テーマ:癌(3513)
カテゴリ:癌治療情報
朝日新聞 2014年10月26日の記事
脳腫瘍(のうしゅよう)のため57歳で亡くなった、東京・O病院院長のM.Mさんが恐れたのが、手術で言葉を失うことだった。主治医だった荏原病院脳神経外科部長の土居浩さん(61)の経験でも、多くの患者が術後に言葉が不自由になることを心配するという。 脳内で言葉をつかさどる「言語中枢」は、右利きの人で95%以上、左利きで70%以上が左の大脳半球にあり、いくつかの部分にわかれている(図)。 M.Mさんの腫瘍は左半球にあった。左利きだったため、言語中枢が右にある可能性もあったが、検査で左にあることがわかった。言語中枢を避けながらどれだけ取り除くか、が焦点になった。 土居さんは語る。 「医師とすれば、当然できるだけ完全に取りたい。ただ、そこに術後にどんな生活を送りたいかが関わってくる。現在、脳腫瘍は告知することが原則なので、患者の意見が一番尊重されます」 腫瘍をできるだけ取り除き、術後の生活の質も守る。相反する二つの課題を最大限両立させるために最近注目されているのが、「アウェイク・サージェリー」(awake surgery=覚醒下手術)という方法だ。 開頭手術中に意識のある患者に直接話しかけたり、絵を見せたりして反応を確認し、弱い電流を当てながら摘出する領域を決めていく。電気刺激で言語機能が落ちたら、そこには触れない。脳内には痛覚がないので痛みは感じない。 アウェイク・サージェリーに詳しい都立駒込病院脳神経外科部長の篠浦伸禎(しのうらのぶさだ)さん(56)は「全身麻酔では麻酔から覚めて初めて言語機能が失われたとわかるが、この手術なら、言語機能に影響が出そうだったらすぐ腫瘍に触ることをストップすればいい。とても安全で患者のことを最優先に考えた手術です」と話す。 ただ、技術的に難しいため、積極的に取り組んでいる病院は限られているという。 駒込病院では聴神経腫瘍でもアウェイク・サージェリーを行っている。患者に「聞こえるか、聞こえないか」を質問しながら腫瘍を取っていくので、術後に聴力が影響を受けることはほとんどなくなると言う。 図表:言葉に関する言語中枢 (患者さんのお名前はアルファベット表示に変更させていただきました。) 「覚醒下手術」、言葉としては初めて聞きましたが、人間の感覚を頼りにしながら手術を進めるということですね。医学が進んでも、やはり人間の感覚に頼ったほうがより確実な手術ができるということなのでしょう。そういう手術方法自体が医学の進歩によるものなのでしょうね。 病気は全く違いますが、大腸がんの検査で内視鏡検査を受けたとき、「痛みが伴うので麻酔をする病院もありますが、患者さんが『痛い!』と感じて言葉を発してくれることで検査中の重大な危険を回避できることがあるので、当方では麻酔なしで検査しています。」と説明を受けて、なるほどなぁと納得したおぼえがあります。 よろしかったらぽちっとお願いします。 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2016/09/17 07:34:42 AM
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