テーマ:健康長寿への道(32)
カテゴリ:ダイエット、健康
3月4日は「世界肥満デー」だった。 一人当たりGDPが高い先進国では太りすぎ・肥満対策が大きな課題になっている。OECD加盟36か国中、日本の肥満比率は最下位で韓国の下。 その日本で、肥満は、食欲を抑制できない意志の弱い人、運動をしたがらない怠惰な人がなるというイメージが色濃く残っている。 2019年のOECDの報告書、「肥満という重荷-予防の経済学(The Heavy Burden of Obesity – The Economics of Prevention)」によると、OECD加盟36カ国中34カ国では人口の過半数が太りすぎで、ほぼ4人に1人が肥満であるとし、肥満に起因する疾病により、今後30年間にOECD諸国で9000万人以上が死亡し、余命がほぼ3年縮まるとし、肥満とそれに関連する症状により、OECD諸国のGDPは3.3%下落、1人当たり年間360米ドルという重い負担が個人のしかかるとされている。 食と健康 ホントの話 「個人のせいにせず社会としてどう取り組めるか」 女子栄養大学特任教授・津下一代医師に聞く zakzak by夕刊フジ / 2023年3月13日 6時30分 肥満とは、ただ単純に体重が平均値より重いだけではなく、体脂肪が過剰に蓄積した状態だ。BMI(体格指数)でいうと日本では25以上を指し、放置すると高血圧や高血糖(糖尿病)、脂質異常など、いわゆる生活習慣病の指標となる数値が上昇する状態だ。 新型コロナウイルス感染症との関係でいえば、基礎疾患をもつ人は重症化リスクが高いことはご存じだろう。この基礎疾患に、BMI30以上の肥満が含まれる。 肥満と肥満症は地続きだが、治療が必要な「肥満症」はBMI25以上で、かつ「肥満」に起因ないし関連し、減量を要する健康障害があるか、または内臓脂肪蓄積がある場合に診断される。欧米などではBMI30以上が肥満とされ、25以上は「過体重」とされているが、アジア人は欧米人よりも肥満による健康リスクが高いためにこのような指標になっている。 … (略) … 「ご存じのように肥満にはいろいろな要素が関わっています。たとえば食事や遺伝などの生物学的な背景、そして環境、仕事の仕方、睡眠や精神的な健康などさまざまな要因が関わっています」 同じようなものを同じ量食べて同じくらいの運動量でも、ある人はスリムでもある人は体重が増えることはよくあることだ。食生活が乱れても、影響を受ける人もいれば受けない人もいる。米国ではかつて「肥満の人は出世できない」と言われていた。自分の体重も管理できない人は仕事もできないと考えられていたからだが、それは昔の話。今ではそうした偏見が、肥満改善や治療への道を閉ざすとして、肥満症である本人だけでなく、そうでない人の意識変革も求められている。 「ある肥満症患者さんには、食生活が乱れているという現実はあるかもしれません。けれどもそれで意志が弱い、やる気がない、無関心だと決めつけてしまう見方が、肥満症患者さんの行動にブレーキをかけているかもしれません。患者さん本人が劣等感を持つ、あるいは誰かに言われるということもあります。世間はもちろん、医師までも肥満症の人を否定的にとらえていると感じると、助けを求めないことにつながってしまいます」 食べ過ぎてしまう人や運動が嫌いな人でも、そこに食べ物がなかったら、そこに車がなかったら、肥満にはならない。江戸時代の人や、現在でも一部の低所得国家において肥満が少ない理由はこのためだ。また、出張や留学で米国に1年以上滞在した人がふっくらして帰ってくることも。そのため、個人の性格や体質だけではなく、現代の環境、暮らし方の中にある、自分自身が決めていないけれどもそうなってしまう要因が非常に大きいと津下教授は話す。 「肥満になることを個人のせいにせず、社会としてどう取り組めるか、を考えていかなければいけないと思います」
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最終更新日
2023年03月21日 06時00分10秒
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