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『21世紀の戦争論 昭和史から考える』
著者 半藤一利 佐藤優 文春新書 2016年5月20日 失敗、敗北の事実と歴史に学び、今と未来に活かすことの重要性を説く対談。 これこそ、戦争による軍人、軍属、市民の犠牲を未来に向け活かす取り組み。 P.32 ■もうひとつの「聖断」 さらに、侍従武官を通して陸軍中央部に、天皇にして大元帥のお言葉が、「殺戮用細菌は使用してはならない。国際的信義は大切にしたい」と、伝えられたという。 P.48 ■服部・辻コンビの暴走 しかも、『満ソ国境紛争処理要綱』では、国境を超えてきた敵を殲滅するために、こちらも国境外へ兵を進めてよい、さらには、国境が明確でない地域では防衛司令官が自主的に国境線を認定したほうが紛争防止に役立つとまでいっているんです。 P.98 ■スターリンは原爆を知っていたのか こうした流れを踏まえた上で、ポツダム会談から八月十五日までをみてみますと、どうも、ソ連の対日参戦とアメリカの原爆開発は、お互いがお互いを出し抜こうと競争していたんじゃないかとみえるんです。 P.121■ソ連の条約観 ソ連の条約観の基本は、過渡的国際法という考え方で、基本的に国際法はブルジョア国家間を規定したものだから、革命論の立場からは、従わなくていいという考えでした。しかし、実際にはソビエト国家ができた以上、実務的に従わなないといけない。ただし国際法の中には二つの要素がある。ひとつは進歩的で人民の利益にかなうもの。もうひとつは反動的なものです。 P.211■届かなかった天皇への親電 痕跡を消しながら仕事をするのは、外務省ではすごく重要なことです。 P.225■大局観と柔軟性を欠く 戦闘の勝利の蓄積の上に、戦争の勝利があるという思想ですね。しかしそこでは、「合成の誤謬」が起きてしまう。ひとり一人が正しい行動をとっても、全体でみると思わぬ悪い結果を生んでしまうのです。 P.239■大三次世界大戦の可能性 半藤 ちなみに佐藤さんは、大三次世界大戦が始まるとすれば、どこからと考えていますか? 佐藤 可能性が高いのは、サウジアラビア・イエメン戦争だと思います。 P.243■「イスラム国」は皇道派? とにかくきわめて明確なことは、戦前の日本には強烈な軍国主義があった。しかし、その主義があったということは強大な軍事力があったということではないのです。……強烈な表現の軍国主義があれば、何か精強な軍事力があるように錯覚してしまう。ほんとうに奇妙なことと思うのですが、今の日本人にも存在する錯覚のように思えてならないのです。 P.274■戦時下に生きるリアル ……改めてもういっぺん、つくづくと歴史は人間がつくるものだ。人間が変わらないと、また同じことをするのではないか、という思いに強くとらわれました。 目 次 はじめに ー 佐藤優 第一章 よみがえる七三一部隊の亡霊 第二章 「ノモンハン」の歴史的意味を問い直せ 第三章 戦争の終わらせ方は難しい 第四章 八月十五日は終戦ではない 第五章 昭和陸海軍と日本の官僚組織 第六章 第三次世界大戦はどこで始まるか 第七章 昭和史を武器に変える十四冊 おわりに ー 半藤一利 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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