テーマ:少子化問題(6)
カテゴリ:物流 ロジスティクス
2021年9月10日、日本郵政の連結子会社である日本郵便(東京・千代田)とSGホールディングス(HD)傘下の佐川急便は、小型荷物の宅配や国際荷物の輸送などでの協業で基本合意したと発表した。ネット通販の取扱い量の増大と人手不足に対処するため、宅配業界2位と3位が手を組んでヤマト運輸の独走に待ったをかけるなどと報じられた。 2023年6月19日、日本郵政グループとヤマトホールディングスは、宅配事業で協業すると発表した。 日通のペリカン便を吸収合併して拡大はしたものの、収益面で厳しい宅配事業の改善のため、日本郵政の苦しんでいる様がみてとれる。 …人手不足の中で配達体制効率化 読売新聞 / 2023年6月19日 15時35分 日本郵政グループとヤマトホールディングス(HD)は19日、小型荷物の宅配事業で協業すると発表した。ヤマトHD傘下のヤマト運輸が手がけるメール便や小型荷物を、日本郵便のサービスに統合し、郵便側が配達を担う。物流分野で人手不足が深刻化する中、配達体制の効率化を図る。 ヤマト運輸は来年1月末、商品カタログやチラシを送るメール便「クロネコDM便」を終了し、日本郵便の配送網を活用した新サービス「クロネコゆうメール(仮称)」に切り替える。自宅のポストで受け取ることができる小型荷物「ネコポス」も今年10月以降に順次終了し、「クロネコゆうパケット(仮称)」として取り扱いを始める。 ― 引用終わり ― 楽観論や「ピンチはチャンス」と論じる向きもあるが、人口が減っていくということは、経済の面で厳しくなるという、正当、あたり前の経済の側面が現実化しつつある。 たとえ特定の分野で市場が拡大しても、労働力不足が明らかになる中、資本は固定費の増大を避けようとする。即ち縮小均衡をはかろうとする「撤退戦」がそこかしこで見られるようになるということだ。 ついに銀行も支店撤退… 地方経済の問題について 2023年6月22日 文春オンライン みんな、結構簡単に「衰退を受け入れろ」とか言うじゃないですか。 しょうがないじゃないか、と。まあそれはそうなんですが、しかし人口減少による衰退を明確に表す報道も増えてきましたよね。 先日、NHKが「日本郵便とヤマト運輸 メール便などで協業へ 物流ひっ迫に対応」と報じるなかで、岸田文雄政権がそのまま継承している働き方改革2024年問題は物流業界のトラック運転手さんの超過勤務への対応が背景にあるって書いておられまして。トラックを含む物流業界自体がブラック過ぎたからね。これは対策を打って当然ですね。 … (略) … 地方が沈んじゃったのでね、仕事がないんですよ 地方では特に需要が少なくなって、値下げしても荷物が集まらないぐらい、地域で暮らす人が減ってしまったのです。ゴミが減ったんですよ。ゴミを出す人自体が減ったから。 でも、産廃の流通に携わる事業者の数は減らない。昔ながらの産廃輸送を担う老舗もあれば、そういうところで勤めて、トラック1台で独立する猛者もいる。値上げどころか、荷物を集積させる中間処理場まで無料で運びますとか、他のお客さんと混載でいいから安くするんでお願いしますとか、そういうレベル。やめろや。安売りすんな。 地方が沈んじゃったのでね、仕事がないんですよ。 でも、移動する距離はそう変わらない。人が減ったから、最終処分場が近くなりました、なんてことはあり得ないわけです。そのぶん、トラックの輸送距離も、そのトラックを転がすドライバーさんの数も必要であることは同じです。だからこそ、少なくなった荷物の量で、いままで通りドライバーさんを雇わないといけない業界構造になると、みんな沈む。そんなことは物流にちょっとでも関わっている人たちからすれば当然理解をしていることです。 … (略) … そら若者減るよね、仕事ないんだもん しかし、物流の厳しさと秋田への愛とは別だ。人が少ないし、経済活動が停滞しているから産廃も物流も荷物が少ないぞ、秋田県民。どういうことなんだ。こら佐竹、どうにかしろ。泣く泣く、あっち方面に作った中間処理場も最終処分場も縮小したり閉鎖したり合併したりするし、物流も当然減ります。残念。 そうすると、秋田で毎年何人か採用していた若者が現地で働けなくなって、うちの仙台事務所とかに就職面接に来る。JR東日本の電車に乗って。ごめんよ、秋田の仕事場なくなっちゃって。でも、ひとり暮らしになっても就職したいから頑張るっていうんですよ。成績表見てると超優秀じゃん、産廃業界来てないで東京来いよ東京。という感じで今春は3人の若き秋田県民が、私のところに就職して東京都民になりました。そら若者減るよね、仕事ないんだもん。 秋田に限らず、地方経済が回らない理由のひとつに、現地の事業者が「最低賃金で人を雇おうとする」んです。人が減るということは、働き手も集まらない。お前ね、人手不足なんだから、周りより高い給料払ってあげなかったら働く人が来ないよ。 また、需要が少なく売り上げが少ないうえに、同業他社がなかなか廃業しないし合併再編もできないから、売上がどんどん減っていきます。だから、少ない人を安く雇って長く働かせて辻褄を合わせようとするわけですよ。で、地元で品物が捌けないから、都市圏で売ろうとする。ますます、物流費がかかる。 地方経済の衰退という病気があっての症状 ましてや、その物流なんて他人様の荷物だけじゃなく、交通においては人の命にも関わる仕事なのだから、そんな超過勤務を続けていたら割と頻繁に事故るわけです。というか、報道がされないまでも、田んぼに突っ込んだり横転したり、お前何してるんだよというようなありえない事故が、このところ増えるわけですよ。 … (略) … 人がわんさかいて、経済が活気に包まれているならば、その分、運賃の値上げをして高給でドライバーさん集めればそれでいいんだからね。でも、人口も需要も減って、しかし業者の数は変わらなくて、業者あたりの売上が減ったら、そりゃあヤマト運輸と日本郵便だって旧怨は忘れて手を組もうってなりますよ。大手事業者として全国津々浦々の営業所は維持しないといけない手前、「採算が合わんので田舎から撤退します」なんて言えないわけですから。 同じことは、電力にもネットにも携帯電話にも金融・地銀にもテレビ局にも新聞社にも保険会社にもイオンにも病院にも上下水道にも言えます。人がいないんだから、事業が成り立つわけないだろ。撤退だ、撤退。 人口減少時代の「撤退戦」であることは間違いありません しかし、衰退する地方にしがみついているのは、年金や生活保護で生きている高齢者の割合もまた多いから、うっかり地銀など金融機関がせめて採算の合う範囲で合理化しようと「支店を閉めてATMだけにします」なんて言おうもんなら、地域の高齢者がむしろ旗掲げて反対するんですよ。 地銀の支店撤退に「対抗」、町が預金を全額解約 鳥取:朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/articles/ASL8033M4L80PUUB003.html 5年ほど前には鳥取銀行が人口4500人しかおらん村から支店撤退させようとしたら、自治体そのものが預金全部下ろすムーヴに出てニュースになったりしてました。もうさ、基礎自治体としての存続すら危ういレベルなのに、銀行が支店出して銀行員さん張り付けておく意味がどこにあるの。 … (略) … 人のいない地域に不合理にお金をかけて、おらが故郷を守れと言われても、その原資は国民の税金であることを忘れてはならないし、これが人口減少時代の「撤退戦」であることは間違いありません。 … (略) … 2022年の鉱物性燃料輸入額は、昨年比96.8%増の約33兆5000億円ですよ。日本から、これだけカネが、出て行ったよってことです。これもう、国が積極的に地方経済にメリハリをつけて持続可能な状態に早く再編しないと成り立たないでしょ。もう。
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最終更新日
2023年07月05日 06時00分11秒
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