カテゴリ:経済
経済(学)の世界ではトマ・ピケティの「21世紀の資本」ブーム以来、資本主義の終焉が喧伝されている。 イスラム文化との文明の衝突も世界的な課題となっている。 米ソ冷戦構造が終わりを告げた今日、新たに自由主義と社会主義接点が問題となっている。 具体的には世界の経済体制に組み込まれているにも係らず、国外経済と国内経済を別途管理しようとしている中国にかかわる問題だ。 中国金融当局の無理解が世界の市場を混乱させる 真壁昭夫 [信州大学教授] 2016年1月19日 ダイヤモンドオンライン 中国金融当局のドタバタ劇が 世界の市場に伝播した 2016年年明けの世界の金融市場は、中国金融市場の乱高下をきっかけに大きく混乱した。その引き金を引いたのは、間違いなく、同国の金融行政のドタバタ劇だ。 恐らく、今でも共産党政権は市場をコントロール可能と考えているのだろう。いざとなると、金融市場の無数の投資家の圧力の方が強い。共産党政権はそれを本当の意味で理解できていない。「力づくで、株式や為替などの金融市場を抑え込める」との過信が中国国内の株式市場を乱高下させ、それが世界の主要市場に伝播した。 また、世界経済の低迷懸念を背景に、原油価格は1バーレル=30ドルに下落し世界経済の先行きに不透明感が高まった。それをきっかけに、大手投資家は保有するリスク量を軽減する=リスクオフの行動に出た。為替市場では、ドルが対円で117円台前半まで売り込まれた。年初以降、日経平均株価は6営業日続落し、8日には、雇用統計が予想を上回ったにもかかわらず、米国の株価は下落する一方、金利は低下した。これは典型的なリスクオフの現象だ。 …(略)… 日本もバブル崩壊以前は国内経済を一国の金融・財政当局、通貨当局が制御できると考え、様々な政策を展開していた。 バブルが崩壊し、1997年のアジア通貨危機を経て、経済を一国の関係当局で制御することは不可能であることが明確になった。 中国の金融当局は世界の資金(投資)を受入れて経済発展をはかったにもかかわらず、資金が逃げ出すことを考えなかった。 株式市場のサーキットブレーカー導入、市場介入、大株主に対する売却制限などが投資家を不安にさせるだけだということに思い至らなかった。 米ドルのような国際決裁通貨となることを目指して、IMF(国際通貨基金)のSDR(特別引き出し権)に人民元を組み込ませたにもかかわらず、そのことが自国、自国通貨にもたらす影響(効果、責務)を恐ろしいほど理解していないようだ。 例え米国であろうと、資本市場にサーキットブレーカーを働かせることで得られるものはない。 得られるのは市場の更なる混乱だけだ。 中国は米ドル支配の構造から離脱しようとしているのだろうが、あまりに拙劣な手法を露呈し続けた。 AIIB(アジアインフラ投資銀行)についても、格付けの取得をしないことなどから、世界経済の切り札どころかジョーカーにさえなれそうもない。 AIIB「開店休業」状態 融資1号案件大幅遅れ 日米に参加“懇願” 2016年1月18日 ZAKZAK by 夕刊フジ 日本の参加を懇願するとは思えないが、世界の金融センターである米国の参加は心底懇願しているはず。 日本との通貨スワップを不要と言い放った、夜郎自大な朴政権に比べれば、AIIBはだいぶ大人ではある。 中国経済のインパクトは大きい。 中国経済の減速を理由に膨大な資本が中国を離れつつある。 人民元CNY=CNY=CFXSの下落、汚職摘発などさまざまだが、2015年の逃避額は1兆ドル、あるいはそれ以上に達するとの試算もある。 2016年はそれ以上になるかも知れない。 安く仕入れて高く売るのは、商売の基本として世界共通。 売る苦労をしたことがない中国の政治・経済エリート層には、自由主義に基づく資本主義は、理解、共感できないことだらけのようだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2016年01月21日 07時07分25秒
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