テーマ:倉庫・運輸(145)
カテゴリ:物流 ロジスティクス
2020年から続くコロナ禍は社会のリモート化をすすめた。日々の暮らしにおいては通信販売、出前が盛んになった。 宅配が繁忙を極める一方で、少子高齢化に加え人口減少社会となった日本に物流危機が迫っている。 団塊の世代の後期高齢者入りはドライバーの減少となり、新規のドライバー0は若者層の減少と公認教習所を救うための自動車運転免許の細分化により、容易に供給されない。 そのような環境下、2024年ドライバー業界に労働時間の上限規制が実施される。 労働時間の上限規制に加え、核家族化もあり、長距離トラックドライバーの不足に拍車をかけることになる。 櫻井玲子 解説委員 2021年09月20日 NHK 私たちの暮らしを支える「物流」。 消費者の手元に商品が無事、届くまでの、一連のモノの流れを指し、「経済の血液」とも呼ばれています。 しかし、その血液の流れが、途中で止まってしまったら、どうなるでしょうか。 欲しいモノが、欲しい日に届かなくなる、といった深刻な「物流危機」が起きることを懸念する声が、あがっています。 なぜそのようなことが心配されているのか。何が、起きつつあるのか。その背景や課題、そしてその対応策について考えます。 【物流危機が心配される背景】 物流危機が今、心配されているのは、「運んでほしい荷物の量」、つまり「物流需要」が「輸送能力」を超えつつ、あるからです。 まず需要をみると、ネットショッピングの普及を受け、個人向けの宅配が増えています。 さらに、より、大きな問題となっているのは、生産者から卸や店への輸送の「頻度」、つまり荷物を運ぶ回数が増えていることです。消費者の要求にきめ細かくこたえるために少量多品目の製品を届けてほしい。 それも余分な在庫を避けるために、必要なときに必要なだけ、すぐに、届けてほしい、という求めに応じたものですが、物流企業に、相当な負担を与えているというのが実情です。 一方、商品を運ぶ輸送能力は年々、低下しています。 特に国内輸送の9割を占めるトラックの運転手の数が減っているのが、最大の要因です。 ドライバーの高齢化がすすんでいること。 また、重い荷物の積み下ろしや長い待ち時間、その割には安い賃金が敬遠され、2000年には100万人いたといわれるドライバーの数が、2030年にはその半分の50万人程度にまで減るという予想もあります。 特に注目を集めているのが「2024年問題」です。 3年後の2024年度から、働き方改革の一環として、「残業の上限規制」が始まります。 ドライバーの健康を守るために必要不可欠な改革ですが、罰則を伴う規制の導入により、ドライバーの労働時間は大幅に減り、その分、輸送能力が低下することが予想されます。 2030年ごろには、輸送を必要とするモノと、実際の輸送能力に、35パーセント程度の需給ギャップが生じるのではとみられています。 これは、本当は運んでほしい荷物の3割以上を、運んでもらうことができなくなるかもしれないということを意味します。 ― 引用終り ― コロナ禍前の2019年の鉄道貨物協会の試算では、物流の要の1つであるトラックのドライバーは、2020年度時点で14万4058人不足、2025年度は20万8436人不足、2028年度は27万8072人不足すると予測している。 通販主体の消費者物流だけでなく、調達物流、生産物流、販売物流など物流全般の危機となる。 カンバン方式に基づき、在庫は少なければ良、多頻度配送は良とされてきたが、これはモノの運び手のことを考慮してないコストダウンの仕組みだ。 SDGsやCO2削減などのサステイナビリティのムーブメントと考え合わせて、物流危機の前兆を契機に、商品や製品の物流システムやサプライチェーンを根本から見直すことが必要となるはずだ。保守的な日本は火がついてから対応を始めるのであろう。 ビッグデータをもとにしたAI活用の大規模で効率的な物流プラットフォームが出現する日が来るだろうか。
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最終更新日
2023年02月11日 06時00分10秒
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