"が働いてしまうという構造もあります。 この30年間、アメリカの警察は「対テロ戦争」「麻薬との戦争」などの大義名分の下、相当に重武装化してきました。 その仕入れ先は、なんと米軍――厳密に言えば、イラクやアフガニスタンの戦場で使用した装備の一部を民間軍事会社が払い下げ、それを全米の警察が買い取るという構図。 ライフルはもちろん、ロケット砲、路肩爆弾にも耐えられる装甲車、そして軍用ヘリ......など、「街の治安を守る」にはオーバースペックな装備がズラリとそろいます。
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最終更新日
2020年10月08日 06時00分09秒
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