テーマ:倉庫・運輸(145)
カテゴリ:物流 ロジスティクス
日本の物流2024年問題が話題になっていたが、世界の海上物流の混乱も大きなものがある。 パナマ運河は水不足による通行量制限。スエズ運河はフーシ派による船舶攻撃による通行回避。 太平洋と大西洋を結ぶ閘門式パナマ運河は、水不足により船舶の通行料を制限しているため昨年から長期間にわたり船舶が渋滞している。 列の先頭に移動できる権利の入札額は過去最高の約6億円(397万5千米ドル)で日本のENEOSグループの企業が落札した。運河を通行するには別途、通常の通行料金を支払う必要がある。 長期的な解決策には多額の費用-成否不透明 Peter Millard、Michael D McDonald 2024年1月9日 Bloomberg →運河に水供給する人工湖や人工降雨技術、実行には何年もかかる →農家や牧場主、新たな貯水池建設に反対するため既に組織化 世界中に物資を運ぶ巨大な船舶から数百フィート離れたところに、やせ細った木の切り株が水面から姿を現している。100年以上前にパナマ運河をつくるために水没させた森林地帯の跡だ。乾期の真っただ中に現れることは珍しくないが、今は雨期の直後で、通常なら完全に水没しているはずだ。 年間2700億ドル(約39兆円)相当の世界貿易を扱う水路が、いかに干ばつで機能不全に陥っているかを示している。簡単な解決策はない。パナマ運河庁は、運河に水を送り込むための人工湖や、人為的に雨を降らせる方法などの策を検討しているが、いずれの選択肢も、実現可能であるとしても実行には何年もかかるだろう。 水位が通常より6フィート(約1.8メートル)低いため、パナマ運河庁は通航可能な船舶の数に上限を設けた。昨年末に実施された制限は、米国が事実上の支配者だったマヌエル・ノリエガ将軍を排除するためにパナマに侵攻した1989年以降で最も厳しいものだった。パナマ運河の異例の渋滞を受け、ある船主は数百万ドルを支払って列の先頭で通過。アフリカや南米を回る、より長くコストのかかる航路を選ぶ動きもある。 ― 引用終わり ― 慢性的な水不足に対する主な解決策はインディオ川をせき止め、山を貫くトンネルを掘り、運河の主要貯水池であるガトゥン湖に8キロメートルにわたって淡水を送り込むこと。総工費20億ドル、貯水池を満水する期間6年。 アジアと欧州を結ぶスエズ運河ルートは、世界の海上コンテナ輸送全体の約10%を占めるとされる。 2023年11月以降、紅海上でイエメンの反政府勢力フーシ派のミサイルやドローンによる攻撃が行われ、昨年12月24日から今年1月2日のスエズ運河経由の船舶運航は前年同期比20%減少した。はるかに遠い喜望峰ルートの選択が増えている。紅海はスエズ運河経由でアジアと欧州を結ぶ最短の航路であり、商船が南アフリカの喜望峰沖に迂回するルートを選んだ場合、輸送期間が2週間は長くなる。 ガザ地区のパレスチナ人に連帯すると主張するフーシ派の船舶攻撃で大きな経済的打撃を受けているのは、スエズ運河の通行料を外貨の獲得源とするエジプト政府。 また、コスト増や出荷遅れにより中国の輸出産業を直撃している。中国から欧州向けに輸出される製品の約6割がスエズ運河を経由しているという。 生産拠点を中国に置く企業は、近年地政学的な緊張から脱中国の動きが広がってきたが、紅海の問題はこの流れをさらに加速してる。 フーシ派の船舶攻撃 世界の物流混乱 2024年2月2日 NHK 国際ニュースナビ 炎が吹き上がる石油タンカー。イスラム組織ハマスとの連帯を掲げるイエメンの反政府勢力フーシ派による攻撃を受けたものです。 紅海とその周辺での船舶攻撃が止まりません。その影響で多くの船舶がアフリカの喜望峰を回るルートに迂回うかいすることを余儀なくされ、日本を含む世界の物流や経済に影響が及び始めています。 ガザ地区での戦争が世界の人々の暮らしにダメージを与えつつあります。 (紅海攻撃取材班) 喜望峰に船舶集中 アフリカ南端に位置する喜望峰。15世紀、航海者のバルトロメウ・ディアスによって発見された岬で、強風が吹き荒れることから「嵐の岬」と言われていましたが、この沖合を通過してインドへの航路が発見され、「良い希望の岬」という名前に改名されたといわれています。 現地を訪れると、ふだんより多くの貨物船やコンテナ船が行き交っていることが確認できました。ヨーロッパとアジアを結ぶ最短ルートである紅海での攻撃が相次ぎ、迂回する船舶が後を絶たないのです。 ― 引用終わり ―
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最終更新日
2024年02月15日 06時00分10秒
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