テーマ:人工知能(230)
カテゴリ:サイバーパンク
人工知能(AI:Artificial Intelligence)は、一般に「人が実現するさまざまな知覚や知性を人工的に再現するもの」と理解されている。 「あらゆる問題に応えられる(答えられる)賢いAIがすでに存在する」というのは誤解。現在のAIに人間の認識能力や常識、感情なども含めた森羅万象のすべてを理解させられるわけではなく、「何でもできる」AGI(Artificial General Intelligence:汎用的人工知能)、狭義の人工知能は今のところ存在しないとされている。 シンクタンク分析 2024/03/27 共同通信 英シンクタンク、公共政策研究所は27日、生成人工知能(AI)の発展により、英国内で最大800万人分の雇用が失われる可能性があるとの報告書を発表した。今後5年間で知識労働の在り方が劇的に変わるとし、官民が連携して、既存の雇用を守る必要があると提言した。 報告書では、企業が生成AI導入を進める過程は2段階に分けられ、現在は最初の段階にあると指摘。第2段階に進めば、59%の仕事がAIに置き換えられる恐れがあるとしている。 事務職や秘書、顧客対応などの仕事は第1段階で雇用が減り、こうした職種に就くことが多い女性や若い世代が影響を受けるとした。低賃金の仕事もAIが代行可能との見方を示した。 最悪の場合、約790万人の雇用が失われ、国内総生産(GDP)も増えないと分析する一方、AIとの共存がうまくいけば、雇用を減らすことなく、年間約3060億ポンド(約58兆円)の経済効果が見込めるとした。 ― 引用終わり ― Ai導入により大量の失業者が発生するなら、既存の雇用を守るのではなく社会の富を共有するために、ベーシックインカムの実施について、事前に議論し基本的な認識を社会で共有する必要がある。 AIは既に特定の領域においてヒトを凌駕する能力を発揮しており、医療の世界では、「平均的な医師」を超える診断を行えるAIが登場している。 =米エヌビディアCEO Stephen Nellis 2024年3月4日 ロイター 米半導体大手エヌビディア(NVDA.O), opens new tabのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は1日、人間のような学習能力を備えた汎用人工知能(AGI)をあと5年ほどで実現できるとの見通しを明らかにした。米スタンフォード大で開催された経済フォーラムで発言した。 フアン氏はフォーラムで、シリコンバレーの長年の目標の一つである、人間のように思考することのできるコンピューターを作るのに、あとどれくらいの時間を要するかとの質問に答えた。 同氏は、目標の定義が人間が受ける試験に合格する能力であれば、すぐに実現できると説明。「あなたが想像しうるあらゆる試験のリストを作り、AI(人工知能)に渡せば、5年後には全ての試験に合格させることができると思う」と述べた。 現在、AIは司法試験などには合格できるが、消化器病学といった専門性の高い医学試験などには苦戦している。 ― 引用終わり ― AIの世代区分 ・第1世代:専門家が持つ経験則をルールベースに展開して人の知的作業を支援する。 ・第2世代:統計/探索モデルによって最適解を導く。 ・第3世代:脳モデルに基づきAI自体の認識性能を自ら向上させることができる。 第3世代AIのテクノロジーの代表は、人間の脳神経回路を参考にしたアルゴリズムである「ディープラーニング」。 コンピューター自身がビッグデータを読み解き、そこにあるルール、相関関係などの特徴を発見し、帰納的な推論を行う。その後も継続して学習を続け、「正解」を導く能力を進化させる。 第3世AI代となりテキスト生成に関するAI技術が注目されている。 OpenAIが開発した大規模言語モデル(LLM)のGPT-3やGPT-4、対話に特化した言語モデルのChatGPTは、人間に近いレベルで自然なテキストを生成する能力を持つ。ChatGPTにより、自然言語処理の分野で大きな進歩がみられ、人間とAIのコミュニケーションの可能性が拡大した。 画像やイラストの自動生成技術も進化し、AIが人間の美的感覚を学び、クリエイティブな作品を生み出すことが可能となった。 検索エンジンの技術もAIの進化によって大きな変化を遂げた。 AI直近の進化の動向 ・エッジコンピューティングとAIの統合 エッジコンピューティングとは、データ処理をクラウドではなくデータが生成される現場(エッジ)で行う技術。エッジコンピューティングにAIが統合され、リアルタイムでの画像を含むデータ処理と分析が可能になった。 ・量子コンピューティングとの融合 量子コンピューティングは、従来のコンピューターとは異なる原理で動作し、膨大な計算を高速に行うことができる。AIと量子コンピューティングの融合により、特に複雑な問題の解析や大規模なデータセットの処理が飛躍的に向上した。より短時間で薬剤、合金などの開発が可能になった。 ・強化学習の応用範囲拡大 トランスフォーマーモデルは、特に自然言語処理(NLP)において大きな影響を与えたAIモデル。このモデルの能力がさらに向上し、より複雑な言語の理解と生成が可能になり言語の翻訳機能が進化している。 ・自己教師あり学習の発展 自己教師あり学習(Self-supervised learning)は、機械学習の一手法で、ラベル(正解)の付いたデータが不足している場合やラベル付けが困難なデータを学習する手法。インターネット上の膨大なテキストデータから新しい知識やパターンの発見がしやすくなった。 AIの進化に対する重要な推進力の一つとして、GPU(Graphics Processing Unit)の発展がある。その高度な並列処理能力がAIの学習タスク、特に深層学習に適していることが明らかになったのは、2000年代後半~2010年代前半にかけて。それ以前は、GPUの計算能力をAIの学習に活用することはほとんどなかった。AIの進化にGPUが大きく働くことが分かり、3DCGの描画処理に必要な並列演算回路に強みを持ち、「GeForceジーフォース」シリーズで知られるパソコン向けのGPU製品や家庭用ゲーム機に内蔵されるGPU製品などでよく知られている NVIDIA に世界の投資家の注目が集まった。 AIが進化すると、単純事務作業労働の置き換えばかりでなく、高度に知的とされた職業領域を置き換える(人の介在を不要にする)ことができると予想されている。 トレーダー、ファンドマネージャーの業界では、ヒトのAIへの代替がすすんでいると見受けられる。 2018年4月30日、投資銀行・ゴールドマン・サックスのデービッド・ソロモン社長は、米カリフォルニア州ビバリーヒルズで4開かれたミルケン研究所のグローバルコンファレンスで、「株式トレーディングの場合、われわれは15~20年前にはマーケットメーク(値付け業務)で500人を抱えていたが、今では3人だ」と語った。今では9000人のエンジニアを雇用し、規制を専門とする行員の数も増えたと説明した。 トレーダーはITエンジニアに置き換えられた。AIの能力に劣るトレーダーが失職したのだろう。 2022年9月、米ゴールドマン・サックス・グループ(GS)は、約500人を削減した。 2023年1月9日、GSは、約3200人の削減に乗り出す、うち3分の1強が中核のトレーディング・銀行部門となる公算と報じられた。同社の従業員数は昨年9月30日時点で4万9000人。12月現在の従業員数は4万8500人。2023年、GSの利益は目標の半分程度にとどまった。 2023年6月24日、投資銀行部門の一部を含め約125人のマネジングディレクターが職を失うと報じられた。GSは「コスト削減」を理由に1年足らずで3回人員削減実施した。
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最終更新日
2024年04月09日 06時00分12秒
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