米大統領選:バイデンVSペイリンのVPディベート
今日は、米大統領選の副大統領候補どうしのTVディベートの日。いきなりぽっと出のペイリンに、この日のディベートのために、直前にはマケインの家で特訓合宿があったとか、あまりにみんながいろんなことをペイリンに一気に教えようとしたので、ペイリンらしさが全然でてこなくて、洗脳されたような感じになってしまうので、家族を呼んで落ち着かせたとか、いろいろ事前報道あり。が、先週のオバマVSマケインと比べて、今回はバイデンの貫録勝ちというところかな。私的には、ディベートの最中でペイリンが泣き出さなけりゃいいんじゃない?くらいに思っていたので、健闘したと思いました。以前のTVインタビューで言葉に詰まった経歴があるので、今回はそれほど詰まってはいませんでした。今回のお題は、国内だけでなく国外もあわせた形で、1.5時間で行われた。何となく、ペイリンのディベート上の戦略が透けて見えた感じはした。基本、防御策ですが。バイデンは、外交問題については熟知してるし、本人も一度は大統領候補に立候補したくらいだから、国内問題もある程度は勉強してるし、分かってるし。なので、実質大人と子供の戦いといっていい。なので、ペイリン戦略その1:バイデンがマケインをブッシュと同じ、ブッシュはひどい政策をうった、というレッテルを貼ろうとするので、その場合は「過去誰が悪かったかを指差してばかりいるのは変化をもたらすといっている人間のすることではない」といって封じる。これは2,3回くらい使ってたかな。あながち悪い戦略ではないが、あまりたくさん使うと、そもそもブッシュ政権があまりにひどかったから、こういうことになるんだ、その理由を理解しないと、解決策もまともに出来ないだろうが、という反論を食らうので、要注意だ。その2:バイデンがたくさん過去事例を挙げてペイリンがよくわからない分野の話をして対抗しないといけない場合、ペイリンの得意分野、エネルギーを主張せよ。前後の話は気にするな。最初の頃は、司会の質問にちゃんと答えていなかった。慣れてきたら、答えるようになったけれど。その3:何を答えたらいいのか分からなくなった場合、その問いには答えないと断言。そして、マケインが掲げる政策を繰り返せ。これも、2,3回くらい使ったかな。同じテーマで一度は反論できても、2度目だと反論できない。でも、何か反論したという格好は保てるので、それでよしとしたのだろう。つまり、会話になってない。もちろん、ペイリンは準備してきたことをそのままいう。そして、バイデンはその言葉をそっくり使って反論する。それをうけて、ペイリンは上記戦略のどれかを使う。そして、バイデンがさらにそのペイリンの言葉をうけて再反論。で、終わり。例えば、ペイリンが、マケインは議会でこの法案を支持した、過去にこういった、けどオバマは支持してない、過去にこういった、という。すると、バイデンは、マケインがその法案を支持したというのは、ミスリードするものだ、こういう場合はマケインはあのときああいった、とか。どんどん事例がでてきて、一方、オバマもバイデンもこういう趣旨で法案を支持したとかしなかったと、ものすごくデータに肉付けをして反論する。すると、ペイリンは言い返すだけの材料が頭にないので、上記戦略のうちのどれかを使う。例えば3を使ったとすると、そのマケインの掲げる政策(減税、イラクへの米軍派遣は必要なだけいるとか)を繰り返す。すると、バイデンがまたその政策に噛み付き、そのテーマは終わる。だが、それにしても、全然マケインのアドバイザーたちは経済が弱いのかしら?せっかくペイリンが州知事で経済の話をすればいいのに、マケイン同様、減税という以外まともな政策が出てこない。受諾演説のときの方がまだまともに経済の話してた。尤も、それに比べ、バイデンは3つか5つくらい政策を掲げ、誰がターゲット層(民主党の場合、ミドルクラス)なのかもしっかり理解したうえで力強く話す。一方、バイデンもかなりいいディベートをした。解説者は、バイデンの人生で最高によかったといってた。もともと、このディベートの大目的は、この副大統領候補を副大統領にしていいんだっけ?という国民の疑問に対し、その通り!と安心感を与えることにある。バイデンは、その目的を果たした上に、マケインじゃ根本のところで失敗の経歴があるし、(イラク戦争はすぐに終わるさ、とか、サブプライムでウォール街が混乱するなんて信じられないと発言したとか)自分たちを選ぶべきという主張まで、説得力を以て自説を展開。ディベート後のCNNの簡単な世論調査だと、どちらの候補にも好感を持ったらしいが、やはりバイデンに分があったようだ。少なくても、バイデンがオバマの次のディベートの露払い役を完璧にこなした。ただし、これはあくまで副大統領候補の話。どちらがいい副大統領候補を選んだかという程度でしかない。これで、決まり、というわけでは決してない。なので、今後も注目していく必要がある。