テーマ:宅配便(9)
カテゴリ:物流 ロジスティクス
2023年10月から、日本郵政グループとヤマトホールディングス(HD)の協業がスタートした。 カタログなどをポストに投函して送る「クロネコDM便」は2024年1月に終了し「クロネコゆうメール」に切り替わる。小型荷物を配達先のポストに投函する「ネコポス」も2023年10月から順次移管し、「クロネコゆうパケット」に変わる。ヤマトは集荷のみ行い、配達業務を日本郵便に委託する。 契約を終了するクロネコメイトは全国で約3万人。 ヤマト運輸は、メール便や小型荷物の配達を委託している「クロネコメイト」と呼ばれる個人事業主との契約を1月31日までに全て終了することを決定。日本郵便でDM便を担うのは正社員と期間雇用社員。 2024年1月9日、契約打ち切りの当事者の配達員や支援する労働組合が、東京都港区のヤマト運輸本社前で抗議活動を行った。 労組は撤回を求めて団体交渉を申し入れたが、ヤマトは個人事業主については「法律上の労働者にあたらない」として拒否されたため、建交労軽貨物ユニオンが東京都労働委員会に救済を申し立てている。 「生活は大変になるけど…」 約2.8万人が1月で契約終了。 当事者たちに今の心境を聞いてみた。 ヤマト社員は「本社はいったい何を考えているのか」 集英社オンライン 2024年2月3日 … (略) … クロネコメイトには再配置の打診がなく…… 「昨日(2月1日)はウチのセンターにも重い空気が漂ってましたよ。メイトさん(クロネコメイト=小型荷物の配達を委託されていた個人事業主のこと)とは気まずくて、『これまでお世話になりました』とか『またお茶でもしましょう』くらいの軽い挨拶で終わりましたから……」 そうため息をつくのは、関西エリアで長年パート社員として働いている女性だ。 ヤマト運輸は日本郵便との協業に伴い、ポスト投函が可能な小型荷物配達サービス「クロネコDM便」を今年1月末に終了させた。これによって、このサービスの配達業務を担当していた個人事業主(クロネコメイト)2万5000人と、仕分け業務をしていたパート社員約3150人が契約終了となり退職した。 パート社員に関しては、当初、約4500人すべてが契約終了する予定だったが、茨城県土浦市にあるベース店(=ターミナル拠点)で働くヤマトのパート社員18人が労働組合を結成し、10月16日に団体交渉を行なうと、ヤマト本社は対応を一変。パート社員の契約終了を見直して全員の希望を確認する方針となり、うち1350人が社内に再配置というかたちでヤマト運輸に残ることとなった。 しかし、クロネコメイトたちには、そのような打診はなかったようだ。冒頭の女性パート社員は言う。 「ウチのセンター(宅急便センター)でも昨年の11月ごろに本社の対応がガラリと変わって、私たちのようなパート社員には配置転換の相談がありました。でもDM便に携わるメイトさんへの対応は一切変わらず……。結局、ウチも10名ほどのメイトさんが契約を打ち切られました。 通常、誰かが辞めるときは飲み会やご飯会が行われるんですが、昨日はそうした雰囲気は一切ありませんでしたね」 クロネコメイトは50~60代も多く、新たな働き口を見つけることに不安を募らせる人も多かったという。 「『この年齢で雇ってくれるか不安だ』とか『新しい職場でまた一からで溶け込めるだろうか』と不安を口にされる方もいました。メイトさんの中には、ここのお給料で親の介護費や子どもの学費を出している方もいましたし……。 なによりここで休憩時間に同僚とおしゃべりすることを楽しみにしてた主婦のメイトさんも多く、あるメイトさんは『みんなと離れ離れになるのが寂しい』と言ってましたよ」 配置転換打診もパート社員の7割が退職 一方で、配置転換の打診を受け入れたパート社員も新たな火種に…。ベース店で働くヤマト正社員はこう証言する。 「DM便からクール便や宅急便の仕分け業務に配置転換されたパートさんもいますが、運送業界では1~2月は閑散期。荷物の量に対して、パート社員が多すぎるという状況になっています。もっと他に人が足りない場所はあるというのに、本社はいったい何を考えているのか……」 前述したように、配置転換を受け入れずに退職したパート社員は約3150人で、全体のおよそ7割にあたる。 これほどの人数があえて退職したのはなぜか。ヤマト正社員が続ける。 「ウチのベース店でも『今後もどういう風に扱われるかわからない』とか『もう信用できない』と愚痴をこぼすパートさんはいましたよ。シングルマザーで親の入院費を工面していたパートさんも、『これからお金のやりくりは大変になるけど、もうヤマトにはいたくないので』と言って辞めていきました」 首都圏でDM便ドライバーとして働いていた40代女性は、配置転換を打診されたものの、それを蹴って1月末で退職したという。 「今さら受付業務や荷物の仕分けに回されても困ってしまうし、収入も減ってしまうから転職することに決めました。基本給3ヶ月分の慰労金ももらえることだし、しばらくゆっくり転職活動をします。同じように辞めたパート社員の中には『やっとヤマトから解放された』と話す人もいましたね」 ― 引用終わり ― 今後もEC市場の活用により取扱量の増加が予想される宅配業務の厳しさが伝わる。 人口減少社会への対応は進んでいるようには見えないが、パート社員を切ってヤマトの運営は大丈夫なのだろうか。 ヤマトホールディングス 公式サイト 重要なお知らせ 2024年02月01日 【2024年2月1日更新】投函サービスの業務移管に伴う当社の対応について(ヤマト運輸) ヤマト運輸株式会社 ヤマトグループは、物流業界が抱える社会課題の解決に貢献し、持続可能な物流サービスの実現に向けて、日本郵政グループとの協業に関する基本合意書を、2023年6月19日に締結しました。両グループの有する経営資源を有効活用した顧客の利便性向上に資する輸配送サービスを構築することで、相互の事業成長を図るとともに、物流業界が抱える「2024年問題」や環境問題などの社会課題の解決に取り組んでおります。 2023年10月1日から新たな投函サービス「クロネコゆうパケット」を一部エリアから発売を開始し、2024年2月1日から「クロネコゆうメール」を全国で発売するなど、着実に協業を推進しております。 本協業により、クロネコDM便に関連する配達や仕分け作業に関する当社内での業務を終了することに伴い、当該業務に係る皆さまとの契約は、2024年1月31日をもって終了いたしました。 契約終了にあたり、配達業務委託契約を締結していた個人事業主(クロネコメイト)の皆さまにつきましては、契約年数に応じた謝礼金(3万円から7万円)のお支払いや、2023年10月10日に立ち上げた支援サイトのご活用をご案内いたしました。 雇用契約を締結していたパート社員の皆さまにつきましては、約3カ月分の賃金相当額の慰労金のお支払いや、年次有給休暇の残日数の買い上げ、支援サイトご活用のご案内に加え、社内での再配置提示を行いました。以上の結果、すべての方と当該業務に関わる雇用契約の終了について合意、または社内での再配置に伴う新たな労働条件の合意に達しました。 共同作業所などの障がい者支援団体につきましては、日本郵政グループでの業務委託について協議を行い、日本郵政グループでの配達業務の継続を希望される団体については、同グループと業務委託契約を締結するなど、業務継続に向け調整を進めております。 当該業務を支えていただいたすべての皆さまに、あらためて心から感謝を申し上げます。 以上 ― 以下略 ― お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024年02月10日 06時00分13秒
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