テーマ:国内旅行(1393)
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経済の落ち込み、観光関連業の厳しい状況をみて政府の「Go to」キャンペーンは、混乱のうちに7月からの開始に前倒しされた。
日本の人口の1割以上が集中する東京の感染者増をうけ、開始時期が適切ではないとの声が地方の首長など多くの人々から発せられた。 しかし、このままだと観光産業は死ぬ ~Go Toトラベルをどう考えればいいのか~ 中田大悟 | 独立行政法人経済産業研究所 上席研究員 2020/7/14 YAHOO!!JAPANニュース この時期に「Go Toトラベル」、だと? 令和二年度第一次補正予算に、「次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復」のための経費として、国内旅行の旅行代金に補助金を出す「“Go To”キャンペーン事業(仮称)」が、約1.7兆円で盛り込まれており、当初は8月上旬ごろからの事業開始が想定されていましたが、赤羽一嘉国土交通大臣は7月10日に会見を開き、予定を前倒しして、4連休開始前の7月22日から開始すると発表しました。 おそらく、この事業を構想した背景として、夏頃には感染拡大が一段落ついているのではないか、という、新型コロナウィルスのある種の季節性に対する甘い期待とともに、可能な限り早期に経済回復を図りたいという意図があったものと思われますが、なにせタイミングが悪い、という感は否めません。 東京都の新規感染者が連日200人を超過し、第一波封じ込めの失敗が危惧されるなか、このキャンペーンの実施によって、首都圏の一都三県や関西などの大都市圏から、これまでは感染拡大がそこまでは深刻ではなかった地方都市にウィルスが運び込まれ、日本全体でのこれまでの努力を水泡に帰してしまうのではないか、という批判が各方面からよせられています。 もしこの事業に起因して、地方都市で感染拡大が起きてしまったならば、政権にとっての致命的なダメージになる可能性があります。 ― 引用終り ― 新型コロナの感染者は増加を続けるが、おそらく致死率は低下を続ける。 地方都市で感染拡大が起きても、地方都市で観光関連業の破綻が続いても政権にダメージを与える。 そのなか、大きな移動を伴わないマイクロツーリズムやミニツーリズムが唱えられている。 この環境下で仕方のないことなのだが、どちらもプロダクトアウトの発想であることは否めない。 新型コロナだけが感染症ではない。 時間がかかることではあるが、政治と経済とを東京一極集中させて作り上げた「密な環境」を解体、再編しない限り、問題の根源は継続する。 制限解除でも稼働率20%未満の深刻 中山晴史 2020/07/02 ダイヤモンド・オンライン 都道府県をまたいだ移動制限が解除され、コロナ禍で大打撃を受けた旅館・ホテル業界の回復に期待がかかるが、6月以降の稼働率はいまだに低く、危機的な状況が続いている。 インバウンド需要が望めず、多くの日本人にも旅行への警戒感が残るなかで、旅館・ホテル業界が生き残るためにはどうすべきなのか。 ホテル業界の内情に詳しいプリンシプル・ホテル コンサルティングの中山晴史所長が、リアルな旅館・ホテル業界の危機的な状況と決死の生き残り策を紹介する。 日本の観光業における インバウンドの影響は大きくない!? 2019年は年間3188万人、1カ月平均でも約265万人の外国人が押し寄せた日本(日本政府観光局の年間推計値、以下同じ)。 それが4月には2900人、そして5月には1700人という衝撃的な数字へと激減した。 率にして99.9%減だ。 これらの数字から、訪日外国人観光客の激減が日本の観光業を壊滅的な状態に追いやったという論調をよく見かける。 しかし、訪日外国人の数ではなく「消費額」で考えると、違う側面が見えてくる。 昨年の日本人と訪日外国人旅行者による日本国内における旅行消費額(「旅行・観光消費動向調査(2019年)」観光庁)は27兆円近くに上ったが、そのうちインバウンドビジネスが占める割合は17%ほどで、金額にして4.8兆円だった。 日本人による宿泊消費約22兆円に比べれば、訪日外国人旅行者の激減が業界に与えるインパクトは報道されているほど大きくないことがわかる。 東京の浅草や渋谷、京都市内、大阪の中心部からは外国人が劇的に消えてしまったので、たしかに視覚的にもインパクトがあり、中でも今回取り上げる旅館・ホテル業界がこれにより壊滅的な被害を受けたようには見える。 しかし、実のところ旅館・ホテル業界にとっては、それよりも日本人ビジネスマンによる宿泊や宴会の利用客、あるいはレストラン利用客の消滅のほうが問題として大きいのだ。 その影響は、国内におけるエリア特性による違いはなく、またホテルのグレード・業態・知名度などとも一切関係がない。 つまり、北海道から沖縄までのあらゆるすべての旅館・ホテルが同様の苦境に置かれている。 これまで旅館・ホテル業界は、バブル崩壊やリーマン・ショックのような経済危機、あるいはSARSなどの感染病による危機、また神戸をはじめとした阪神地方や東北地方での震災などさまざまな苦難を経験してきた。 ただ、これらのケースでは日本全国を見渡せば、人の動きのあるところには一定のマーケットが確実に存在していた。 それが今回は、まさに北から南まで同じ苦境にある。 対応策を講じようにも、過去の事例や実例を参考にすることもできず、営業戦略上も苦しい時間が重ねられている。 「国内マーケットがあるから安泰」ではない 先日、北海道から沖縄まで15カ所ほどのホテルに、6月に入ってからの稼働状況を聞いた。 すると、私がヒアリングしたところに限ってはいるが、20%を超える稼働率になっていたホテルは一つもなく、緊急事態宣言の解除があったからといって、短絡的には予約が増加するわけではないことがわかった。 インバウンドの影響は意外と大きくないのなら、これから国内需要に期待すればいいという声もある。 しかし、稼働率20%未満の状態が続いていることからも、先に述べた日本人の消費額22兆円のマーケットがいつ回復するかは、まだ不透明だ。 その消費額の半分がマーケットに戻ると仮定しても、すでに第1四半期(4月~6月)の売り上げを喪失している。 マーケットの縮小と時間的な制約が課題となっている。 加えて、マーケットに見え隠れする警戒感も大きな問題だ。 集団での移動や行動は、依然としてマーケットからも敬遠されている。 また、ルール順守をすれば当然、多くの移動手段でも送客力(収容人数)が半減される。 移動制限の解除後はビジネスマンを中心に動きだしてはいるが、いわゆるレジャーや観光での団体旅行の活況はしばらく期待できない。 この警戒感はホテル側が「安全・安心」を唱えても、容易には払拭できないかもしれず、秋口からの観光などのベストシーズンが第2波、第3波と重なるようなことでもあれば、せっかくの回復基調もほごにされる可能性もある。 「マイクロ」よりも「ミニ」ツーリズムのすすめ こうした人々の警戒感を受けて、最近、マスコミを通じてホテル関係者などが県内需要を喚起する「マイクロツーリズム」を提唱している。 もちろんこれらの施策も決して悪いことではないが、果たして県内需要だけで営業利益が出せるほどの収入が上げられるだろうか。 例えば、群馬県が県民限定でキャッシュバックキャンペーンを始めるようだが、私はこれを県民のみの限定にせず、隣県・近県をも巻き込んだ形にすべきだと考えている。 例えば、関西圏が主たるマーケットになっている四国では、まず「ミニツーリズム」として四国4県の共通キャンペーンを実施するという形だ。 そして、その財源も県税に求めず、国の「Go To キャンペーン」に求めれば不公平感も拭えるのではないか。 岩手県は驚くべきことに、現時点でも新型コロナウイルスの発症例がない。 ある岩手県の温泉旅館が6月から週末だけの営業で再開はしたものの、その週末だけでも最大収容人数の4分の1ほどの集客にとどまり、営業黒字化できるほどの集客にはなっていない。 岩手県でもキャンペーンの実施が望まれるが、いっそ対象を岩手県民に限定せずに、青森・秋田・山形などと協調すれば、より大きなマーケット、すなわち「マイクロ」を、より大きな「ミニ」に格上げできないだろうか。 この場合、東京や大阪などの大都市を近くに持つエリアのホテルでより大きな効果が望めそうでもあるが、実は一部にはその大きなマーケットを持つがゆえの悩みもあるようだ。 ホテル業界はもともと食中毒問題やノロウイルス問題への意識が高く、感染予防にはかなり敏感で厳しい姿勢を持っている。 その中で、「不特定多数」と捉えられがちの東京や大阪といった巨大マーケットから旅行客が流入することへの警戒感も、受け入れ側に見え隠れする。 利用者側とホテル側の両者の警戒感が雪解けするにはまだまだ時間もかかるが、少なくともこの冬の第二、第三の危機を乗り越えなければ、ホテル業界の復活への道筋も見えてこない。 営業日限定、朝食の中止、外注削減… まずは現状にあった「ダウンサイジング」を どこも経営環境が厳しい今、各施設に求められるのが、オペレーションのダウンサイズだ。 コロナ前までの人員体制のままでは、人件費率が非常に悪くなるのは当然で、現在の収容人数や稼働率に見合った人員体制にダウンサイズする必要がある。 そのためにまず行うべきなのが、外注費の削減だ。これまで客室清掃や食器洗浄やレストランのサービスなどを外注していたなら、それを「内製化」する。 スタッフ(正社員)のシフトを部署ごとで縦割りにするのを廃止し、同時に業務分掌もマルチタスク化する。 彼らがこれらの業務を担うことにより、業務委託費を大きく削減できる。 実施にあたって、事前にスタッフとの相互理解は必要だが、企業存続のために実施すべきだ。 次に、営業日を限定する方法がある。 旅館やリゾートは週末だけの営業にし、ビジネスホテルなどは平日のみの営業とする。 営業日数のダウンサイズだ。 また、シティホテルなどでは宴会需要の低迷から、例えばレストラン部門と宴会部門とを統合してもよい。 それにより配膳会などへの発注が減らせ、業務委託費の削減になる。 より具体的な話でいえば、低稼働の中での運営においては、ビジネスホテルもシティホテルも「朝食の提供」を休止してはどうだろう。 朝食は部門別で見ても、一定数の喫食数がなければ黒字化できないし、その一方で準備に必要な時間(拘束時間)と労力は大きく、非常に効率が悪い。 したがって、「企業の存続」のために営業利益効率を上げることを第一に、朝食の営業を休止することをおすすめする。 しばらく(業界の通説では18カ月)はこのような状況が続くことを覚悟し、資金調達の方法論も追加で模索しなければならない。 国も追加の方策を考えてはくれているが、受けられる融資は受けるべきだ。 同時にキャッシュアウトを極力小さくする努力もしながら、経費、特に人件費(ホテル業界では業務委託費も人件費の一部と考える)の効率化を追求しなければならない。 これからは、「企業の存続」と「スタッフの健康の維持」を第一義的に捉えて実践すべきだ。 さらに言えば、この際、顧客満足(CS)であったり、ホテルマンの矜持・プライド、あるいは伝統や商習慣であったりしても、企業の存続とスタッフの健康に悪影響を及ぼすものであれば、この危機下ではいったん脇に置き、効率を優先して、何ごとも徹底して実践すべきである。 ― 引用終り ―
生き残り策を懸命に考えた記事なのだろうが、突っ込みどころ満載。 インバウンドは観光資源の供給量の上限を引き上げる需要であり、供給者の価格決定力を高めるという点で、観光業に大きなメリットがある。 インバウンドにより需要増は、人口減社会の日本ではとても重要な要素となっている。 供給者の価格決定力が低下し低単価の需要が大半なのであれば、低単価に合わせて事業を組立てなければならない。 近隣であっても観光客を魅了できる事業を組立てられなければ、事業を止めるか、事業転換しなければならない。 観光需要の復活を待つのであれば、記事の施策は活きる。 人びとの感染症に対する過剰な恐怖感が癒えるまで、観光需要の復活には時間がかかる。 観光の復活まで生き残れるかの考察と選択が重要となる。 すそ野が広い観光関連業は、質の観点でも価格の観点でも、かつてと次元の違う生き残り競争下にある。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年07月28日 06時00分09秒
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