ビスについて 形状からの種類分け
本日は、「ビス」について説明します。とても初歩的な内容ですが、適切なビスを選べるかどうかの大きなポイントになる割には、知らない人も多いですね。らせん状の溝が切ってあるものを「ねじ」といいます。なので、ボルトもビスも「ねじ」の一種です。とりあえず、今回の定義としては、「らせん状の溝が切ってあって、先端が尖っているもの」をビスということにします。冒頭の写真の①~⑥は、長さ以外に、形状的な違いがあるのですが、区別がつくでしょうか?それでは、形状の違いと特徴について説明していきます。まずは、頭の形状です。頭が丸いものと、平べったいものがあります。丸いものを「鍋頭」「丸頭」といい、平べったいものを「皿頭」といいます。鍋頭のものは、ビスで固定した際に、頭が丸く出っ張ります。皿頭のものは、固定する材用の方に「皿取り」があれば、頭がその中に納まるので出っ張りません。2種類の蝶番の写真で、形状はとても似ていますが、真鍮製の方のビス穴には傾斜がついて、口が広がっています。これが「皿取り加工」で、この場合には「皿頭」、一方、黒っぽい方の蝶番の穴にはその加工がないので、「鍋頭」のビスを使うのが一般的です。皿取り加工のない穴に皿頭のビスを使うと、頭が収まらないので出っ張ります。次に、こちらの写真を見ていただいて、違いが判るでしょうか?間違い探しのようですが、手前のビスは頭の下までネジ山がありますが、奥側のビスは、上の方にはネジ山がありません。途中までしかネジ山がないものを「半ネジ」といいます。板同士をあわせてビス固定する際に、隙間のない状態でビスが入っていけばいいのですが、隙間が空いてしまった場合、半ネジタイプのビスであれば、最後にネジが空回りすることでキュッと材料同士がくっつきます。こちらは、どちらも皿頭のビスですが、違いは、突起の有無です。左側のビスの裏側には筋状の突起があるのがわかるでしょうか?これを「フレキ」といい、ビスを締めていって最後に木材にめり込む際に、突起の部分が材料を削っていくので、皿が材料を押さえて捲れたりしにくくなっています。皿取りの下穴をあけない場合には効果的です。ちなみに、「フレキ」のないものは「ラッパ」といいます。こちらは、ビスの先端の様子です。右側の先端には、ねじ山をまたがって溝が入っているのがわかるでしょうか?この加工を「先割れ」といい、「錐」のように、材料を削りながら入っていくので、材料割れが起こりににくかったり、差し込みやすかったりします。最後に、似たような形のビスですが、説明した内容を踏まえて、種類を見極めてみましょう。左から・フレキ付き 先割れ(ちょっと分かりにくいですね) 半ネジ・皿頭 半ネジ・皿頭(ラッパ) 半ネジとなります。ちなみに、一番右側の、大き目の山で、山の間隔が広めなものが、厚板の固定などによく使われる「コーススレッド」というタイプのビス。中央の、細かなねじ山で、半ネジとなっているタイプが一般に「木ねじ(もくねじ)」と言われるもの。一番手前の細めのビスは、材料割れを起こしにくいので、下穴をあけるのが面倒な方にお勧めの「スリム」タイプのビスです。